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夕暮れ時はいつも怖いから

夕暮れ時はいつも怖いから、そわそわと落ち着かない気持ちになってしまう。
特にこの時期、秋から冬にかけての日暮れが早まる季節には。

かつて幼い私の門限は17時、夕方5時だった。
その時刻には17時を知らせる鐘がメロディを奏でてくれるので、時計など持っていなくてもそれが鳴り終わる前には家に着いていればよかった。
ただ家から離れたところで時間を忘れるまで遊んでいたときは別だ。
「これが鳴り終わるまでに家に着かなかったら怒られる」。そんな必死な思いで家へと駆け出したものだった。

そしてそれは幼い時分のみに留まらず、中学生時代にも及んでいた。
「こんな時間まで何をしていたんだ」
親から子に掛けられるよく聞くお決まりの台詞ではある。
けれど夜遊びで出歩いていたわけでもなく、委員会の仕事帰りの時間などにも幾度となく言われたことがあるのだ。

18時を回った時には、「信用できない」と、学校に電話を掛けて確認されたこともあった。
あの気恥ずかしさと焦燥感、そして門限に間に合わなかった時に待ち受ける罰の恐ろしさが、恐らくは今でも私の奥底に根付いているのだろう。
夕暮れ時に家を出発することが未だに後ろめたく感じるなんて。

けれどその“そわそわ”を過ぎてしまえばまた違う感覚がやってくる。
夕暮れ時の怖さに反して、夜が深まった真っ暗闇はとても好きだ。
どこまでも続くような黒さと、信号の灯りがぼうっと浮かび上がる視覚情報。歩く人が減って車が増えるのもまた良い。

どうやら飼い主に似た我が家のチワワボーイも同じ感覚の持ち主のようで、昼間の散歩よりも夜深い時間の散歩の方が落ち着くようだ(夏場の暑い時間を避けた夜散歩により、それが明らかになった)。

そんなわけで、この時間から散歩に出ようと思う。
アディオス、おやすみなさい。

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