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たらればさん、「枕草子」愛を大いに語る

10月29日(月)
「たらればさん、SNSと枕草子を語る。」に参加しました。

経緯はよく知らねども、Twitter上で著名な、たらればさん(枕草子LOVE)が、ほぼ日と組んで「ほぼ日の学校 番外編」として開催されたものです。

「枕草子」は、
一条天皇と中宮である定子(ていし)と、定子に使える女房たちが形作るサロンの様子を伝えた随筆です。

この作品、実際には、
優雅だねー、
ハッピーで素敵なサロンでした〜
パチパチパチ、
という作品ではないんです!

定子の実家である中関白家(なかのかんぱくけ)の没落、
定子への冷遇、
そして定子が亡くなったあと、
にも書かれ、編纂されている。

この作品、定子が冷遇されていたときは定子自身を慰めるために書かれ、
定子亡きあとは、定子の魂を慰めるため、書いて、編纂されたと。

それを知るとグッときます。

前半、枕草子LOVE!な理由をたらればさんが、その気持ちと理由をひたすらにしゃべり続けます。

原稿の文字数は、14,460文字だったそう・・

その内容は「枕草子」と清少納言 愛に、あふれてます。

たらればさんの話した内容の主な解釈の部分、「枕草子」のこと、その背景を知るには、山本淳子先生のこちらの本がオススメです。

どういうおもしろさ?かと言えば、
 「マスターキートン」で歴史を扱う回、
 北村薫の『六の宮の姫君』のような文学推理もの
を見る感じ。(わかるかな〜・・・)

「マスターキートン」の中で、
考古学者の平賀=キートン・太一は、娘にこう聞かれます。
「お父さんにとって考古学ってなに?」
「そうだな、私にとっての考古学か・・屋根裏みたいなものかな」

「父さん、小さいころ、家の設計図を書くのが好きだったんだ」
「一番のお気に入りが屋根裏部屋だった。そこでの暮らしを想像して、
 窓から見える風景を思い描く。考古学もそうだ。
 時代を超えてそこにいるような気がしてくるんだ」

まさに、書かれた内容、当時の政治、風物に関する資料をこれでもかと見つめ、編纂過程を推測し、あらゆるものから、清少納言の考えたことを想像します。

こんなおもしろさ、楽しみ方があるんですね。

(今回「マスターキートン」の話は1mmも出てません)

たらればさんは言います。
過去の人は、やはりどんなに想像してもわからない。行間の情報のほうが多い。

だから、研究者が著した清少納言というものは、半分は、その研究者自身なんじゃないか?

そう「枕草子のたくらみ」の清少納言はいやに魅力的です。

後半は、たらればさんが、いま、大谷翔平より会いたかった!と言わしめた山本淳子先生と、ほぼ日の学校の河野学校長、たらればさんの3人のトークです。

たらればさんが事前に考えてきた質問に、山本先生が答えます。
「好きな章段は?」
「清少納言は紫式部と会ったことあると思う?」※1
「なぜ随筆という形式はすぐに広まらなかった?」※2
などなど。

※1・・2人が宮中にいた時期は数年ずれてるが、住んでる場所はそんなに遠くなかった。山本先生は、紫式部が書いたものを見ると、会ってなかったんじゃないかと。※ 2・・3代随筆と言われる「方丈記」「徒然草」。「方丈記」でも「枕草子」から2百年後に書かれている。ただし、山本先生曰く「方丈記」は中国の「記」という形式で書かれたもので随筆と呼んでいいかどうか疑問。となると、3百年後の「徒然草」まで随筆という形式はなかったことに。

質問も愛情があふれてますが、山本先生も負けずに枕草子愛、清少納言愛にあふれて、こぼれています。

「清少納言にひとつだけ聞けるとしたら?」
という質問に、山本先生は「一晩くらい語り明かしたい」と。

先生の本を読むと、あれだけ調べて想像しても、わかった気になれない部分があるなら、実際そう感じるだろうな、と思うばかり。

その他、この質問は気になりました。
「藤原道長は枕草子を読んでた?」
道長は政敵だった当時の最大権力者です。

政敵側の礼賛した本なんて、焼き捨ててもいいはず。

枕草子は出回ってたようなので、道長もきっと読んでいたはず。
紫式部が書いた「源氏物語」は、新たな話ができると、貪るように読んだというから、出回っていた「枕草子」を読んでいなかったわけはない。
実は、定子が亡くなったとき、道長は、亡霊を見るくらい気に病んでいた。
亡くなって、それを鎮魂する意味でも、「枕草子」はそのままにしておいたと考えられる、と。

とにかく、残してくれた道長にも感謝です。
ここまで愛にあふれる話を聞いて、残っていてくれた・・という事実で、心が温まりました。

私も、屋根裏の景色を想像するような古典の付き合い方を探ろうと思いました。


終わった後は、銀座まで移動し、ほぼ日の学校[シェイクスピア講座]の同窓会。

今やってる歌舞伎ゼミの参加者、次の万葉集講座の参加者もいて、こちらも素敵なサロンという感じ。(カレーの学校の人もいたね)

古典、劇、いろんな話題がこぼれて、愛にあふれて、楽しくて楽しくて・・

ほぼ日の学校は、素敵な場、出会い、を提供してくれてます。

最後に、イベント当日だけでなく、イベント前後のツイートを紹介。

ほぼ日の学校関連のツイートは、よくTogetterにまとめますが、さすがTwitter民のたらればさん・・

ツイート多いわっ!!!

酒飲み過ぎて帰宅したのに、帰ってから2時間くらいツイート集めてました。
(こんな作業、もうやめよう、もうやめよう、といつも思うのにね。見ちゃうと集めたくなるのよね)

でも、素敵な時間でしたね。

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