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石原夏織 SUMMER EVENT『Smile Go Happy』感想ー太陽に思い切り手を伸ばしたら何も言えなくて…夏

石原夏織さんがどんどん大切な人になっていく。

親友の域だと言っても過言ではないだろう。恋ではあるが恋人になりたいという思い上がりはない。だけど、あわよくば…そんな錯覚に陥るくらいには心の距離が近いイベントだった。ステージで輝く太陽に思い切り手を伸ばしたら、光と指の先でキスしてるみたいだった。

特別いい席だったわけではない。だけど近くに感じた。誰の、どのイベントよりも近く感じた。何を彼女に伝えるべきか?一瞬だけ言葉をなくした。ありがとう。凡庸なセリフしか出てこない。

人生を振り返った時、一番近くに寄り添ってくれた人たちがいたことを思い出した。今もいてくれる。多分両手で数えられるくらいだと思う。友達は多くない。その中に、石原夏織さんを入れてもいいだろうか?いいですか?入れたい。僕は今日決めた。

失われた夏を求めて

遡ること1年前、燦々と輝く太陽を窓から眺めながら何処にも行けなかった夏を悔やんだ。涙さえ流れなかった。

そこにあったはずのエンターテイメントは奪われた。君に会う機会だって奪われた。だからこそ、その代わりに叶えたこともある。訳の分からないウィルスに負けたくなかった。だけどイーヴンにはならなかった。

君に会えない。その一点が全てだった。

そんな膨大な時間、2020年の夏を埋めたのは一枚のアルバムだった。ほぼ毎日聞いていた。

そのアルバムは45分の間に夏の全てを謳歌した。何処にも行けない僕の心を救った。2020年夏、エンターテイメントの全てはこのアルバムにあった。そう言っても過言ではない。

それは夏の全てを背負っていた。2020年の僕らが叶えられなかった夏の全てであった。この曲がなければ…そしてそれは未来を暗示していた。

きっと 待ち焦がれてたの
これが運命って 思えるような瞬間をずっと…

“Summer Drop”を真夏に歌う石原夏織に会いたい。ずっと待っていた。その時、僕の夏が走り出すだろう。止まったままの何かを突き動かしながら。1年後、その景色を掴むために生きてきた。

2021年2月、少しばかり早い機会がやってきた。

久しぶりに会えた石原夏織さん、同じ志を持つ仲間たちの笑顔に最大限の希望を感じた。

恐ろしい速度で時は流れ、また夏がやってきた。いつもと同じような、だけど何か違う空気を含んでいた。

僕らは、世界は、あの頃とは確実に何か違う。そう思える1年を過ごした。

あの頃に一番近い日

その日、太陽が顔を見せることはなかった。止んでは降ってを繰り返す雨に多少の苛立ちを感じながら折り畳み傘を開け閉めした。

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冷静を保てる涼しさと少しばかりの雨が体を包んでいた。深呼吸をする。何を選んでも様々な不安がよぎる世の中である。でも今日は大丈夫だと思えた。きっとそれは君が与えてくれた精一杯の優しさなのかもしれない。

雨模様がリグレットに変わる前にサンシティ越谷市民ホールは開場した。天候と少しばかり興奮しすぎたファンの密(一部オタクではあるがこの状況の中でイベントが開催される意義も含めてマナーは守ってほしい)を考慮して早めの誘導をスタッフが始めていた。多目的なホールで待機するよう命じられた。また、急遽2階席が使用できなくなるという事態に対しても別の席を用意してくれた。いつも配慮が素晴らしい。

感染予防の為かチケットの半券は参加者が自ら切り離すのが最近のルールである。もはや慣れてしまった所作だったので、スタッフから指摘される前に切り離した。すぐさま席を確認し全体を見渡す。何もかもちょうどいいサイズのホールであった。

開演前BGMの選曲が毎度良い。

The 1975は愛聴しているので思わず興奮してしまった。最高のパーティの為の音楽が用意されている。隣席のファンに会釈する。何も会話しなくても良い。みんなが今日を楽しみにしてきた。そんな空気が充満するだけで、すでに幸せのファンファーレが鳴り始めていた。

元々MCに抜擢されていた鷲崎さん(ゆいかおり時代も含めて重要人物である)が来れなくなり、代わりにこの日の進行を務めたのは井尻晏菜さん(昼)、そして色川奈津子さん(夜)であった。

暗転の後、久々に見る夏織ちゃんの姿に安心と感動の感情が入り混じる。当たり前なのだが今日も彼女は生きていて、このステージに立っているのである。オンラインでいくら見ていても違う。やはり実際にそこに存在する姿を見た時の感動は特別である。

その輝きと相変わらずの天然っぷり、笑顔を見るだけで既に泣きそうになる(いつも泣くのが早い)。どんな局面も笑って吹き飛ばす君を眺める。未来永劫なんだって上手くいくような気がしてくる。その笑顔に勝てない。

そんな彼女の魅力をいつも以上に引き出していたのが、司会の二人であった。対鷲崎さんとは違う化学反応を起こしてくれたのが新鮮であった。この日最初に感じた大切なことである。

昼の部、この関東の地ですら隠し切れない関西弁を披露しながら元気いっぱいにMCを全うした井尻さんに強い好感を抱いた。ファンであり同世代の友人である彼女だからこそ保てる距離感、気の利いたジョークがフレンドリーでよかった。初々しさよりも頼もしさを感じた。オペラグラスで拡大しても美人であった(すぐかわいい子に浮気する目線を送るオタクはダメ)(夜の部にもゲスト出演してくれた綺麗だった)

夜の部は、なっちゃんこと色川奈津子さんが長い付き合いの中だからこそ成せる関係性を披露しながら進めていった(最近のファン向けに説明すると、ゆいかおりが昔やってたラジオからの付き合いです)。夏織ちゃんを見守る一人の大人として、お姉さんとして寄り添っていく姿が微笑ましかった。放送作家である彼女が大勢の前に立つことは少ないだろう。慣れない環境の中で最善を尽くしてくれたことは参加者全員が理解できたに違いない。

楽しい時間が続いていく。ここに一生住みたいとすら思った。こんなにも楽しいことが世の中にはある。日々、自分や何かに負けないように奮闘してしまう僕だからこそ幸せの意味を改めて理解できる。君が笑うだけでいい。この場所に通うのが楽しくて今日も生きている。

気付けばたくさんの笑い声が会場に響いていた。それが様々な視点や時勢から議論された時、正しいかどうかはわからない。しかしもう止められなかった。考えてみれば人の流れも、笑いたいときに笑ってしまうことも止められなかった。我慢しても無理だった。

夏織ちゃんがいつも以上におかしなことを言うから、ゴリラみたいなポーズをするから。それがおかしくて仕方ない。

懐かしい風景がそこにはあった。もちろんまだ何も終わってない。基本的な対策を忘れてはいけない。だけどその上に立つエンタメは肯定されてもいいのではないか?せめて今日は許されても良いんじゃないか?そんな感情が生まれてしまった。スタッフ含めてしっかりやり切っているから誇らしい。みんな何も声援なんて送らない。あの頃に1番に近い気がした。だけどあの頃とは違う今がそこにはあって、それが嬉しくて仕方ない。

みんなで描くストーリー

イベントの中で何が行われていたか?そういうレポートは記憶力と観察力が優れている人に任せたい。今、お茶割りを飲みながら全ての記憶が水に帰っていくことを悟ったので…ダンスを記憶しながらリレーで繋いだり、価値観を認め合うゲームがあったり、クイズ王に挑戦したり…趣向を凝らした企画が続いていた。

この日、僕がもうひとつ強く感じたのはチーム石原夏織の結束力であった。以前からそれは異常なレベルであったし、今の夏織ちゃんの成功がポニーキャニオンの総合力も含めたものであることは理解しているつもりである。しかし今日もまた改めて感じた。

司会を務めた二人も、壇上に招かれた夏織ダンサーズの四人や舞台監督の槇さんも、客席に紛れるサプライズにより登場した澤畠Pも、間違いなく石原夏織を支えながら、その魅力を最大限に引き出してくれる仲間であった。そのようなメンツを陰の立役者に仕立て上げることもできるが、あえて彼女は同じステージに引き上げてきた。

言ってしまえば、ただのトークイベントである。石原夏織×司会で済む話である。正直それ以上を望んでいなかった。しかし彼女は、仲間と同じ土を踏むことを選んだ。それは何より彼女自身が共に戦う仲間たちに敬意を払い、認め合っている証だと僕は思った。

彼女の言葉を借りれば、「友達に友達を紹介するみたいな」ことだったらしい。非常にわかる。僕らが把握してない仲間もたくさんいるだろう。それが彼女の普段通りの表情を作ってくれたんだと思う。今日のイベントが史上最高に楽しかったのはそのおかげだとわかった。

運命を引き裂かれたあの日から、奇跡のソロデビューを叶えた石原夏織が大宮ソニックシティに立った日のことを覚えている。まだ頼りなく、しかしまっすぐに僕らに向き合ってくれた。正直言えばあの段階では「この子はこの先大丈夫だろうか?」と思った。ひとりでステージに立つ君に若干の不安を感じざるを得なかった。

そんな記憶がフラッシュバックする猶予すら与えてくれぬほど、今日ステージに立つ夏織ちゃん、それを支えるスタッフたちは頼もしかった。そして楽しかった。

グローリー1人じゃいらない
作り上げたいな 大きくなった1ページを
一緒に描き足せばまたいつの日か
その話 開きながら笑おうよ
(Page Flip)

みんなで夏織ちゃんを支えながら、みんなで作っていくと言う意識がさらに強くなった。ステージを見た時、客席に目線を移した時にそれを強く感じた。今日この日のイベントこそが石原夏織と、それに関係する僕らを繋ぐ絆だと思った。絆という言葉は嫌いだが今日だけは使いたい。

少しくらい君が転んでも手を伸ばすし、笑って吹き飛ばす。今まで君から与えれたものを数えれば、それでも全然返せない。きっとみんながそう思ってる。いつだって笑顔が絶えない。笑ってればうまくいく。イベントタイトルそのままの日であった。

石原夏織のライブはやっぱり楽しい

トークパートのあとはライブが始まった。

【セットリスト】
1. 半透明の世界で
2. キミに空とクローバー
3. SUMMER DROP
4.CREATION×CREATION
5. Diorama Drama
6.TEMPEST(昼)/Against.(夜)
7.Plastic Smile

昼夜の変更は1曲のみ。キャラソンやカバーへの期待もあったものの、あえて石原夏織ソロだけで勝ちにいくスタイルを選択したことに拍手を送りたい。

ガラス越しの夏を眺めながら1曲目“半透明の世界で”のイントロが鳴り響く。目の前を駆け抜ける清涼感の後にはクローバーが咲いた。初披露となる“キミに空とクローバー”、思わずスキップを踏みたくなるようなリズムが日常の中に心地よい躍動感を与えていく。

MCを挟む。夏織ちゃん「みんな座ってるけど立って良いんだよ」という旨のメッセージを送ってくれた。2月のライブとは違い、声出し以外はほぼ解禁されていた。時代が進みながら制約が少しずつ無くなっていくことに嬉しさを感じる。

いよいよ夏本番を迎えたのは3曲目“SUMMER DROP”であった。待ち望んでいた瞬間である。MAKE SMILE以降何度も見返していたから振り付けも少し覚えられるようになった。楽しい。ダンサーズを呼び込みながら最高のイントロの海、その底にダイブしていく。心の底に潜らなければ見ることができない景色が続いていく。楽しい曲なのに涙が止まらない。真夏の化身、太陽の女神である石原夏織がこの日一番輝いた時でもあった。最高の夏が始まっていた。

楽しさをさらに加速させるための4曲目“CREATION×CREATION”に繋がっていくのが自然で良かった。サビで思いっきり飛び跳ねる。MAKE SMILEでは披露されなかったからこそ新鮮に映る。世界一、俺が今日を楽しんでると思った。飛び跳ねすぎて椅子の後ろと足がぶつかる。痛い。楽しい。でも大丈夫。楽しいから大丈夫なのである。あくまでトークイベントだと思っていたから予想以上のアクションに体が追いつかない。汗がダラダラ流れ落ちる。思いっきり走った後みたいな達成感と気持ちよさが駆け巡る。

呼吸を整える暇もほぼないまま“Diorama Drama”へと流れ込む。既に夏織ちゃんのお気に入りとして優遇され、ライブ映えも間違いない楽曲には安定感がある。ダンスビートの余韻から“TEMPEST”に繋ぐ構成はMAKE SMILEで見た景色でもある。夜は“Against”に変更されていた。歌謡ロックが持つうねりが僕の腕の動きとシンクロしていく。気持ちいい。どちらの楽曲も歌うたびにあり得ない速度で成長していくのを確認している。ダンサーズとの絡みも含めて今後さらに高い完成度に達しながら進化していくことだろう。

早すぎるフィナーレを“Plastic Smile”が飾る。

何もないステージの一面に花畑が見えた気がした。キラキラの笑顔が見える。いい未来にたどり着いた。

2月、この曲を初めて聞いた時あまりの美しさとメッセージ性の強さに涙した。しかも人気アニメのタイアップ付きという話である。華やかな未来、さらなるヒットを想像できた。

今日僕が見た現実は、想像を超えていた。生きていて一番嬉しい瞬間は現実が想像を超える時である。間違いなく超えた。しなやかに、より強い響きを獲得していた。それは想像以上にたくさんの人に楽曲が届き、たくさんの人がそのお返しをくれたおかげだと思った。

スタッフ、ファン、そしてPlastic Smileを聴いてくれた大勢の人に今日が支えられている。それがわかった時もう涙が止まらないのである。

楽しかった。最高の夏だった。

ありがとう。惜しみない拍手を受けながらステージを去っていく夏織ちゃん。何度も手を振る。また会う日まで、どうか元気で笑っていてほしい。

来年ことを話すと鬼が笑うのなら一緒に笑いたい

最高のイベントを終えた我々を繋ぎ止める為の策を既にポニーキャニオンは持っていた。いつもながら用意周到すぎる。最も、しばらく休まれたとしても簡単に心は離れない状態ではあるが(コンスタントな活動が続きながらオンラインなどもこなしているから少し心配)。

まず11/24に新しいシングル"Starcast”が発売される。石原夏織出演作である『あの夏で待ってる』、『凪のあすから』、『色づく世界の明日から』などでも主題歌を務めたやなぎなぎさんが作詞を担当する。過去から今へ続くストーリーとして非常に感慨深く、彼女もまたチーム石原夏織の一員として加わるのであれば心強い限りである。作曲は栁舘周平さん、心の距離をテーマにしたと言う楽曲に今から胸が躍り出す。

そして2022年のライブも決定した。詳細は追って連絡されるが、とにかく「来年もライブがある!」と言う希望を明言される事ほど嬉しいことはない。まだずっと現場に来れてないファン、最近ファンになった人もいるだろう。早く会いたい。既に仲間達と「来年も行くよな?楽しみだな!」と笑いながら話している所である。

楽しかった日々を思い出しながら、ふと未来を見つめれば明日の自分もどうなるかわからない時もある。それなのに来年の話をしている。鬼に笑われるかもしれない。

仮に鬼というのが何かの例えだとしたら?今世界を支配する脅威の一つ、あるいは不安であるならば…いっしょに笑うのも手かもしれない。鬼だって夏織ちゃんを見たら笑うかもしれない。そんなことを考えながら1人で笑っている。

夜公演の最後に色川さんが言っていた「かおりちゃんの笑顔についていきたい」と言う言葉が全てだった。あの笑顔を見た時、僕と世界は救われる。大丈夫。

夜行バスと電車に揺られながら帰宅した朝、嘘みたいに晴れていたことを一生忘れないだろう。太陽の女神=石原夏織が見守ってくれている気がした。この先も、照らされていたい。

僕も頑張るから、その先でまた会いましょう。
大好きだ。




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