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ご家庭でできる製本マニュアル

上製本と中綴じは自作、リングノートは既製品。リングノートは開きがいいし背に余裕があるのでスクラップブック向きですね。写ってないけど日記帳とかも自作してます。確定申告の資料なども簡単に製本してまとめたりとかしてます。

手持ちのスクラップブックを集合させてみたところ。最初はそこらへんにあった使いかけのノートやノベルティのダイアリーを再利用していたのだけど、途中から自分で製本したのを使うように。製本を始めるきっかけも、集めた紙(30年間くらい放置されたコピー用紙とか、緩衝材としてぐしゃっと入っていたいい感じの紙を引き伸ばしたものとか、黄ばんだセロハンテープつきの古い包装紙とか)のちょうどいい利用法がそれしかなかったから、という、いずれにせよリサイクル目的です。エコというより、紙ものの供養・成仏です。

上から見ると、ほぼ全ページ何かしら貼りつけてあるもの(右端とか)は膨らんでるのがわかります。いま全国のロフトさんを巡回している紙ものイベント「ライフライクボックス」に、ハンドメイドのノートを置いていただいているのですが

こんなぱんぱんにしても壊れないです。頑丈。10年くらい経っているものもあります。
こんなかんじのハンドメイドノートを置いていただいています。ところでこのへんの柄は、表紙に貼っている紙がだいたいなくなってきたので、そろそろ終わると思います。あと、本文用紙にしている紙もだいぶ使い切ってきたので、ここまでバラエティある内容もラストかも。

全体的にふわっとつくってあるのは、いろいろ貼り付けていくと最終的にこうなるというのを見越して。背脇の溝も、ほぼ意味をなさなくなります。

切り抜きは、クリッピングパスをつくるかのように、物体にそってきっちりやると後悔しにくいと思います。「Photoshopでスクラップぽく仕上げる」みたいにラフな感じを狙ってランダムにフチを残す(これはセンスが必要)と、組み合わせにくくなる気がします。わたしは。

1冊埋めたら次、ということをやっているので、ノートごとに時代が違うはずなんですが、貼り付けるときに厳選してるので、自分の好みを思い出す貴重な資料になっています。雑誌ぜんぶとっておくのは無理だし、惹かれたとこを再度開くのも数が増えてくると無理になってくるけど(惹かれてなかったとこにあとから惹かれるということもありますが…)、凝縮させておくと見やすいですね。

これはクッキングシートの本文。カモ井さんのマステはうまく貼り付きます。糸で中綴じにしているので開きやすい。

マスキングテープの見本帳もあります。クッキングシートやワックスペーパーを本文用紙にすると剥がせるので、あとで配置換えしたり、どうしてもというときはちょっと使ったりできます。販売しているノートにもワックスペーパーを挟み込んでいるので、そんな感じで使ってください。ほかに、シールをはがしたあとの台紙をとっておくという手もあります。

クッキングシート以外に普通の紙も混ぜ込んでおくと、どうしても貼り付かないものとか(メーカーによってそれがある)、ラベルを残しておいたりする場所にもなります。
最近、表紙にしてみて世界堂の柄のかわいさに気づく。ライフライクボックスに置いてある見本(1冊しかないのでどこかの会場に)の表紙も世界堂の紙袋の柄。

集めた紙袋の柄も、表紙にすると有効活用できます。表面コーティングされているものが多いので、汚れにくいというメリットもあります。
そんな感じの製本ノウハウを集めた同人誌をつくってみました。

関係ないけど、手前に写っているサボテンの造花はeast side tokyoで買ったものです。ここはちゃちくない造花がたくさんあります…もう(枯らすので)これでいい…
説明の方法をいろいろ考えたんですが、すみずみまで細かく説明するには、全行程を図に起こして番号入れるのがいまのとこ最適解かなあと。あとのほうに掲載する写真も見てみてください。
全工程洗い出しの状態。写真だと撮り逃しとかどうしても撮れない状態があるけど、図ならあとから描き足すことなども可能。角度もきっちり揃う。実際、原稿作成時は机上の空論で、検証で気づいた抜けをあとから補完した工程などもあります。

最初の頃は、自分が知っている方法やよく使う方法だけさくっとまとめようかなーくらいに思ってたのですが、このさい、家できそうなものを網羅してみたいなと思い、分類・整理して、本体の製本方法(12種)+表紙のつけかた(5種)を掲載しています。基本はアリスブックスさんで通販してますが、ライフライクボックスにも置いていただいてます。現地では見本も見れると思います。


参考文献はこちら。奥付ページに載せておいたのですが、どのみち、どちらも入手困難です。この手の本、確かな需要はあるけど出たら即買い、というものでもない(あるとき急にやりたくなって探す)ので、そもそも数が少ないと思うんですよね。わたしの同人誌もそのうち入手困難になるだろうなと思います。そのうちやりそうだな、と思うかたはいまのうち押さえておいてください。

ひきだしのほうは、製本方法が載ってるわけではないんですが、全体を俯瞰して分類するときにとても助かりました。いま依頼できる、ほぼすべての製本技術が載っているので。あと、製本見本がいくつか付録でついているので、これ観察するとだいたいどうすればいいのかわかりますね。
ひきだしは毎回売り切り御免なのでもう難しいですが、「印刷所や製本所が得意とする製本・加工技術をまとめた本」などは、イエローページ的に何かしら定期的に刊行されているのではと思います。書店で探してみてください。

美篶堂さんのほうは、わたしがずっと頼りにしてる本で、表紙の付けかたや箱のつくりかたなどがわかりやすく解説されています(本文製本部分は実はあんまりないですね)。ただ、ガチプロすぎて素人にはちょっと難しい作業も途中にあったりする…。おそらくこれでも相当手加減してくださってるとは思いますが。この本については、もしかしたら改訂版が現行であるかもしれない。

さっき書いたように、わたしの同人誌では全部図解で説明しているのですが、写真もあると理解しやすいかもしれないので、飛ばし飛ばしですけど、ここに一部置いておきます。現場はこんな感じです、という。
通しで見てみたいかたは、ツイートスレッドのほう見てください。

https://twitter.com/yue9/status/1444292863081152518

穴をあけているところ。糸綴じのでだしはいつもここから。
実際はこんなふうに糸を長めに取って縫うので、図でみるほど現場はすっきりしてないですね…。これは2折りあって、1折に戻ってきているところ。
背側から見たところ。実際は折と折の間はそんなに空いていないので、工程でこの写真見ても何が何やら、っていう感じになりそう…。1折と2折の間を糸が行ったり来たりしてるのがわかるでしょうか。ワークショップでは、どっちの折をメインで縫っていたのかわからなくなるかたが多数発生したところです。わたしもたまに間違えます。糸を切る前に内側から目のチェックして、抜けあったらこっそり足しておきます。
背にボンドをつけ、脇に見返しを貼ったところ。以前は先に背にボンドを塗って、それが乾いたころ見返しを貼って、みたいなことをやっていましたが、最近は背からはみ出たボンドで見返しも貼り付ける、そのあと背のボンドを利用して寒冷紗も貼り付ける、みたいな横着をしています。ようは見返しを貼って背の補強ができればいい、という感じの工程です。
背に貼った白い紙みたいなものが、寒冷紗シート。ガーゼを紙に貼り合わせたような感じのものです。最近はうちの在庫がなくなったので、昔の布製包帯(ほぼガーゼ)使っています。これはたくさんあるので。そんな感じで、何のためにこれがあるか、というのがわかると、代用できそうなものが見えてきます。
表紙を厚紙に貼り付けたところ。これの角折りが難しいので、きっちり図解してあります。最初は適当な紙で練習するのおすすめ。
このあと見返しと表紙裏側を貼り合わせるわけなんですが、これがほんとに難しいので、少しでも成功率上げる方法(試行錯誤の結果)を本で解説してます。この作業、わたしも苦手です…。
そんなかんじで、こういう本ができます。これ、ライフライクボックスに出したものの1冊なので、たぶんどなたかお持ちだと思います。


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