ワークショップに参加する上で、アジェンダに「ペルソナ」を設定するアクティビティをよく目にします。当たり前のようになっている「ペルソナ」ですが、今まであまり必要性を深く考えたことはなく、ペルソナ設定はちょっと面倒くさい作業だと思っていました。しかし、ペルソナを利用することでの多くのメリットがあることを理解してきました。

ペルソナを設定すると、ターゲットとなるユーザーの人物像を細かく設定してしまうことで、境遇や状況、心境などを具体的に想像することができ、ユーザー・ファーストで物事を考えることができます。これは
ユーザビリティを考える上でとても重要なアクティビティです。またチーム内でターゲットの認識をより統一することが可能でのズレを防ぐことが出来きることが理解できるようになりました。また、ターゲット層を理解出来れば、莫大な広告費用の無駄を削減するこも可能なのです。
 

一番大切にしたいことは、ユーザーが求めているものです。ユーザーはその「モノ」自体ではなく、その「モノがもたらす価値」です。
 
ペルソナを設定するには少なからずリサーチや分析、ペルソナ作成と少々手間がかかりますが、効率的な戦略には不可欠なものです。

今回はペルソナについて調べてみました。以下の記事を参照しました。

»　https://www.mockplus.com/blog/post/how-to-create-personas
»　https://www.mockplus.com/blog/post/user-persona-template

1. ペルソナとは

ペルソナは、プロダクトやサービスを新しく開発したり、既存のプロダクト、またサービスを改善したりする際に作成されることが多いです。そして、それを利用する架空のユーザー像という意味で使われています。

💡元々は、顧客の理解を深めることでマーケティング方針を統一する手法として導入されていました。しかしソーシャルメディアの普及によって、よりターゲットを絞ることができる時代になりました。今までよりいっそう具体的なターゲット設定が可能となってきました。

まず、架空の人物像を想定します。その人物のプロフィール、職業、ライフスタイル、価値観、使用しているソーシャルメディア、家族構成などなどかなり詳細に設定していきます。一貫した戦略を練るために、あたかも実在する人物のように、一人の架空ペルソナを設定することを目指します。ここで、ペルソナの大切さがわかってきます。

画像：mockplus.com

2. 基本的なペルソナタイプ

ユーザーペルソナは、一般的に、さまざまな使用法と理解の観点に応じて4つのタイプに分類できます。

→ 目的を持っているのユーザーペルソナ
このタイプのユーザーペルソナは、一般的なユーザーがWebサイトまたはアプリなどのデジタルプロダクトで達成したい目標を持っています。この場合はアプリやウェブサイトを操作する際に、ユーザーがニーズを達成するために従う必要のあるプロセスやワークフローをシミュレートするのに役立ちます。

→ ロールベースのユーザーペルソナ
ロールベースのユーザーペルソナは、ロールに従ってユーザーの情報を表す傾向があります。さまざまな役割に基づいて、ユーザーの問題点、行動、および目標を完全に把握することが容易になります。

→ エンゲージングユーザーペルソナ
エンゲージメントはビジネスの分野で、顧客や消費者の企業や製品、ブランドなどへの愛着心や親近感などの意味でよく用いられています。このユーザーペルソナは、魅力的なキャラクターとストーリーでデザインされており、関与するユーザーをより鮮やかでリアルなものにします。チーム全体がターゲットオーディエンスをよりよく理解するのを助けます。

→ 架空のユーザーペルソナ
架空のユーザーペルソナは、以前のユーザーが製品に対して行ったインタラクションに基づいて定義されます。ユーザー調査から直接出てくることなく、架空のユーザーペルソナは、一般的なユーザーがどのように見えるかを説明するのに役立ちます。十分なユーザー調査を開始する前に、ユーザーのニーズの最初のスケッチとして使用できます。

2. ペルソナを設定するメリット

それでは、なぜペルソナを設定する必要があるのでしょうか？優れたユーザーペルソナがもたらす利点を見ていきましょう。


→ 顧客の視点で考えられるので、ユーザーファーストが実現されやすい。

→ 顧客のライフスタイルなどが理解できる
→ ユーザビリティ・テストを実行しやすくなる

→ 社内やプロジェクトメンバー間でターゲットとなる人物像を共有できる。
→ 時間やコストの削減につながる

ペルソナは、ユーザー調査に基づいて生成されます。これにより、ユーザーとチームは、ターゲットが誰であるか、実際に感じているニーズ、現状を明確に理解できます。また、ペルソナを設定することによって、ユーザーを主語にして考えられるようになるので、ユーザー・ファーストのコンテンツを提供できるようになります。

ユーザーに伝わらないメッセージを提供してしまう要因の多くはターゲットを明確化できていないことです。ペルソナを設定していれば少なくとも「何を伝えればユーザーに響くのか」は理解でき、特定の誰かに響くコピーだったり、画像を使用るすことで、ターゲット・オーディエンスに響くものを提供できるようになります。また、制作チーム内でも、ターゲットとなる人物像を共有できるので迷った時などに役立ちます。例えば意見が割れたり判断に迷った際には、ペルソナを利用し、有効な施策を選択できるようになります。またこれにより、チーム全体が一貫したブランド言語を作成して、細部をより適切に伝えることができます。またチーム内でのコラボレーションを向上させることが容易になります。また、ユーザー像を明確にするのは、プロジェクトの指針が決まり安くなり、時間やコストの削減につながって行きます。

3. ペルソナを作るときに入れたい項目

ユーザーペルソナに含まれる要素は小隣がありますが、ユーザーペルソナがカバーする必要のある基本的な要素、または人口統計情報がいくつかあります。

1. 個人情報 – 名前、役職、会社、ブランド、職務内容、家族のステータスなどの個人情報を提示することになっています。チームがペルソナをよりよく理解するのに役立つ詳細が含まれています。
2. 人口統計情報：年齢、性別、収入、教育、場所、その他の背景情報などの他の人口統計情報は、偽物ではなく、より本物のキャラクターを作成するのに役立ちます。

3. 画像：画像は言葉よりも雄弁です。鮮やかな画像は、チームがユーザーを明確に描写するのに役立ち、ターゲット ユーザーについての一貫した理解を確立するのに役立ちます。

4. 目標と動機：視聴者が製品使って何を得たいのか、または何をしたいのかを明確にする必要があります。ユーザー調査から見つけたすべての可能な目標と動機をリストします。

5. ニーズと問題点：考えられるすべての問題、課題、さらには、視聴者が製品を操作しているときに遭遇する可能性のある恐れをすべてリストアップします。この情報は、ユーザーのニーズを実際に満たす製品を作成するのに役立ちます。下記の項目を設定していくと、基本情報からライフスタイル、価値観や行動パターンが見えてきます。

ユーザーペルソナに含まれる詳細は、より優れた製品を作成しようとするときに重要になる可能性があります。 プロジェクトで作業するときは、必要なだけ情報を追加してください。他にも


→ 性格 – 内向的、外交的、コミュニケーション能力、価値観など
→ 生活パターン – 起床時間、通勤方法、勤務時間、就寝時間、外食または自炊派、休日の過ごし方など

→ 趣味や興味 – インドア派、アウトドア派、ハマっていること、収集しているもの

→ ソーシャルメディア – インターネット利用状況・利用時間

→ 所持しているデバイス


などを細かく書き出していいきましょう。では次はペルソナの作り方について見ていきましょう。

4. ペルソナの作り方

1.ユーザー調査を実施する。
ペルソナ作成で一番大切なのは情報収集です。大切なのはやはり実在する人物の行動や考えを分析することです。ユーザー調査を実施し、可能な限りユーザー情報を収集しましょう。

まずは既存顧客の情報、ターゲット・オーディエンス、ソーシャルメディアなどからデータを抽出して、それをグループに分けます。データとして有効なのは、年齢、性別、住居地域、使用しているサービス、などいろいろ挙げられます。

2. 顧客へのインタビュー
データ収集の中で、代表的なユーザーを選んでインタビュー、またはアンケートなどをとって見てもいいかと思います。インタビューする人間は多ければ多いほど情報の正確性は増しますが、時間やコストの面から考えて、必要最低限に抑えた方がいいかと思います。

💡インタビューの際には、ペルソナ構成要素などを以前にリストアップしておきましょう。またさまざまな角度からの調査をすることで実例や実体験談を得られる方法を考えましょう。
既存のデータの活用
既存で既に公開されているアンケートの結果や分析結果を参考にすることも有効です。
 
実際のユーザーデータを収集する方法はたくさんあります。
→ ユーザーインタビュー
→ ユーザーアンケートとリサーチ
→ 製品のレポート
ユーザーを分析するためにできる手元にあるどんな情報でも集めて使ってください。

3.オーディエンスをセグメント化する
ウェブサイトやモバイルアプリのオーディエンスは複雑で、多くのグループで構成されていることがよくあります。完璧なユーザーペルソナを定義するには、十分なユーザーデータを収集した後、データを注意深く分析し、背景、行動、目標、およびその他の関連情報に従ってオーディエンスをセグメント化する必要があります。

どんな人が何時にどのページにアクセスしてどんなものを見て、何をクリックして、何を買ったかといったWeb上でのアクセス解析は、ユーザーの行動や興味・特性を掴むうえで大変貴重なデータを得られるものとして利用されています。また、実際に存在するウェブサイトの向上を身座すのであれば、　Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを使用し、実際にサイトを訪れたユーザーの特性を分析し、データ化することができるため、ペルソナ設定をするにあたって、とても有効なツールであるといえます。


🗒️ 例えば、レシピのアプリを作る際に、30〜40代の主婦をターゲットにペルソナを作る場合は、ユーザーインタビューの際に、普段どのようなアプリ、サイトを使用しているか、レシピを探す上での検索キーワード、アプリを購入、購読する上で必衰条件など、情報ニーズはコンテンツ制作に必ず役立つ情報です。また一方で、使用していないアプリ、サイト、なぜ購買に至らなかったのか、購買プロセスのどの段階で脱落してしまったのか判明すれば、新たなプラットフォームを制作する上で、足りていない部分を補って埋め合わせることが可能になります。

また、色々な人の意見も聞いてみましょう。インタビューやアンケートを行う上では、十分な時間やコストが必要です。リソースの許す限り行った方がいいのですが、不可能な場合は、直接顧客と関わっているセールスパーソンセールスパーソン、ソフトウェア品質を守るQAエンジニアの意見を仰ぎましょう。色々な角度から情報を収集することによって、新たなユーザーのニーズが分かってきます。

4. ペルソナを作成し始めます。
ユーザー調査とオーディエンスセグメンテーションが完了したら、いよいよペルソナを作成します。ペルソナをすばやく開始するためのヒントをいくつか紹介します。

ユーザー・インタビューの情報に基づいて、ペルソナのアウトラインから書き出します。またデータ収集で
調査した様々なターゲット・ユーザーの「共通する点」を書き出してみましょう。

アウトラインが完成したら、細かい詳細を付け加えていきます。この作業によってターゲットの具体的な人物像が生まれます。
大切なのは人物像の背景を書くことです。それによって、本当に実在する人物のようかに見えてきます。

まずは基本的なユーザーペルソナ情報から始めます
上で述べたように、ペルソナはターゲットオーディエンスの集合的なイメージです。したがって、ペルソナの作成に関しては、最初にすべきことは、次のような最も基本的な情報から始めることです。

名前
より現実的なユーザーペルソナを作成するには、最初に名前を付ける必要があります。これは、実際の顧客名でも、ユーザーグループの一般的な説明的な名前でもかまいません。

写真
次に、識別とコミュニケーションを向上させるために、その名前に顔を付ける必要があります。

バイオ
また、本物の人間のように感じさせるために、ペルソナに裏話を与えてください。

人口統計
年齢、性別、収入、場所、役職などの人口統計情報を追加する必要があります。このような情報は、あなたとあなたのチームがこのユーザーグループを他のユーザーグループから簡単に識別するのに役立ちます。

動機
これは、聴衆がどのように考えているかを知るのに役立ちます。たとえば、彼らがあなたの製品を選ぶ理由は何ですか？その動機は彼らに製品を購入するように駆り立てますか？

目標と問題点
彼らの目標と問題点は、彼らの本当のニーズを直接示しており、製品と、その後の意思決定プロセスに大きな影響を与えます。したがって、常に実際のユーザーデータに基づいてこの情報を収集する必要があります。

他にも好きなブランド、テクノロジーに関連するスキル、よく使用するソーシャルメディア、日常生活など、さらに多くの情報を追加することもできます。ただし、これらすべてを常にすべてのユーザーペルソナに含める必要があるという意味ではありません。例えば、ダイエットアプリを制作する場合は、ペルソナ制作内で健康面、または食習慣などについて追加することをお勧めします。ニーズに応じて、必要で役立つ情報のみを選択していきます。

ペルソナを有益で理解しやすいものにするように心がけましょう
ユーザー ペルソナは、チーム内でより良い製品を構築するのに役立つように作成されます。 したがって、チームの全員にとって、できるだけ有益で理解しやすいものにする必要があります。

ペルソナを改善するには、以下のヒントに従ってください。

→ 明確なチャートまたはレイアウトを使用して、個人情報を表示します。
→ イラストやビジュアルを使用して重要な情報を強調する。
→ すべての説明をシンプル、短く、理解しやすいものにしてください。

画像：mockplus.com

ペルソナは複数あった方が、より参考になります。時間やコストによって異なってきますが、完璧なUXを作成するには、さまざまなユーザーグループのニーズを満たすために3〜6人のユーザーペルソナを必要とします。 したがって、開始するには、3〜6個の詳細なペルソナを作成することも忘れないでください。

6. シナリオを定義する
ユーザーペルソナの本当の目的は、製品を使用しているときに視聴者が実際に何をするかをシミュレートできるようにすることです。したがって、ペルソナも作成したら、次のステップは、製品の使用中に遭遇する可能性のある状況とシナリオを定義することです。

例えば：あなたがもしプロダクトデザイナーだったのなら、こんなふうに考えてみてください。

→ figmaからデザインをアップロードする必要がある場合、あなたはどのような手順を実行できますか？
→ またデザインを共有してフィードバックを得たい場合、あなたはどうするでしょうか？
→ あなたがデベロッパーにデザインを渡したい場合、何をする必要がありますか？

ユーザーのペルソナに基づいてより良い製品を作成できるように、多くの状況とシナリオを事前に定義してみましょう。

7. ペルソナを色々な人にチェックしてもらいましょう。
効果的なユーザーペルソナは、多くの場合、1人のデザイナーだけが行うわけではありません。チーム全体、さらには会社全体の集合的な才能とサポートが不可欠です。したがって、ペルソナを作成した後は、より良い結果を得るために、それらすべてをチームと共有して反復する必要があります。

そうすることで、チームまたは会社がユーザーペルソナに精通すると、ターゲットユーザーに変更や問題が発生したときに、タイムリーな更新を取得できます。

またアンケートなどで検証してみるのもいいかもしれません。完成度が低いと判断された場合は、もう一度情報を収集することをお勧めします。

8. テストと調整を続ける
誰もが知っているように、聴衆のニーズは常に変化しています。完璧な製品を作成するには、ユーザーのペルソナも常にテストして調整する必要があります。

👉 注意点
ペルソナの設定上での注意点もいくつかあります。データの信憑性をしっかりと確立することも大切な作業です。例えば、私たちの生活は、新型コロナウイルスによって一変しました。ユーザーのニーズもどんどん変わっていきます。データがいつのものであるか等、分析結果の正確性に注意することも大切です。

ユーザーペルソナは多くの場合、チームがプロジェクトを開始する前に作成されます。 ペルソナがターゲットユーザーを正確に表すようにするには、時間をかけてユーザーを注意深く調査および分析する必要があります。

今回はペルソナについて学びました。次回はユーザーペルソナの例、テンプレート、デザインのヒントなどをご紹介したいと思います。

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。