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幡野広志さんの本から『いい写真』について考える。

(Amazonレビューに以下のnoteの抜粋を投稿予定です)

幡野広志さんの『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』を読んだ。
ヨシタケシンスケさんの表紙絵がかわいらしい。絵の通りかわからないが、ご家族の関係性まで見えるようで、とてもいい。

ここ数年、写真に心が動く時がたまにあります。

最近では… といいつつ、一年半くらい前になりますが、東京都美術館の「展覧会 岡本太郎」で岡本太郎さんが全国を歩いて撮った写真を見た時に「あ、すごくいい」と感じることがありました。

何がよかったんでしょう?

この時は、絵や彫刻について、なるべく感想を言葉にして会場を出ることを試みましたが、写真は作品の素材の一つくらいに考えて、会場内で、いいと感じた理由まで考えることはありませんでした。

写真で心が動くことがたまにある、という以外は、いろんな人がインスタにアップするように、食べる時、料理した時、iPhoneで写真を撮る程度です。あとは見慣れない風景やいいと感じた建築ですね。

iPhoneで撮るだけでも、とても楽しいと感じています。

ただ、この本は、iPhoneで楽しむ程度では届かない、もっと先、ちゃんとカメラを使って、目的に合ったレンズで、パソコンで作業をして写真を撮ることをはじめる人向けの本です。ただ、今の私にもやってみたくなること、背中をおされることがいくつかありました。

写真を撮る理由

幡野さんが考えるいい写真は「見た人に感情が伝わるもの」だそうです。カメラを持った人は、何かを伝えたいから写真を撮る。

ここ数年、いろんな美術館や博物館で、作品を意識的に見るようになったせいもあるし、短歌で日常を切り取ることをしているので、幡野さんが感動のハードルを下げるといい、とおっしゃる状態です。

これいいなぁ、とすぐに感じます。その瞬間に撮影すればいい。いいな、と思ってみたものを撮ればいいそうです。

実際に、それに近いことをしているので、引き続き、見たもの、いいな、と思った瞬間に写真を撮っていきます。

言葉で説明する

本でよかった箇所は、写真は「言葉を足していい」、むしろ、「ちゃんと言葉で説明しなきゃダメ」と写真家である幡野さんが言ってるってことですね。

記事など、文章で伝えること同様、何かを伝えたくて撮るのであれば、もちろんそうすべきですけど、やはり、権威者らしい人が言いそうな「見る人が考えればいい」という言葉に騙されていたようです。

インスタにアップするときに、少し伝わる言葉を考えてみようと思います。

感想を添えるだけです。タイトルではなくて、感想です。

例えば、幡野さんが遊園地で息子さんと回転するブランコに乗った時の写真では、

「家族で行った遊園地、小学生になった息子はお父さんの前を行くようになった」

『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』

といった具合です。

「いい写真」について考える

私には「伝わること」が「いい写真」かどうか、まだ納得できていません。私が見た岡本太郎の写真(庶民の暮らしの一部、土器)は、私自身「なんかすごい」と感じるものでしたが、岡本太郎本人が、誰かに「すごい!」を伝えようと思って撮ったものではなかったでしょう。でも、「これすごくない?」と自分自身に伝えようとはしていたのかもしれません。

私は、自分が食べたおいしいものをおいしそうに撮りたいし、自然物、建造物の、かっこいい、でかい! を感じたままに撮れればいいんです。でも、でかい自然物、建造物は、距離や光のことをまったく知らずに撮っていたので、毎回、うまく撮れないなーと思っていたところ。iPhoneでも、建築物を撮る方法について、解説した記事が見つかったので、試してみようと思います。

ただ、幡野さんが本の中で指摘しているように、自称専門家の言っていることを鵜呑みにせず、ちゃんと考えて、試したいところ。写真は「考えて撮るもの」だそうなので、行為に自分の思考を挟める状態には、して臨みたいですね。

また、SNSで幡野さんが料理を撮るのは難しいという話もされていたので、私が楽しもうとしていることは、とても難しいことなのかもしれません。それでも、自分の心が動いた瞬間、シャッターを切ることは続けてみようと思います。1,000枚に1枚くらいは、それでもいい写真が撮れるかもしれませんし、1,000枚に一枚取れれば、それを800枚に一枚、500枚に一枚を目指せばいいだけです。

「いい写真」ってなんでしょうね。

私は、自分で見た小さな感動を記録したいと思っているだけですが、それが幡野さんのいう「伝わる写真」とまったく同義かもしれませんし、そうじゃないかもしれません。自分が撮ったものを見るのは、翌日の私、あるいは半年後の自分なので、誰かに伝わる写真=将来の自分に伝わる写真でもあると言えるでしょう。自分にとって「いい写真」「撮りたい写真」をiPhoneのシャッターを切りながら、もう少し考えたいところです。

写真展に行けば、「あぁ、これだ、こういう写真が撮りたいんだ」に出会えることもあるでしょう。その時に「こういう写真いいなぁ」をもう少し言葉に、文章にしてみます。

まだまだカメラで写真を撮りたい、まで気持ちがありませんが、いい光がある朝夕を狙って写真を撮りたいと思っていますし、普段している言葉で説明することを、今より少し、写真でも考えたいと思いました。日々詠んでいる短歌にもきっと活きるでしょう。

おまけ

幡野さんが、写真をはじめる人にオススメしている作品がありました。以下では、『ザ・マジックアワー』くらいしか、すぐに見れなそうですが、時々探してみたいと思います。

写真をはじめるなら見るべき映画・読むべき書籍

『未来を写した子どもたち』
動画配信がないけれど、何とか見たい。

三谷幸喜さん監督のザ・マジックアワー
光の話を理解するなら、これ。

安友志乃さん著『撮る人へ』
Amazonにもなかったし、区内の図書館検索でも見つからなかったけれど、何とか読みたい。

おまけ2

幡野さんに「良い写真」って言ってもらった写真。撮りたいって気持ちも湧かないままにシャッターを切った写真だけれど。


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。