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宇宙エレベーターってなに?

こんにちは。

最近小学校の教科書の題材にもなっているようにちらほらと耳にすることが増えた「宇宙エレベーター」という言葉ですが、今日はその「宇宙エレベーター」とはそもそもなんなのかについて書いていきます。

概要
1.宇宙エレベーターって何?
2.どういう仕組み?
3.どんなメリットがあるの?
4.どんな課題があるの?
5.建設費、工期は?

1.宇宙エレベーターって何?

宇宙エレベーター(Space Elevator)とは、ざっくり言ってしまえばロケットに代わる宇宙への輸送手段です。別名軌道エレベーター(Orbital Elevator)とも呼ばれます。

その仕組みはというと、ロケットは燃料を燃焼した推力を利用して宇宙へ人工衛星や人を届けます。
一方、宇宙エレベーターは宇宙空間から地上へ頑丈なケーブルを垂らし、
そのケーブルを伝ってクライマー(昇降機)が宇宙と地球を昇り降りします。(ケーブルの長さは9.6万km~14万kmと考えられています。)

↑イメージ図

また、静止軌道と呼ばれる、地球の自転と同じ周期で公転する軌道
(上空36,000km)に大型の宇宙ステーションを建造し、
宇宙開発の拠点とすることが考えられています。

地球の引力と遠心力でケーブルの両端が引っ張られるため、
それに耐えられる材料が無く、
これまでは創造上の建築物と考えられていました。

しかし、1991年に飯島澄男博士が鋼鉄の100倍の引張強度を持つ
CNT(カーボンナノチューブ)を発見したことにより、理論上実現可能な技術と言われるようになりました。

2.どんな仕組み?

まず、3万6千km上空の静止軌道からケーブルを垂らします。
しかしそれだけだと地球にただ落ちていくだけなので、上側にもケーブルを伸ばしていきます。
そして、上端にはおもり(カウンターウエイト)を取り付け、
地球の重力=おもりの遠心力となるようにします。

そうやって張られたケーブルを、
クライマーと呼ばれる、エレベーターでいう人が乗る機械が
電気を動力に行き来します。

3.どんなメリットがあるの?

現在宇宙へ行く手段はロケットしかありません。

「いやロケットあれば十分じゃん」
と思うかもしれませんが、
ロケットにはデメリットも多くあります。
(はじめに断っておきますが僕はロケットも好きですし、
初めて人を宇宙へ運んだ偉大な乗り物だと思っています。)

ロケットは、大量の燃料を燃焼して宇宙へ飛びます。
宇宙へ飛ばす程の推力を得るには、なるべく燃料を多く積み、
他の部分(エンジンとか荷物とか)を軽くしたいのです。
その結果、ロケットは機体の質量の8~9割が燃料となります。

だから、
・環境への負荷が高い(騒音等の周囲への環境負荷&地球全体の環境負荷)
・大量の物資輸送に向かない(あまり積むと飛べない)
・打ち上げコストが高い(105万円/貨物1kg H2Aの場合)
・訓練された特別な人(またはZOZOの前◯社長)しか乗れない
といったデメリットがあります。

その一方、宇宙エレベーターは電力で宇宙空間を往来し、
ロケットのように高速で大気圏を通過する必要がありません。

ですので、
・安全・環境に優しい
・低コスト(ロケットの約100分の1)
・大規模輸送が可能(1回で大量に運べる・エレベーターの増設も可能)
・宇宙へ行ける人が増える(耐G訓練等が不要)
・宇宙太陽光発電が可能になる(エネルギー問題の解決)
・宇宙パチンコが可能になる(深宇宙探査が可能)

といったメリットがあります。

「いや宇宙パチンコって何や」
って思った方もいると思いますが、それはまた後々書きます。

つまり、宇宙エレベーターが開発されると
大規模かつ低コストな輸送が可能になります。

そうなると、宇宙開発への敷居が下がり、
多くの企業や団体が宇宙産業に参入します。
多くの大学や研究所も簡単に宇宙で実験を行えるようになります。

宇宙観光
宇宙ホテルなどといった、
今は夢でしかないものが叶うようになるかもしれません。

このように、宇宙エレベーターが実現されると、
宇宙産業は爆発的に成長し、
今まで以上に宇宙が身近な世界になります。

4.どんな課題があるの?

「そんなにメリットあるなら早く作れよ」
って思うかもしれませんが、やはり課題点もあります。
現状の課題としては、
・ケーブル材料となる高品質なCNTの大量生産が難しい。
・太陽からの電磁波や放射線・熱による影響
・隕石やスペースデブリによるケーブルの損傷
・国家間の対立・テロ対策
・クライマー・その他技術の未発達

・天災
などが挙げられます。
今後はこれらの技術開発が求められてきます。

以前、山崎直子宇宙飛行士の講演会で、
宇宙エレベーター実現の可能性について質問したことがありますが、
その時は、「いくつものブレイクスルーが起きれば実現が見えてくる」
と仰っていました。

簡単に実現できる技術では無いことが分かります。


5.建設費、工期は?

建設費は現在、一説によると1兆円で済むと言われているそうです。
(つくばエクスプレスの建設費とほぼ一緒)
大林組は、10兆円と試算しています。

まだ技術の発展次第なとこもあり、
試算にばらつきがあるのは当然でしょうが、
いずれにしても絶望的に高い訳では無さそうですよね?

宇宙エレベーターを上記の建設費で建設させたとしても、
輸送や宇宙太陽高発電の運用をすることで、回収は出来る見込みとなっています。

工期は大林組の構想によると、20~25年と言われており、
2025年に着工が開始し、2050年の完成が見込みまれています。


ということで、宇宙エレベーターについてまとめてみました。
書いていく内に書きたいことが出てくるので、それはまた後々書いていこうと思います。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次は、宇宙エレベーターの歴史について書いていこうと思います。


参考文献

一般社団法人宇宙エレベーター協会
http://www.jsea.jp/about-se/
ファン! ファン! JAXA!
http://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/63.html
JAXA 宇宙情報センター
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/need_speed.html
NATIONAL GEOGRAPHIC  大林組 宇宙エレベーター
https://gigazine.net/news/20180602-rocket-emission-change-atomosphere/
http://freezzaa.com/archives/15
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20131105/371816/?P=1

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