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映画「自虐の詩」レビュー

⚠️この記事はネタバレを含みます
あらすじ→感想の順に記事を書いていますが
感想のみ見たい方は目次から飛んで下さるよう
お願いいたします

あらすじ

中谷美紀演じる「幸江」は阿部寛演じる喧嘩っぱやく荒くれ者,そして無職の「イサオ」と貧乏暮らしをしています。
幸江はイサオの為に中華料理屋でアルバイトをし,質素でもきちんとご飯を作りますがイサオは少しでも苛立つとちゃぶ台をひっくり返し,パチンコに出掛ける為に幸江にお金をたかります。
ですがそんなイサオでも幸江はイサオと一緒にいれる事に幸せを感じています。



映画の冒頭で幸江は母に捨てられ,父親と二人で貧乏生活を送っています。
新聞配達のアルバイトで貰った新聞に自分の父親(西田俊之)が銀行強盗で捕まったことを知り,急いで家に帰る幸江ですが下着姿で手錠をはめられた父親はパトカーに乗せられ幸江の元を去ります。
(映画の後半で銀行強盗は水商売の女と結婚する為の資金の為だと描かれています。)


中華料理屋の主人(遠藤憲一)は幸江に好意があり,優しくしますが幸江は目もくれないほど無職のイサオが好きなのです。
しかし,幸江は給料袋ごとイサオにお金を持っていかれ隣に住む住人(カルーセル麻紀演じるおばちゃん)にお金を借ります。
おばちゃんは少ないけどと快くお金を貸してくれいい加減に目を覚ますよう幸江を諭しますが幸江は聞く耳を持ちません。

ある日「兄貴」と慕うチンピラ達と喫茶店で過ごしていたイサオは窓の外に寒い中,中華料理屋の出前をしせっせと働く幸江を見付けます。
その後喫茶店にも出前を持ってくるのですが喫茶店のマスターはこんな延びきったラーメンにお代は払えんと怒ります。
幸江が困っていると後ろから現れたイサオはマスターに頭突きをかまします。

その夜,イサオは明日から仕事に行くから弁当を作ってくれと一言「弁当」と言葉を発し,幸江は喜んで翌日弁当を作ります。
イサオはそれを持って交通整備の仕事に出掛けますが仕事中に偶然会った元仲間のヤクザに「あんなブスの為に足洗ったのか」と言われます。
怒ったイサオは相手を殴ってしまいます。
警察に連れられたイサオを幸江は迎えにいきますがその帰り道,何で殴ったのかと幸江が聞いてもイサオは何も言いません。
イサオはその夜家には帰ってきませんでした。

イサオは次の日,ヤクザの親分に呼び出され組に戻らないかとの誘いを受けます。
一方中華料理屋の主人は仕事終わり幸江にプロポーズをしキスを迫りますが幸江は口に指輪をねじ込み,ギャーと驚いて逃げ帰ります。
中華料理屋の主人は気を落とし,ふらふらと風俗店へ行き,別人の「ユキエ」を指名しますが,そこでひょんなことから刑務所から出てきた幸江の父親と出くわします。(ここでは幸江の父親とわかっていません。)次の日幸江は中華料理屋で父親と再会を果たしそこで幸江の父親だと発覚します。

幸江がいつも通り働いているとパチンコで儲けたイサオがチンピラ達を連れ,泥酔した姿で中華料理屋店にあるメニューを全て出せとやって来ます。
幸江の父親は「お前がうちの娘をたぶらかしているやつか」とイサオに掴みかかるのでした。
そこで幸江は「お腹に子供がいる」と告白。
ですがイサオは何も言わず店から出ていき幸江はショックを受けます。

翌日イサオは組に戻ると組長に報告し,家に戻るといつも通り幸江はご飯を作っていますが床には子育て関連の本が。
幸江と口論になったイサオは幸江に「出ていけ!」と言い,自分が家から出ていきます。

そんな中,出前の配達中にお腹の赤ちゃんをかばおうと子供の自転車の軍団を避けた幸江は歩道橋から転落します。
病院に運ばれた幸江は酸素マスクをつけられ意識が朦朧とする中でこれまでの色んな事を思い出します。
貧乏学生時代唯一の友達だった「熊本さん」との喧嘩や楽しい日々,気仙沼(地元)から出てくるときに熊本さんに見送って貰った事など‥
お母さんも自分を抱いて走馬灯のように出てきます。

東京で幸江は身体を売っていましたが薬物中毒でどうしようもない状態でした。
イサオは幸江に好意を抱いていましたが変わらず幸江は同じような生活を送っていました。
ある時幸江は中毒症状により幻覚が見え首をカミソリで切ってしまいますがイサオのお陰で一命を取り留めます。
どうしようもない彼女にとって優しくしてくれたのはイサオが初めてだったのです。
このような経緯があり幸江の為に足を洗ったイサオと幸江は二人で大阪に出てきていたのでした。



幸江が病室で目を覚ますと隣のおばちゃんや中華料理屋の主人やチンピラ達,父親など沢山の人達が周りにいました。
幸江がイサオはいないかと周りを見渡すと入口の扉からイサオは半分だけ顔を覗かせています。
皆が病室から出ていくとイサオは中に入ってきて赤ちゃんと3人で海を見に行こうというような事を言います。
幸江が生んでいいのかと問うとイサオは微笑みました。

病院を退院しお腹が大きくなってきた幸江。
ヤクザには戻らないという決断をしたイサオは作業服らしき物を着て朝ご飯を食べています。
そんな時熊本さんから気仙沼で別れた以来に電話がかかってきて幸江は熊本さんと会うことになったのでした。

幸江は熊本さんに昔見送って貰った時に貰った5円玉の沢山の「せんべつ」とお弁当を持って空港に会いに行きます。
熊本さんは旦那さんと子供達と一緒で二人は感動の再会を果たします。

エンドロールの最後では海を見ながら3人が楽しそうにしています。
イサオと幸江とそして赤ちゃんです。
イサオは幸江に照れ臭そうな顔を見せながら赤ちゃんをあやしているのでした。


感想

いやーこれは結構心に残っている映画です。
ジャンルとしてはコメディらしいのですが私にはどうもコメディとは思えません。
ご飯が質素だからちゃぶ台返しするのかと思えば4000円のお寿司を出しても高すぎる!とちゃぶ台返ししたり,隣のおばちゃんがちゃぶ台返しの回数だけ正の字で数えているのかと思えば夜の仲良しの回数も数えていたり‥クスッとなるところは所々あるのですが‥。笑

ともかくシリアスなコメディでお涙頂戴では無いのに目頭が熱くなる映画ですね。

幸江目線から見ると自分が駄目なときに側にいてくれたり優しくしてくれたりした人って心に残りますよね。
また幸江にとってはイサオが「初めて優しくしてくれた人」だったのかもしれません。

イサオはイサオでぶっきらぼうで言葉足らずですが映画の前半どうしようもない(赤ちゃんが出来るまで)時も幸江を貶されたりすると相手を殴ったりすることから幸江への愛情が垣間見えます。

ちなみにこのストーリーは漫画が原作らしいです!
監督は撮り方がとてもわかりやすいあの「TRICK」シリーズの堤幸彦監督ですね。

私的評価は★3.8です!







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