見出し画像

DIALOGUE+ LIVE TOUR 2021(感想)ー遠くから届く宇宙の光、街中で続く暮らしに君だけのダンスを捧げろ

2021年、君たちに出会えたことを誇りに思う。溢れ出す感情を胸にZepp Osakaに向かった。

「やばい。楽しかった」…そう言う言葉で簡単に表現してしまうと勿体ない気がした。声優アーティスト以外もなんとなく2021年の音楽とその動向を追っている身である。それを踏まえて言えば「革命の夜だった」と断言したくなる。そんなライブだった。

「アニソンはこの国の文化だ」と言いながら声優アーティストに見向きもしてくれない音楽評論家の言葉を信じられなくなった。だけどもうそれでもいい。僕が理解してみせる。

ついにここまで来た。声優アーティストがてっぺんを取った。僕の目にはそう見えた。間違いなく1番だった。どこに出しても恥ずかしくない音楽、パフォーマンス、今を刻んでいく姿勢があった。「今一番勢いがあるアーティストだ」と誰がが言った。月並みな表現だがその通りだと思った。未来は誰にもわからないが今は確実にそうに違いないと。今を見つめ、今を好きだと言いたい。その積み重ねを未来と呼ぶ。僕はそう教わった。

ライブレポート

振り返れば今年1番聞いてるアルバムかもしれない。もちろん彼女達が好きだから聞いているのだが、その完成度は聴くたびに増していくばかりで…それがもはや生活のひとつに溶けこんでしまうほど心地良いのである。いつも着てるパジャマみたいな感覚だろうか。良い夢を見ていたはずなのに、目覚ましに起こされながら朝食を済ませ労働に向かう。何気ない1日のルーティンを音楽が彩ってくれる。DIALOGUE+1は中でも今年1番きっと僕に寄り添ってくれた音楽である。

オープニングムービー、まさにそんな僕らの日々を再現するような映像が流れる。メンバーカラーのピクトグラムと生活音が朝のルーティンを描く。音楽と生活、切っても切り離せない。そんな日常を初っ端から映し出すものだから泣いてしまう。まだメンバーも出てきてないのに僕は涙をマフラタオルーで拭った。やっと少しずつ戻り始めた日常を享受している今に感謝する。

映画でも始まりそうな「ドーーーン!!」という音と同時にツアータイトルがモニターに現れる。メンバーが2人ずつ出てくる。1曲目“かいかいせんげん”が始まりのベルを鳴らした。元気一杯の8人、それよりもさらに元気が良すぎるバンドサウンドが音楽と僕らを歓迎してくれる。目が離せない。曲が進むたびに心拍数が上がる。前方には背の高いオタク、横には振りコピおじさん…良好な視界を獲得するのが難しい状況である。見逃すシーンもある。しかしそれもまたライブハウスの醍醐味のような、少しだけ懐かしい景色を思い出す。構わない。

彼女たちはほぼ全く休憩を挟まずに走り続ける。4月に見た時よりパワフルに動き回る。一体全体どうしたらあのダンスとボーカル、笑顔を両立させながらステージに立てるのだろうか?想像できないほどの鍛錬があるに違いない。

それにしても緒方佑奈は背が高く色っぽいから目立つ。最推し=飯塚麻結や村上まなつを追うべきだった目線が彼女に奪われる。特徴的な声を聞けば再び目線を奪われる。目のやり場に困るくらい色気を発してくる。これまで問題視されていた声量も少しずつ改善されてきている。罪な女であること、それだけが完全に真理であった。

間髪入れずに曲が続いていく。こちらはもう心臓がバクバクしてる。爆発しそうである。それは会場の熱気のせいでもあるが、何より目の前で繰り広げられる音楽が胸を打つから。この視界を失っても音と声で繋がれるような気がした。そんな気持ちを抱き締めながらまた涙が溢れる。何度も、何度も。

“シュガーロケット”で加速したまま、気がつけば序盤を駆け抜けた。呼吸を整えながらお茶を飲み干す。500mlのペットボトルが一瞬でなくなってしまう。それはまるでフルマラソンの給水所を思わせた(マラソンしたことないから知らんけど)。なんだこのライブは?スポーツの一種か?

中盤、音も照明も消えたモニターに映し出されたツアータイトルを見ながら冷静を取り戻した。気持ちの良い静寂が1分弱流れる。例えば良いバンドのライブを見た時に流れる時間、次の展開のために準備するようなあの空気感が流れた。DIALOGUE+はロックバンドだろうか?いや、声優アーティストだったはずである。つい数分前に目の前で何が起こっていたのかわからないライブ、愛しい記憶を何度も回想する。静と動を操るような時が流れる。バンド演奏により劇的な進化を遂げた“あやふわアスタリスク”サビ部分のベースが地上を揺るがすように鳴り響いたこと、それに負けないくらいラストの宮原颯希の歌声に生命の躍動を感じたこと、あるいは“I my me mind”の美しい化学反応を思い出す。恋よりも少し深い余韻が胸を埋め尽くしていった。

直後、昭和の音楽番組を見るようなライトが点滅しながら“謎解きはキスのあとで”のイントロを長尺アレンジで披露するバンドメンバーたちを眺める。二村学のベースラインが美しい。ほどなくして真っ白な衣装を着たメンバーたちが現れる。今最も必要とされているポップスが始まる。ふと視線を移せばセンター2人の輝きに負けないくらいの少女が視界を支配する。傘を開いては閉じる隙間から今日もキュートな泣きぼくろを溢すのは我が推し飯塚麻結である。今日もかわいい。僕はどうしてペンライトを持ってこなかったのか。今度はきっと君にアピールしてみせる。

そしてまたDIALOGUE+は駆け抜ける。“プライベイト”で波打ち際に想いを馳せる横ノリを覚えさせ、“20xxMUE”では天にVANSのスニーカーが飛び上がるほどのモッシュダイブを想起させる。無茶苦茶になっていく。パイプ椅子を壊してしまわないか心配になる。DIALOGUE+1というアルバムが持つ音楽の多様性、豊かさがフィールドに炸裂していくのがわかった。音楽って楽しい。

乱れた息を整えながら、予備で買っておいたお茶を半分だけ飲みながら終盤へのカウントダウンが始まる。大ヒット曲“おもいでしりとり”へ繋がったシーン、美しいフォーメーションに魅了されていく。村上まなつの声がこの胸に溶けていく。聞くたびに、見るたびに楽曲を乗りこなすのが上手くなっていく彼女達を再確認する。

しっかりと歌い切りながらステージを去る8人が残した光、それを拾うようにモニターに映し出された映像が希望に見える。大宇宙に点在する8つの光はきっと遠くから届きながら僕らを照らすもの、生活の灯火である。かすかな光がステージを照らす中に8人の希望が帰ってくる。

ゆりにゃ「初めは小さな光だった。」→ねねさん「その光がひとつ二つ、八つ集まって少し先の未来を照らした。」→きょんちゃん「踏み出した先はやっぱり怖くて闇雲に手を伸ばした。」→ゆうなさん「そしたらみんなの手に触れた。しっかり繋いで今日まで頑張ってきた。」→やかんちゃん「この今は私たちがちゃんとちゃんと頑張ってきた大きな証。」→さっぴ「この今が続いて欲しい。だから私たちはちゃんとちゃんと頑張り続ける。」→まゆゆん「この先に続く未来を愛せるように。」→まなつ「ここにいる皆さんがその未来でもいっしょにいてくれるように」

今が好き。

またもバンドアレンジによって生まれ変わった音が会場を包み込む。星に願いをかけたその先から繋がれた流星のようなアンセムがありったけの希望を奏でた。「ああ僕はDIALOGUE+に出会えて良かった」というシンプルな気持ちが1番色濃く出たシーンである。踊りたいように踊り、生きたいように生きる。それだけのこと。

続いて“人生イージー?”が流れ始めると終わりが近づいてくることを理解せざるを得なくなった。しかしそこに悲しいという感情はなく、まっすぐに未来へ向かっていける気がした。僕らは今日まで頑張ってきた。この音に向き合える自分こそがその証。今日が楽しいから、未来でみんなといっしょに笑いたいから頑張る。だから頑張ってないの君の甘えだ。ここにいる人たちはルールを守り頑張ってきた。そんな仲間と頑張って頑張って未来で笑い合いたい。ただそれだけの気持ちを抱きしめる。

“大冒険をよろしく”で滅茶苦茶になりながら隣のオタクと足を踏み合い、“花咲く僕らのアンサーを”が熱い想いを綺麗に繋いでいく。あんなに飛び跳ねたのはいつ以来だろう?楽しくて楽しくて仕方ない。この鼓動が爆発しても良いと思えた。ここに捧げる。嗚呼これを幸せと呼ぶのだろうか?そうに違いないと確信できる時間が続く。

“透明できれい”が涙腺をナイアガラの滝のように崩壊させる。今が好き。DIALOGUE+がいる今が好き。ラスト、アルバム曲順通りに“はじめてのかくめい”が始まる。今日もまた過去からずっと続いてきたはずの真新しい気持ちの更新、それを革命と呼ぶことに決めた。いつも真っ新な気持ちを胸に不可能や絶望に立ち向かう君たちに胸が熱くなる。僕もきっともう一度変われるし変わる。そう約束した後に音が鳴り止んだ。

もうここで帰っても良いくらいの満足感が広がっていく。しかしアンコールを呼び起こす。声が出せない分、みんな手を叩くしかなくなる。スマホ見てる場合でもないしトイレに行ってる場合でもない(漏らしそうなら致し方ない)。あのステージに8人を呼び戻す為のクラップを全員がやらなきゃいけない。そんな想いを乗せて鳴り響く拍手、その音を聞くのが僕は好きだ。それもきっと音楽である。今日はその純度が高い。僕らだけ、今日だけ奏でられる音楽を彼女たちに感謝の意を込めて返していく。

ライブTシャツに着替えた8人が返り咲く。内山悠里菜さんが静かに言葉を発する。「私にとって音楽はやらなきゃいけないことでした。………でもツアーを通してスタッフやファンの皆さんと作る音楽、音楽が好きになりました」、そんな旨を語ってくれたことを覚えている。それはすごく幸せなことだと思う。僕はDIALOGUE+が好きである前に音楽が好きである。そんな気持ちに気づいてくれた少女が満面の笑みを浮かべながら今日の幸せを受け止めている姿にまだ涙が流れる。泣かざるを得ない。1人の人間が変わる瞬間を見た。

こんな時間がいつまでも続いて欲しい。そう願った先に“好きだよ、好き。”が流れ始める。あの日思い描いていたより素敵な未来に辿り着いた8人、そして自分自身にも拍手を送る。正真正銘のラスト、涙を吹き飛ばすように鋭いギターが空間を切り裂きながら“ダイアローグ+インビテーション”が幕を下ろす。

きっと想像よりも高まる
気づけば笑えるような
摩訶不思議で未開拓な未来へ
ご招待しましょう!
めちゃくちゃではちゃめちゃすぎる世界へ
一緒に行きましょう!

未来は誰にもわからない。だからこそ自分次第で変えていける。諦めない。もう無理かもしれない時にDIALOGUE+を聴く。そして確実に変えながら今日もまた更新した。不安定な時代にそんな証明となるようなアルバムをリリースし、それを反映したライブをやり遂げた8人に拍手を送る。君たちが描いた未来、そして希望を受け取りながら誰かやどこかの世界に返していく。今日もまた人生はイージーじゃない。だから楽しんでいく。

その先でまた君たちに会いたい。ありがとう最高の音楽だった。

ツアーファイナルにおける主な変更点

①フラスタの再開

まだまだ油断ならない状況ではあるが色んなことが少しずつ緩和されてきている。その延長線としてフラワースタンドが再開されたのは喜ばしいことであった。いつも“当たり前とは何か?”に対して疑問符を投げかけ続けるDIALOGUE+の姿勢が好きだ。当日、まるで東京ドームシティホールのステージに続く道を祝福するかのように入り口いっぱいに並べられたフラワースタンドを見ながら泣いた。この瞬間を待ち侘びていたファン一人一人の想いや声が聞こえてくるほどキレイだった。過言を申し上げればDIALOGUE+が一歩先を行くたびに「未来が進んだな」と最近思うようになった。そうしていつかまた声も出せるような気がした。それは、何かを失う前よりきっとアップデートされた世界に違いない。

②オープニングアクト=堀崎翔
開演15分前頃、ギター(バンドマスター)の堀崎翔さんがサウンドチェックに現れた。何の前触れもなくB'zの“いつかのメリークリスマス”を弾く。そのままB'zメドレーなどを披露しながら軽めの挨拶と共に去っていく。昨今は分散入場が常識であるがまだまだルールを守らない輩も多い。ツアーファイナルということもあるが、時間を守った人だけに送られるナイスなサプライズであった。

③Domostic Forceが新曲に差し替え
正直驚いた。アンコールならわかるが初期代表曲のひとつを潰してまでも、あくまで現在の自分達を刻んでいく姿勢に感動した。打ち込みインストの後、やかんちゃん「新曲やります」を聞いたファンの6割が漏らす「はあ??」が響き渡る会場が滑稽であった。どこからどう聞いても田淵曲だと言う確信が胸を打つキラーチューンであった。

④俺が10列目
今までの中で1番良い席を獲得した。君に1ミリでも近づけるならそのほうがいい。近いのは正義。

⑤内山悠里菜が1番いい顔をした日?
近い故によく見えたという事実を抜きにしても、何故だか彼女を目で追う回数が多かった。正直メンバーの中で特に推しているわけではないが個人的に1番化けた人材だったと思う。気付くのが遅かった。アンコール前の例のMC(それを支える隣の稗田寧々さん、最後の雄叫びも素晴らしかったです)は各所で行われているはずだが、音楽が好きになったという喜びを「私の中に革命が起こりました」と言い切ったのはファイナルだけだったような気がする。その言葉を聞いた時、上手いこと言いやがって…と思いながらこの日一番の涙を流しました。MVPです。今後しっかり観察していきます。

DIALOGUE+は未来を行く

いい曲を出して良いアルバムを作った上でいいライブをする。そんな当たり前をロックバンドのような姿勢でやり抜く8人が今日もまた僕を照らす。僕はただやるべきことをやる。やるぞ、やるぞという気持ちを今日も途絶えさせないこと。2021年に君達に出会ってわかったことが今日もまた今日の僕を作っていく。宇宙から届く光が今日の僕の暮らしを作る。それに対して僕らは踊りたいように踊り、生きたいように生きる。きっとその先に不可能も絶望もない。

2022年、彼女たちは止まらずにいきなりライブを決めていく。現在地を刻む第1部、アコースティックで彩る第2部を繰り広げる予定である。両方見たい。どこまでもついていく所存である。

2021年とは何だったのか?その答えのようなライブを見た。出来る限り多くの人がその答えに辿り着けるように、来年以降もその魅力を伝えながら全力で楽しんでいく。ありがとう。

僕は、DIALOGUE+が大好きだ。

(当日会ってくれたフォロワーの方々ありがとうございました。同じものを好きになっただけの仲間たちが何人も集まり知り合っていく様子を見ているのが幸せでした。また会いましょう。そしてまだ見ぬ君とも会いたい。今後ともよろしくお願いします。)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?