うちの子は精神的に病んでいる子じゃないんですけど。

 Xにてある記事を見かけました。
 とある市長が『大半の善良な市民は本当に嫌がる子を無理矢理学校に押し込み義務教育を受けさせてる。無理して無理して学校行っている子にフリースクールがあると言えば雪崩現象が起こり国の根幹を崩す。不登校になる大半の責任は親にある』と発言したと。

 わたしの息子も高校一年生の時に不登校になりました。
 といっても、高校生は単位の問題があるのでそんなに休んでいられません。留年するか退学するか、もしくは通信制などに転校するかを選ばなければなりません。 
 
 それはある日の朝突然起こりました。
 確かに前から学校に行きたがらないとか、体調を崩しやすいとかあったけど、まさかうちの子が?! というのが本音。
 何か嫌なことがあったのか、意地悪されたのか、何が辛いのか聞きだしては泣かせてしまう。

 これ以上生きていたくない。
 もうしにたい。
 そう言って身体を震わせ号泣する姿に心が苦しくて辛い日々でした。

 毎日どうしたらいいのか悩み、考え、家族で話し合っては前向きになったり途方に暮れたりの繰り返し。
 スクールカウンセリングに行ってみたけど、結局何の解決にもならない。
 そもそも本人はもう学校には近寄れなくて親だけでカウンセリングを受けて結局世間話程度に終わるだけ。

 そのうち学校から「単位が足りなくなりますよ」と連絡が来る。
 三学期の始業式までは行けたのであと少しで一年生はクリアできるのに、これを逃したらまた一年長くなってしまう。
 迷って、なんとかならないのか相談した時の解決先がこれでした。

メンタル的な理由で学校にこれないなら、あと少しお休みできます。

 それは
『精神科に通ってメンタルが病んでるから学校にいけないんです。本当は行きたいんです。でも具合が悪くなったりするので無理なんです。ええ、メンタルのせいです。精神的におかしいんです』

 そう診断を受けたらいいですよ、ということでした。

 正直
 ふ、ざ、け、ん、な!!!!!と思った。
 うちの子全然普通ですけど。
 ただ、学校が合わないのでこれ以上いけないって言ってるだけなんですけど。
 なんで精神科に通って診断されて薬を飲まなきゃいけないの? 
 学校に行きたいないって以外はいたって普通に過ごしてるんですけど。

 もちろん、メンタルの不調は誰だって抱えるときがある。
 それは全く悪い事じゃない。わたしだって何度もそういう時があった。予約が取れなくて呆れたけど、それだけ苦しんでいる人が多いってこと。

 ただその時はそれしか方法がないと思って、とりあえずかかりつけの内科に行って、どうしても困ってるから診断書を書いてくれと頼んで病気を作ってもらいました。
 今考えるとおかしい。
 だけど進級するのはそれしかない。
 
 学校からは保健室登校もあると言われました。
 だけどそれは学校に頑張ってきましたよって先生へのアピールになるだけで、単位にはならないそうです。
 まったくもって意味がない。
 こっちが欲しいのはあと数日の登校日数だけ。ゼロにするわけにはいかない一心なんです。
 
 今思えばかなりのワガママを通したと思います。
 お世話になった先生たちには感謝しきれません。
 学校がなにか悪いわけじゃなかった。ただ、本人と合わなかっただけ。

 どうしても偏差値だけで決める進路はこういうミスマッチが起きてしまうと思う。何人も生徒が辞めているとも聞いきました。
 普通科同士で試験さえクリアしたら転校可能だったらこんな苦労はなかったかもしれない。

 先生たちも大変だったと思うけど、親だってどうしたら子供のためになるのか必死でした。
 眠れない日が続いたし、考えることはどうしてこんな風になってしまったのか、何が悪かったのか、自分を責めたし小さなころからの育児を思い返しては後悔した。
 どこの時期だって必死だったし一番いいと思ったことを選択してきたはず…。
 
 可愛くて大好きで大切で何より幸せになって欲しいと願ってきた自分の子が苦しんでいる。その現実に押しつぶされそうで、神様に願った。

 だけど全部親のせいなんですか。
 そりゃそうかもしれない。どこかで間違ったのかもしれない。
 親だって何でも完璧に正解をしっているわけじゃないから。いつだって後悔しては謝って訂正してどうしたらいいか迷いながら子育てをしている。
 
 無事進級できた息子は2年生から通信制の高校に転校しました。
 最初こそ不安そうだったけど余裕が出来てきたのか、今では少しずついろんなことに挑戦し始めています。
 まわりを見れば普通に登校している同級生たちがいて、時々、今頃うちの子も…と考えることもあります。
 だけどそれはひとそれぞれ。
 今は彼なりに将来の目標があってそれにむかってがんばりはじめている。
 
 ふと思い返す。
 あの時、なんとかしなきゃってメンタルの病のせいにしたけれど、学校にいけない子供は精神的におかしいわけじゃないよって。
 本人は「あれしか方法がなかったし、そういう制度なんだから仕方ないよね」って受け入れている。
 学校にいけない=精神病。
 そういう思考が教育に携わっている人たちに蔓延っているなら、言わせてもらうけど、あなたたちの方が精神的におかしいんじゃないの?

 ひとりひとり違うし、得意不得意がある。
 それさえ認められずに、小さな枠に納まる子がいい子で外れた子は精神が病んでる子って失礼にもほどがあるよ。

 そもそも通いたいと思える学校を作れない。
 もっといえば仕事に行きたくない大人であふれかえっている。
 メンタルを壊しながら生活のために何かをしなきゃいけない。
 そういう世の中の方がイカレてる。

 将来苦しむための練習をする学校なら要ります? そんなもの。

 トップに立つ人たちがわけのわからない根性論なのがよく分かったけれど、それが一番の害なんじゃないのかしらね?
 いつかもっと子供たちがのびのびと自分らしく生きて、それが当たり前になればいいと願っています。

 



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