あなたがシニアー・デザイナーである場合、ジュニア・デザイナーにフィードバックを与える機会がしばしあります。建設的で良心的なフィードバックはジュニア・デザイナーたちの成長の後押しの助けになると私は信じていますが、受け取る側によっては、それはしばし苛立たしいものであると感じてしまう可能性も出てきます。

例えば、コミュニケーション不足、フィードバックのプロセスが適切に反映されていない場合、受け取り側のエゴが邪魔になってしまう場面、デザインフィードバックは苦痛な経験に変わる可能性があります。🙊

またリモートで仕事をし出して以来、コミュニケーション形態を習得することはさらに困難になってきました。顔を合わせて理解することなく、口調や意味を推測しなければならないことがよくあるからです。

今回は、より良いデザイン・フィードバックをジュニア・デザイナーに提供する方法を学びたいと思いました。またその英語例文たちをまとめてみました。デザイナーにフィードバックを提供する必要があるシニア・デザイナーまたはプロジェクト・マネージャーの場合は、これらのガイドラインに留意してください。

1. 信頼を基盤にする

例えば私が受け取って、嬉しいデザイン・フォードバックは私が信頼するデザイナーからのものであり、彼らが私を等しく尊重していることを私は知っています。信頼は双方向であり、ジュニア・デザイナーにフィードバックをしっかりと受け取ってもらうには、信頼を確立する必要があります。

デザイン・プロセス、またデザインの所有権を決して妨げないことをしっかりと約束してあげてください。またあなたのフィードバックは

会社、プロジェクト、またそのジュニア・デザイナー成長を後押しするためのものであり、個人的な好みや、彼らと競合する議題によって混乱することは決してないことを示してください。

2. コンテキストでフィードバックを組み立てる

デザイン・フィードバックについて最も重要なことは、ジュニア・デザイナーの成長のために目標と指標に常に囲まれている必要があるということです。したがって、フィードバックする前に、彼らの目標を明確に理解し、同意する必要があることは言うまでもありません。フィードバックを提供するときは、その根底にある動機がこれらの目標と一致していることを確認してください。それがそれらの目標に関連していない場合、それはおそらく個人的な美的好みのカテゴリーに分類されてしまいます。そして、そのフォードバックはあまり役立ちません。

フィードバックを与える上で、知っておくべきこと
フィードバックをする上で、プロジェクトの背景を知る必要があるので、プロジェクトの背景や、フィードバックを受け取る方が何を求めているかを知るために下記のような質問をしてみることがあります。

Who’s the intended audience you’re looking at?
対象のオーディエンスは誰ですか？
intended（意図した）
audience（観客）ここではターゲット・オーディエンス（目標となる視聴者）を示しています。

What are you trying to achieve from your feedback?
フィードバックから何を達成しようとしていますか？
achieve（成し遂げる）

これらを知った上で、フィードバックをしっかりしたものにまとめることができます。

3. 明確かつ具体的に

漠然としたフィードバックは良くありません。 価値のない発言はしないように、まず、フィードバックを組み立て、それがどのように活用できるのかを正確に説明するようにしてください。そして、明確にしてください。 フィードバックをなるべく簡潔しましょう。

まずは全体的な印象を述べる

What was memorable/What resonated
ここで全体的な印象、共鳴したことを述べます。例えば…

The overall layout is clean and looks easy to navigate. Great Job!
全体的なレイアウトはすっきりしていて、簡単にナビゲートできるように感じました。よく仕上がっています。

We have developed the brand guide and design system to allow the team to design more efficiently and consistently. Take a look at them. That should help make things feel more cohesive.
チームでより効率的に、そして一貫して設計ができるようにブランド・ガイドライン、またデザイン・システムを制作しました。もう少し、全体的にまとまりを受けるためにそちらをご覧ください。

💡 一緒に働いているデザイナーがよくcohesiveという単語を使っています。cohesiveは、まとまりをつける、散らばったりしていたものが、一つに集まり固まることを意味します。

細か目な部分のフィードバック

What’s missing / What didn’t work?
次に欠けているもの/機能しなかったものを述べて行きます。例えば…

It took me a while to notice the call to action. Buttons should be more prominent to add more immediate recognisability. It might help users to more quickly find what they’re looking for.
CTAに気付くのに少し時間がかかりました。すぐに認識できるようにするには、ボタンをより目立たせる必要があります。ユーザーが探しているものをよりすばやく見つけるのに役立つかもしれません。

I feel like there’s something that doesn’t feel right about this part, have you tried looking at the proximity of each set of elements and regrouping them?
この部分は何か機能していないように感じます。各要素の近接性を調べて、それらを再グループ化してみてはどうでしょうか？

proximity （近いこと、接近）
elements（要素）

The button styles don’t quite align with the design system you’re using. Please make sure that the button sizes we use across devices are consistent.
ボタンのスタイルが、デザイン・システムと完全に一致していません。複数のデバイスで使用するボタンのサイズが一貫していることを確認してください。
align with 〜（〜と一致する）align with the design style guide/design systemまた、consistentもデザイナー同士で会話する時にとにかくよく出てくる単語です。

It looks like you may be overusing your primary action colour. You’re using it here, here and here which could detract from your intended workflow. I’d try reworking that aspect.
プライマリ・アクション・カラーを使いすぎているようです。 ここでも、ここでも使用しているため、意図したワーク・フローが損なわれる可能性があります。 その側面を作り直してみることをお勧めします。

プライマリー・カラー（メイン・カラー） 一番使うベースになる色のことで、primary（プライマリー）, secondary（セカンダリー）, tertiary（ターシャリー）と続きます。
overusing（使いすぎている）
detract （損なう）
intended （意図した）
aspect（側面）

I’d love to make this CTA button more visible on the page.
このCTAボタンをページ上でもっと見やすくしたらいいと思います。
visible（目に見える、可視の）

It depends on who is your target audience is but the colours might be a bit muted. A brighter colour scheme might appeal to them and be more on brand.
ターゲットオーディエンスが誰であるかによって異なりますが、色が少しくすんで見えます。より明るい配色は彼らは魅力を感じるかもしれませんし、ブランドに沿っています。
muted colours（落ち着いた色）似た用語　greyed, dulled or desaturated　くすんだ、または彩度の低い色合いを示しています。

Using warm tone will make our users feel familiar and safe
温かめの色合いは、ユーザーに親しみやすく、また安全な気分にさせます。

The placement of social media icons is confusing to me.
ソーシャル・メディア・アイコンの配置が紛らわしく感じます。

I’m worried that people won’t be able to distinguish between text and links
ユーザーがテキストとリンクを区別ができないことを懸念していす。
distinguish（区別する）

I would like to put more emphasis on this.
これをもっと強調ししていただきたいです。

Right now I’m having a little hard time focusing on this section, I think it needs more emphasis.
現在、このセクションに焦点するのが困難です。ここをもっと強調する必要があると思います。
emphasis（強調させる）

I’m not sure the photos you used are going to work.
あなたが使用した写真が機能するかわかりません。

4. 問題点を提示する、解決策を提供しない

フィードバックが規範的になりすぎている場合は、ジュニア・デザイナーを苛立たせます。方法を提供する代わりに、理由を提供してあげましょう。
デザイン・フィードバックを提供する場合、ソリューションを提供したいのは当然のことのように思われます。しかし、良いデザイン・ソリューションを知っていれば、デザイナーの専門知識は必要ありません。これは、信頼と尊敬を示すことにはならないのです。問題点だけを提示し、あとは信頼するジュニア・デザイナーが最善の解決策を考え出すと信じてあげてください。

したがって、あなたの仕事は解決策を提供することではなく、質問をすることによって問題を組み立てることです。

Make the logo 50% bigger
ロゴを50％大きくしましょう。

という規範的な要求の代わりに、

As a new company with little brand recognition, we need to make sure potential customers become familiar with our brand as much as our products.
ブランド認知度の低い新会社として、潜在的な顧客が当社の製品と同じくらい当社のブランドに親しむようにする必要があります。

What can we do to make our branding stand out more?
ブランディングをより際立たせるために何ができるでしょうか？

他にも下記に示したような質問をしてみましょう。

Will the tone of your piece create maximum impact with your intended audience?
この口調は、意図したオーディエンスに最大のインパクトを与えますか？

I’m used to seeing websites with the menu at the top of the page. Is there a reason you chose to put it on the left?
ページの上部にメニューがあるWebサイトをよく見かけますが、左側に置くことにした理由はありますか？

I’m used to seeing them in the footer. Is this the best place for them?
これらをページ・フッターで見るのに慣れています。これはユーザーにとって最適の場所ですか？

The font seems playful, but our audience is middle-aged and mature. Do you think it's the best choice?
フォントには遊び心があるように見えますが、私たちのオーディエンスは中年層です。これが最良の選択だと思いますか？

これは、提案を提供することを全くしないわけではありません。規範的な要求ではなく、リサーチおよび比較するための1つの可能な解決策の提案としてそれらを組み立てる必要があります。

5. 考えを説明する準備をしてください。

デザイン・フィードバック・プロセスはジュニア・デザイナーと話し合いをする必要があります。 デザイナーとしての私の仕事は、すべてに疑問を投げかけることです。 ですから、「ロゴを大きくしてください」と言って来たら、いつも「なぜ？」と質問をなげかけます。漠然と「これは好きではない」と言われたら「どうして好きでないのですか？」と聞いてみます。 あるいは、「しかし、あなたの顧客はそれにどのように反応するでしょうか？」と言うかもしれません。 それら理由に毎回答える準備をしてください。 プロジェクトの目標と顧客のニーズに関連する答えがない場合は、そのフィードバックにメリットがあるかどうかを考えてみましょう。

最初から理由を説明してあげた場合は、ジュニア・デザイナーは私たちに質問を投げかける必要がなくなります。

6. 愛のサンドイッチ

Compliment Sandwichというテクニックをご存知ですか？

Basically, if you lead with something nice and end with something nice, then in the middle, you can say the criticism or basically anything you want.
文章や、助言の最初に褒め言葉や、良いフィードバックを与えます。そして、中間でちょっと批判的なこと、また本当に言いたいことを受け取り側に伝え、最後にまた褒め言葉や、良いフィードバックを与えて言いにくいことを、褒め言葉でサンドイッチして、相手に上手に伝えるテクニックなのです。

まずはデザインについて、好きなことを説明することから始めます。
次に、懸念がある領域に移動します。 
そして最後に、もう一度賞賛を続けて前向きなメモで締めくくります。

積極的に言うことがあまりない場合は、少なくとも、常に親切で敬意を払ってください。あなたと私が同じヘッドスペースに入るには、数ラウンドのフィードバックが必要になる場合があります。結局のところ、私たちは両方とも同じ目標を持っています。そこにたどり着く方法については意見が分かれるかもしれません。

Compliment Sandwichの例1

Praise: “The overall layout is clean and looks easy to navigate. Great Job!”
Criticism: “However, the button styles don’t quite align with the design system we're using. We have developed the brand guide and design system to allow the team to design more efficiently and consistently. Take a look at them. That should help make things feel more cohesive.
Praise: “I appreciate your hard work. I can't believe you have finished this in such a short amount of time. Keep up the good work.”

賞賛：「全体的なレイアウトはすっきりしていて、簡単にナビゲートできるように感じました。よく仕上がっていますね。」
批判：「ただ、ボタンのスタイルは、使用しているデザインシステムと完全には一致していないようです。チームでより効率的に、そして一貫して設計ができるようにを制作しました。もう少し、全体的にまとまりを受けるためにデザイン・システムを参考にしてください。」
賞賛：「 こんなに短い時間でこれが終わったなんて考えられません。 あなたの努力に感謝しています。良い仕事を続けてください。」

Compliment Sandwichの例2

Praise: “Nice colour choice on the links. They really draw attention to the primary calls to action”
Criticism: “However I’m concerned there are too many competing actions here. We don’t want to overwhelm customers with choice. Can you think of a way to narrow this down to a single primary action?”
Praise: “The way you’ve visualised the core message is so simple and compelling. Let’s get that same level of simplicity in the interaction too”

賞賛：「リンクに素敵な色の選択しましたね。行動を促すフレーズに本当に注目を集められています。」
批判：「しかし、ここでは競合する行動が多すぎるのではないかと心配しています。 お客様を選択肢で圧倒したくありません。 これを単一の主要なアクションに絞り込む方法を考えられますか？」
賞賛：「コア・メッセージを視覚化する方法はとてもシンプルで説得力があります。 インタラクションでも同じレベルのシンプルさを手に入れましょう。」

7. 客観性を保ちましょう。

私たちの個人的な好みは、私たちの意思決定プロセスに非常に固有であるため、これは一部の人々にとって本当に難しい場合があります。しかし、あなたは顧客ではありません。あなたがデザインしているプロダクトが唯一のユーザーとしてあなたのために作られていない限り、あなたの好みはほとんど重要ではありません。フィードバックを提供するときは、自分の美的好みをできるだけ方程式から取り除くことが重要です。

代わりに、顧客が何を好むかに焦点を合わせます。ユーザーが信頼できると感じさせるもの。彼らの生活を楽にするもの。あなたの主観的な印象がそれらの目標に大きな影響を与えることはめったにありません。

I don’t like this.
これは好きじゃない

このようなコメントはほとんど必要ないはずです。代わりに

Our users may not understand this
ユーザーがこれを理解していない可能性がある

ユーザーの観点から考えてください。常に客観的で、プロジェクトの目標に沿ってください。また、デザインを説明するために多くの人称代名詞を使用することは控えてください。 

I don’t like how you’ve laid out the content, it looks unbalanced.
コンテンツのレイアウトが気に入らないので、バランスが崩れているように見える。ではなく

The screens looks unbalanced due to the weight of this content,
このコンテンツの重みが原因で画面のバランスが崩れているように見える。

これらの違いは微妙ですが、人称代名詞を控えることで、そのフィードバックを受け取りやすくなります。

8. プロジェクト終了後にまとまったフィードバック

また、プロジェクトの最後に、ジュニア・デザイナーにまとまったフィードバックを与えてあげる事もシニア・デザイナーの大切な役割かと思います。

Soft Skills:
ソフトスキル

Team Collaboration, Communication
I’ve really enjoyed working with you. You have a great positive attitude.
チームコラボレーションについて、コミュニケーション私はあなたと一緒に仕事をすることを本当に楽みながらできました。あなたは素晴らしく前向きな姿勢で取り組んでくれました。

When we were working on the style guide for PJM Project, you communicated often and took my feedback very well. 


PJMプロジェクトのスタイルガイドに取り組んでいたとき、あなたは頻繁にコミュニケーションを取り、私のフィードバックを非常によく受け止めました。

You also gave me some constructive feedback too, which I really appreciated.
また、私に対しても建設的なフィードバックもありました。本当に感謝しています。


You understood and built skills for the concept of working smarter and faster, and develop the mindset to be more effective in a fast-changing workplace.
あなたはよりスマートかつ迅速に作業するという概念のスキルを理解して構築し、急速に変化する職場でより効果的になるための考え方を身に付けました。

For example, using Figma for PJM Project: We were both sharing unfinished work which means we trusted each other - there was no ego.
たとえば、PJMプロジェクトにFigmaを使用する：私たちは両方とも未完成の作業を共有していました。つまり、お互いを信頼していました。エゴはありませんでした。

I also noticed that you are innovative and creative and not scared of infusing more bold ideas.
また、あなたは革新的で創造的であり、より大胆なアイデアを注入することを恐れていないことに気づきました。

I hope for you to continue developing your communication and collaboration skills. Overall I enjoyed working with you and I learned a lot from you. 

今後ともコミュニケーションとコラボレーションのスキルを磨いていただきたいと思います。全体的に、私はあなたと一緒に働くことを楽しんで、あなたから多くを学びました。

Hard Skills:
ハードスキル：

You have adapted to Figma really quickly and you exceed expectations in the interface design layout.
あなたはFigmaに非常に迅速に適応し、インターフェイスデザインのレイアウトで期待を上回っています。

You developed a better understanding of the importance of component libraries and maintained good strategies for organising and labelling components and content.
コンポーネントライブラリの重要性についての理解を深め、コンポーネントとコンテンツを整理してラベルを付けるための優れた戦略を維持しました。

Also, you are detail-oriented and I think it’s a great skill to have when collaborating.
また、あなたは細部に気を配っていて、コラボレーションするときに持っているのは素晴らしいスキルだと思います。


It was so amazing to see you creating characters for PJM Project. Your illustration skill is exceptional.
PJMプロジェクトのキャラクターを作成しているのを見るのはとても素晴らしかったです。あなたのイラストレーション・スキルは並外れています。

Room to improve
改善の余地
When we were working on the PJM Project project I thought you could improve on your understanding of the use of whitespace/negative space, and learn how you can use it generously, or in moderation, but use it well, but lately, I can see you have truly understood the concept of the use of whitespace.
PJMプロジェクトプロジェクトに取り組んでいたとき、空白/ネガティブスペースの使用についての理解を深め、それを寛大に、または適度に使用する方法を学ぶ必要があると思いました。最近のあなたの仕事を見ていると、空白の使用の概念を理解し、それをうまく使用できていると思います。

I wish for you to continue improving your user interface design skills.

今後もユーザー・インターフェースのデザインスキルを磨いていただきたいと思います。

フィードバックを与えること（しかも英語で。）は、わずらわしく感じますが、十分に練習を重ねれば、慣れていくと思います。そしてそれ程厄介に感じなくなっていくと信じたいこの頃です。

デザイナー同士でフィードバックをしたり、受けとったりする場合、相手に思いやりの気持ちを持つことが第一だと思います。しかし躊躇せずに建設的で率直なフィードバックを与えてあげることは、チームメイトのデザイナーたちの成長を後押し、また自分自身の成長につながっていくと思います。

参考資料

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。