みんながカヌレのことを忘れても
大学の近くのパン屋に売られていたカヌレを、しょっちゅう朝ごはんとして1つ買っていた。
小さいのに、ギュッとした生地と程よい甘さでかなり高い満足度を得られる。1限を受けるでっかい教室のうしろのほうで、カヌレをかじりながら講義を受けたりしてた。
そのとき足繁く通っていたパン屋はブルディガラ。
それから数年するとカヌレが流行り始め、私はすでにブルディガラが近かったキャンパスとはお別れしていた。
またカヌレが食べたいなあと思って適当な店で買ってみたりするものの、案外ブルディガラを超えるカヌレは見つからない。
あのガリガリした外側の食感が好きだったんだよな。記憶補正じゃなくて、あれはすごく好みなカヌレだったんだ。
それから好みのカヌレを求めて、適当にいくつかの店でカヌレを食べて回った結果、わかった。
外はガリガリで、中がもっちりしたカヌレはパン屋にある。
カヌレ専門店のカヌレにも、そりゃときめいたよ。ラ・スールとか。
ブルーベリーに知覧茶にフリュイ。いろんなフレーバーがあって、見た目がかわいくて、ワクワクする。
でもカヌレ専門店にあるカヌレはだいたいスイーツ的な食感を追求しているからなのか、外のガリガリ感は抑えめ、中がじゅわっとトロッとしている事が多い。ガリガリもちもちがあるのはパン屋だった。
で、結局パン屋の中でもPAULのカヌレがかなり好みだった気がする。プレーンが鉄板だけど、季節限定のカヌレシトロンもよかったな。
代々木八幡の365日のカヌレも似た印象で美味しかった。
あとはパン屋じゃないけど、代官山のドルチェタクボも。
そうそう、DEAN&DELUCAの謎にドーナツ型でおっきいカヌレも好きだ。これは特にスイーツよりパンに近いんじゃないか。あとでかいから満足感が違う。
あと一時期狂ったように食べていたのはローソンの「おいもさんのカヌレ」。なんか、ちゃんと外がカリカリしてて、そのうえどういう仕組なのかは知らないけど生地とさつまいも餡みたいなのがドッキングしていた。
コンビニスイーツはやっぱり、人々がカヌレの何に魅力を感じて、何をもって「美味しい」と感じるのか、が研究され尽くした味がする。ファミマの生カヌレケーキもよく食べてたな。
でもパン屋のカヌレが一番好き。だいたい、パン屋のカヌレはカヌレが流行る前からずっとあるんだし。
みんながカヌレのことを忘れても、パン屋だけはカヌレのことを「流行り物のスイーツ」じゃなくて食パンや、フランスパンと並列の大切なメンバーとして売ってくれるんだろう。そういう点でも信頼がおける。
欲を言うと、家の近所のパン屋さんでも売ってほしいな。みんながカヌレのことを忘れても、私はずっと買うからさ。
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