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第8章 新サービスの開発が始まる

 標記は、「人工知能が変える仕事の未来」の目次から引用しました。連日、ハッカソンを支える人工知能APIの切れ味、そして、APIが今後のデジタル経済において如何に重要な地位を占めるかについて、優秀作品の例示によりイメージしていただくべく書いてまいりました。昨日の記事がこれです:

 ここで、もう少しAPI化がなぜ良いのかイメージすべく、上記書籍から引用してみます。「はじめに」から:

”第8章のテーマは、AIを活用した具体的な新サービスの開発です。といっても、10年後に誰かが突拍子もない思いつきで発明する新サービスをここに具体的に書くなどは不可能です。そこで、AIの機能、ご利益を直接、形にしたサービスの要件、新規事業の候補を例示しつつ、AIにより新しい付加価値を付ける発想のプロセスを紹介します。
 そのうえで、多産多死の新サービスを短期間に多数試作しては試用に投入しやすくする工夫のひとつとして、人工知能の能力を〝API〟(Application Programming Interface)として提供するやり方を推奨します。プログラム部品〝API〟をマッシュアップする手法、すなわち、他の素材、ソフトウェアと組み合わせて、非常に短期間にサービスを立ち上げる方法、それを支えるインフラ、仕組みがますます発展すると予想します。ディープラーニングが「作品」を自動生成できることから、アート系、エンターテイメント系の新サービスも増えるでしょう。近年のAI的なマッシュアップ作品から、データ主体のAPIやソフトウェア部品だけでなく、ハードウェア、IoT機器をもマッシュアップした作品群を紹介します。最後に、もう少し先の次世代AI、知識処理応用による新サービスについて触れます。”

 2019年9月の現時点でも、まだまだ、近未来の内容も多いといえるでしょう。我ながら、2015年によくこれだけ断言したな、とも思います。目次の小見出しはこうなっています:

"第Ⅱ部 人工知能が支える10年後のビジネス
第8章 新サービスの開発が始まる                                              
❖ AIを直接、形にした新サービス、新規事業                            
❖ ディープラーニングが作品を自動生成、エンタメへの応用  
❖ ビッグデータ、知識をもとにAIが自動BGM選曲など:
     マッシュアップ・アワードの斬新な優秀作品群から                
❖ 新サービス開発を支援する新世代のAI、知識処理応用サービスの可能性"

第8章の冒頭です:

"第8章 新サービスの開発が始まる
従来存在しなかった、AIを活かした新サービス、新製品は、次の要件が満たされて初めて出現します。
・ニーズが存在
・AIのおかげでコストダウン、スピードアップ、精度・性能が向上
・ニーズとその具体的実現手法を結び付ける技術、サービス提供の仕組みを、利益の出るコストで実現するアイディアの存在"

 昨年あたりまでの各社のAIプロジェクトの多くは、トップダウンに「とにかくAIやれ!」という号令の下、上記3要件を確認もせずに推進され、失敗したものが多々あったことを目にしています。現在でも、未来でも通用する条件といっていいでしょう。

”マッシュアップとは、APIの借用により「破壊的に安く、すばやくアプリを作る」手法といえます。ここで最も重要なのが、新サービスのアイディアです。APIを用いて、優れたウェブアプリケーション開発フレームワーク(Ruby on Rails やPython のDjango など)の上でアイディアをすばやく(多くの場合数日以内、早ければ数時間以内に)形にして動かし、実際に自分で使い、他人に使ってみてもらって評価を重ねることで、斬新で尖ったサービスを生み出せる可能性が高まります。
 その担い手は、生真面目に教科書で技術を学んだ若者というより、良い意味でのアマチュアリズム(対象を愛する!)、遊び心をもち、自らユーザーとして心から便利だ、楽しい、面白い、と感じる感性を大切に「作品」を生み出そうと創造に努める人々です。彼らの起業を助けたり(製品・サービスの購買や出資で)、大企業といえども、内部にそのような異分子を抱えるよう努めるのが、AIを活用した斬新なサービスを多く生み出す秘訣のように思えます。
 新サービスのコンセプト、メリット、目的自体にも変わり種があります。たとえば2015年11月にMashup Awards11(以下MA11)で、「つなぐ&つく
る賞」に輝いた、「イタズラPepper」という作品は、なんと「子育ての苦労を味わえるサービス」というコンセプトです。
「普段はいうことを聞くはずのロボットをあえて生意気にして、その躾をする行為を通して子供たちを成長させるという発想が素晴らしい。子供の成長には意識をさせることが一番だと思うので、とてもよいアイデアだと思います」。という授賞者側の作品評に、ロボット応用の月並みなアイディアの枠を打ち破ってくれたことへの賛辞が表れています。天才ショートショートSF作家・星新一の『気まぐれロボット』(こちらは人間をスポイルしないように時々狂って反乱するロボットですが)からも発想のヒントを得ていたかもしれません。”

続きは、また明日以降。具体的なマッシュアップ作品群をとりあげます。また、メタデータ社が一般画像認識でなく専門画像認識に特化した理由、その有効性を象徴する「この猫なに猫?」や、そのAPIをマッシュアップしたアプリ「なに猫マッチング」とその背景などについても書いてまいりたいと思います。

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