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SR600京都と機材と

2020年から始まった新コースSR600京都。プロデューサーはブルベをこよなく愛する男、オダックス近畿のK山氏だ。当初は5月にエントリーを予定していたが、緊急事態宣言発令もあり、11月の1週目に予定を変更して挑むことになった。

京都駅を出発して、京都府を北に南に一周するようなコースだ。

機材の準備と計画

今シーズンのSR600は、紀伊山地を2回と阿蘇を完走、四国山脈をDNFと4回出走しているが、いずれもフレームはWILIERのレーシングモデルZERO SLを使用している。当初からSR600攻略のためにオーダーしていたフレームなので、サドル~ハンドル落差は少なく、ホイールは色々迷ったが最終的にZIPP 303 Firecrestに落ち着いた。このホイール、ZIPPの他のシリーズと比べてもリム幅がワイドに設計されており、グラベルレースも視野に入れているようで、ハブの耐久性も高いらしい。悪路でのアップダウンを繰り返すSR600にはうってつけだと思う。フックレスリムで、タイヤは28Cのチューブレスタイヤを使用。色々なホイールを試したが、WILIERのレーシングモデルの剛性の高さとの組み合わせの妙で、快適性と速さを体感できるバイクが爆誕した。

SR600は参加者がスタートの日時を選択できるが、325km地点から登り始める小浜のエンゼルラインは日没後は閉鎖されるので、通行可能な時間を見計らって計画を立てる必要がある。今回は300km地点にある高浜の道の駅で時間調整を兼ねた休憩をとって開通時間の午前7時からエンゼルラインに入る事にした。この道の駅は三船さんが常宿?にしているので、事前に伺ってみたところ、夏ころから空調が故障しているらしい。11月上旬の屋内とはいえ、それなりに冷えるだろうし、できるだけ質の良い休憩を取りたい。ここでもやはり三船さんを倣って、サドルバッグにはエマージェンシーシートとエアピローを放り込んでおいた。

スタート~日本海を経て300km地点まで

スタートは平日の午前8時。新大阪駅から新快速の輪行で移動する。道中で使う予定のない輪講袋は24時間使用可能なコインロッカーへ放り込んでいざ出発。

出勤時間の京都駅前に不釣り合いなサイクリスト


スタートから京北を通過して城崎温泉まで向かう。ほぼ今までにブルベやツーリングで通った事がある道だったので、思いのほか早く城崎温泉に到着。前半戦の難易度は「本当にこれはSR600だろうか?」と疑問に思うレベルだった。グルメや温泉も楽しみたいところではあるが、日本海から怪しげな雲が近づいて、ポツリポツリと雨が降ってきたのでPCの写真撮影を終えるとすぐにスタート。

ここ数年で何度も訪れているが、最後に温泉に入ったのは10年以上前だ

雨が降ったりやんだりを繰り返しながら、前半の難所、丹後縦貫林道へ突入。雨が降ると鹿と遭遇するのはよくある事だが、この辺りの鹿は人に慣れていないのか?目が合っても逃げる事がない。幸い車道に飛び出してくることもなかったので助かった。林道の途中で雨が強くなってきたが、簡易トイレで雨宿りをして、20分程で小降りになったところを見計らって脱出。今回は雨に降られる事は想定していたものの、フェンダーまでは装備していなか
ったので、被害を最小限に抑えるための最善の方法を考える。

ステーキハウスでは鹿肉が食べれるのだろうか?


丹後を過ぎて、舞鶴のマクドナルドで遅めの晩御飯を食べて一息を着いたら、今日の目的地、300km過ぎにある高浜の道の駅へ到着。エンゼルラインの開通時間から逆算すると3時間ほど休憩が取れそうだ。

歯を磨いてベンチの上で横になるとあっという間に夢の中

エンゼルラインからおにゅう峠を越えて守山まで

仮眠から覚めて、コンビニで味噌汁を飲んで二日目のスタート。少し雨が降っていたようだが、路面はほぼドライ。開通したばかりなのに、なぜか展望台から降りてくる乗用車に疑問を覚えつつ、天気の良い中で適度な勾配のクライムを楽しむ。

海と山を望む、このコースのタイトル通りの景色

次のPCがある若狭基幹林道へ突入する。二日目の日中に雨雲が接近することは予見していたが、ここで雨雲につかまってしまう。概ね3日間を通して天気は良好だったが、昨日も丹後の林道で雨に降られるし、今日は未舗装路の林道と、一番降られたくないシチュエーションで雨雲はやって来る。雨宿りをしようにも木陰くらいしかないので、やむなくシューズカバーとレインジャケットを装着してゆっくりと走る。

雨が降る中、PCを探して時間をロス、お尻はドロドロ

穏やかだった初日に比べて峠が波状攻撃のように押し寄せる二日目。次はおにゅう峠を目指す。紅葉のベストシーズンだったので峠の景色は楽しみだったが、最近はメディアで取り上げられる事が増えたので少し気になるところ。幸い今回は少数のサイクリストとモーターサイクルだけで、峠での写真撮影渋滞もなし。

暖かくなってきたので道中でのんびり休憩。PCの時間制限がないSR600は気が楽だ

おにゅう峠の次は酷道で有名な477号線、百井地区。2017年に477号線走破をした事もあるけれど、しなな(477)いで、で有名な酷道で、軽トラックに乗ったおばちゃんに「死なんといてやー」と声を掛けられた(笑)。実際に2輪車で死亡事故も起きているので緊張感はある。しかし、今回で一番印象に残っているのは、辺り一面に漂う松茸の香り。ここでホカホカのおにぎりを食べたら松茸ごはんの気分になるんじゃないか?と思ったが、そんな事はないよね。

これでも国道なんです

難所を抜けたあとは本日の宿、守山アートホテルへ投宿。併設されていたジョイフルは閉店してしまったが、自転車を個室に持ち込ませてくれるサービスは有難い。幸いこの辺りは人の往来が多く、飲食店に困る事はない。晩御飯は滋賀県民のソウルフード、ちゃんぽん一択だ。

野菜大盛が無料のキャンペーン中。大阪にもあるけど、やっぱり地元で食べたい

冷え込む金勝からゴールへ

今回のウェアは夏の装備をベースに、アームウォーマーとニーウォーマーを追加。ウィンドブレーカーはレインウェアを兼用して1着のみ。想定していた気温は7℃から20℃。寒さに弱い方の人間なので、10℃以下の気温で耐えるために事前に上半身を中心に筋トレで1㎏ほど例年に比べて増量した。寒さ対策に携行するアイテムを増やすよりも、筋肉を装備することを強くお勧めする(笑)。結局、朝方の金勝は気温が0℃だったけれど、ホテルでしっかり眠って体力気力は万全だったので、しっかり強度を上げて走れば問題ないレベルだった。

ここから先は普段から走りつくしている練習コース

後半150kmは標高は高くないものの、細かいアップダウンで足が削られるルート。特に三国越え林道は逆さグレーチングや隙間のある溝があったり、初見だとリスクが高いので日が暮れる前に通過するようにした方が良いだろう。日没後に突入するには三船さんクラスの能力が必要だ。

三国越え林道の後は最後の難所、鷲峯山へ。鷲峯山への登坂ルートは6つあって、5つは走破済なのだが、おそらく獲得標高と距離の関係で出来たPCだと思うが、下りがなかなかの荒れ具合。23Cのタイヤを使用していた頃、この下りの道を横切る段差でリム打ちパンクを立て続けにくらった事がある。今回は28Cのチューブレス、そしてディスクブレーキ、全く問題なく下って終了。機材の進化の恩恵を実感した。

獲得標高と距離調整で生まれた?奇跡のPC

金胎寺を下って宇治川に出るとゴールはもう少し。バイパスの整備が進んだので昔に比べるとだいぶ走り易くなった気がする。15時過ぎには予定通りゴール。ここからは輪行袋を回収して自走で帰宅。二日目のホテル泊が効いたのか、体への負担はSR600KWと並んで限りなく少ないといえそうだ。

まだ日が高いうちにゴール


今回のSR600で思ったのは、普段から走り慣れた道だとこうも負担が少ないのか!という事だ。全般が知っている道で、特に難所になると思われる後半200kmについては20年前から走っている場所なので、三船さんほどではないにしても自分の庭のような感覚。次回はリムブレーキ、クロモリのクラシックな機材で挑戦してみるのも面白そうだ。


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