移住。

東京で生まれ育ち29歳まで暮らしてきて(鹿児島にも1年弱居たけども)、今日で札幌に移住して12年になる。

日付があっているかどうか自信はないが、調べたら2007年6月3日は日曜日なので、ニトリで布団を買ったりして当時の家、札幌市北区麻生町で寝たのは間違いない。

何故に?と聞かれることがあるのだが。
東京でも比較的都会の方だ。
上野まで日比谷線で一駅。
チャリがあれば溜池山王くらいまでは余裕である。

理由は一つだけじゃなくて複合しているのだが。

まず、東京以外に住みたかったということ。
中高と公立校に通ったのだが、専門学校は私立。
全国各地から東京にやってくるのだ。
新潟だ、仙台だ、九州だと。
そうして独り暮らしをして青春を堪能するわけだ。

羨ましい。

東京の便利なところで生まれ育った弊害もあるのだが、どうせ独り暮らしをするならば実家より便利な場所に住みたい。
しかし、家賃がべらぼうに高い。
高校の同級生でも、卒業後も実家暮らしをしているやつが殆どだったし。
しかも都立高なので友人も近辺に住んでいる。

費用対効果が圧倒的に悪いのだ。
自炊する手間、高い家賃、その割に住む地域を変えるメリットもない。
なので、実家暮らし。

すると、地方から出てきた連中が羨ましく思えるのだ。
「あいつらには帰る場所がある」
「あいつらには自分の田舎がある」
僕はそれがすごく羨ましかった。

まあ、実際に鹿児島にも住んだけども。

次に東京以外で働きたかったということ。
もう通勤ラッシュは辛い、辛い、辛い。
ひたすら辛い。
実家の最寄り、日比谷線入谷駅及び三ノ輪駅というのは物凄く混む路線であり。
日比谷線は東武伊勢崎線(スカイツリーラインとは言わない)と直結、北千住で常磐線からの乗り換えで銀座、日比谷、霞ヶ関に向かう人がウワッと乗り込む。
上野でかなり降りるのだが、入谷駅及び三ノ輪駅はその手前。
一番すし詰めのところだ。

それにリモートワークを2003年にはやっていて、当時も東京・大阪・ニューヨークをWebで繋いで仕事をしていたので、そういう経験もある。
30歳までには独立を目標にしていたので、そのタイミングで実家を出ようと思っていた。
じゃあ東京のもっと便利なところと言えばそうではなく。
東京以外の経済圏で働きたいと。

札幌が第一候補で、仙台、郡山、静岡、長野と続くのだが。
まあファイターズもいるし、と札幌に決めたわけだ。
野球以外の理由は
 ・AirDoの早割りを使えば毎週往復しても約8万円
 ・家賃がべらぼうに安い
 ・東京とも他の地域とも違う独特の空気感
 ・それなりに大都市でPC用品に困らない
 ・母親が北海道出身で、道東に親戚がいる
 ・災害リスクが低い
などが挙げられる。
去年、軽い災害に遭いましたが。

毎週東京に行っても、東京の一等地で暮らすのと変わらない値段で、すごく快適な生活を過ごせるというのが札幌なのだ。
実際、最初の1年半は「火水木は東京、金土日月は札幌」という生活を送っていた。
火曜日朝イチの飛行機で羽田に行き、そのまま前職のデスクに着き(業務委託契約だった)、実家に泊まって木曜日の最終便で札幌に帰る。
まあ「温度差で疲れる」という隠れたデメリットも知ることになるのだが。

しかも8時間ではなくて6時間拘束の契約だったので、東京のラッシュアワーもずらせる。
素晴らしい。

それに札幌の風景は本当にキレイだ。
中心街から山をこれだけ身近に眺められる大都市も珍しい。
札幌に詳しくない人に言うと「札幌市中央区にスキー場がある」というレベルだ。
ちょっと外れれば、もう広がる大地。
絶対に東京にない風景。

でも、東京のお仕事をする。

それ以外にも彼女がちょうど札幌にできたとか、すすきので飲んでもタクシーが安いとかありましたが。
よく「札幌転勤族は2度泣く」と言いますが。

本社から札幌という辺境の地への移住を余儀なくされることで泣き、
札幌から違う都市へ転勤を命じられれば札幌から離れたくなくて泣く。

実際に僕の友人も転勤で札幌に来て、転勤で今は名古屋に居て。
話すと「札幌に帰りたいんですよ〜」と。
それくらい快適。

で、札幌に移住して一番良かったこと。
「東京を自分の故郷、田舎にできた」
ということでしょうか。

東京も札幌も、勝手知ったる土地になった。
どっちに居ようが、自分の地元。

干支一回り12年。
ずっと札幌で暮らすんだろうな、とぼんやり思う。