見出し画像

flèche2022とDNFと

5回目のflèche

チームで参加するブルベ、flèche(フレッシュ)。毎年イースターに合わせて開催されるので、参加するチャンスは年に1回しかない。募集期間に合わせてメンバーを集めて、リーダーはルートの策定や精査するなど、通常のブルべよりも参加へのハードルは高い。
こんな具合のフレッシュだが、これまで4回、リーダーとしては3回参加しており、いずれも認定完走することができた。
今回は、初めてリーダーを務めるAさんのサポートをする、という立場での参加になった。

ルートは直江津からナイスプレイスのある東京を目指す、本州を縦断するコースだ。4月と言えども、中央構造線を超えるので寒さへの対策が必要。場合によっては降雪の心配もあるが、東京をゴールとするフレッシュでは、東海道と並んで定番のルートの一つ。

直江津をスタートしてゴールまでは368kmの行程

スタート地点までの移動

土曜日の朝スタートだったので、金曜日から休みを取ってサンダーバードで金沢まで移動、その先は鉄道を使わずに自走する事にした。2年前のブルベ上越400kmでも金沢からの移動は経験あり。親知らずのトンネルでトラックが来たら嫌だな、富山で海鮮丼を食べたいな、くらいの軽いノリで180kmのサイクリングのはずが…

今回はWILIERのクロモリフレームGASTALDELLOの一号機・通称ガス子。雨は想定内なので前後にフェンダー装着、携行する荷物は最低限に留める。

まあ、雨が降る訳である。明日から24時間走るのにノンビリ電車で移動でも良かったけど、せっかくの3連休、走らにゃ損という事で迷うことなく自走でスタートへ。今回のメンバーは4人でそのうちのH野さんは一緒に自走することに。このH野さんは、私が開催したブルべ教室に参加して1年目でSR取得、2年目でSR600を完走した強者だが、ロードバイクを購入してからまだ4年目という事で、フレッシュも含めていろいろ経験を積んでみたいようだ。

H野さんと前日の雨の中180kmを移動。決して強制したわけではないが、少し自分の中で申し訳なさがあったので、今日は終始前を牽かせてもらう。

前日移動は結局180kmずっと雨が降りっぱなしではあったものの、アップダウンの少ないルートを選択したので8時間半ほどで予定通りスタート地点近くの宿へ到着。道中ではH野さんの様子を伺いつつ、雨の日のロングライドの注意点やコツを伝授する。想定外だったのは直江津の飲食店が居酒屋ばかりで夕飯難民になった事。せっかく新潟に来たのに、モスバーガーで済ませる事になるとは…。

流石にずぶ濡れで見知らぬ居酒屋の暖簾をくぐるのは躊躇した。

いよいよフレッシュスタート

前日夜に電車で移動していた残り2名のメンバーと合流して、軽く打ち合わせ。スタートからお昼頃までは雨が続くので、車間距離を空けて安全重視で走る事に。この時期であれば雨が降ると気温が下がりにくいので、7℃くらいかな、と想定した装備で出発。ところが長野に入ったあたりで雨脚は強くなって気温は3℃まで下がる。CASTELLIのGABBAを着ていたので浸水は問題ないが、昨日と比べるとゆっくりペースなので身体が一向に暖まらない。また、他のメンバーの消耗具合も気になるので、良いタイミングで見つけたすき家での休憩を提案する。

設定していたPCの隣がすき家で助かった。予想より冷えるので両脇にホッカイロを貼る。この時はこれ以上に冷える事はないと思っていたが…

進行方向と風向きを考慮して、「30分後に出発して10km走行すれば雨はあがる」とメンバーに伝える。ロングライド中は天気予報より、天気図と雨雲レーダーを参考に進行方向の天気を予想する。もちろん外れる事もあるが、今回は読みがピタリとはまった。

スタートから雨で辛そうだが、まだまだ気力は十分
休憩からしばらくするとこの通りの晴天。追い風にのってグロスの平均は19kmまで持ち直した。

立ち込める暗雲

今回のリーダー、Aさんが作成したルートは上杉謙信に由来する史跡を巡る。PCでの写真撮影だけでなく、お土産を購入したり、名物を食べたりとブルべ中ながらサイクリングを楽しむ。

4月中旬だが、長野ではまだまだ桜が見ごろだった。


花より団子。野沢菜のおやきがたまらなく美味しかった。

観光気分の長野を過ぎると、鳥居峠を越えて群馬へ向かう。事前にメンバーに伝えていたのは、「日が暮れる前に軽井沢を下って前橋に出れたら完走したも同然」という事だったが、リーダーのAさんの登坂のペースが思ったように上がらない。正直、日没時間と経過時間を睨みながら冷や冷やしていたが、これはフレッシュ、声を掛けながらチーム一丸になって淡々と登りをこなす。

ようやく群馬県入り。日がだいぶ傾いている。

鳥居峠を下る前にリーダーに「予想より時間を消費しているが、焦らずに行きましょう。休憩も疲れたら積極的に取りましょう。それでタイムオーバーでも安全第一で。」と伝える。というやり取りを経て到着した軽井沢のPCでまさかの事態が…

PC鬼押出園入口。自転車で来るのは困難を極める。

なんと、PCに設定されていたスポットが自動車専用ハイウェイの中間地点だったのだ。時間に追われている事もあってか、リーダーは茫然自失といった感じだったので、ひとまず私が先導して抜け道からPCへたどり着くルートを探る。別荘地を繋ぐ通路からアクセスが出来そうだったが、途中で玉砂利のグラベルに道が変わる。グラベルを走り慣れていない他のメンバーはかなり苦労しているようだ。5kmほど彷徨った結果、何とかPCの写真を納める事には成功したが、この段階で私はDNFを覚悟した。

結局、軽井沢からは色々あって、各自で前橋に向かう事になったが、ダウンヒル時の気温はマイナス2℃。後続のもう一人のメンバーSさんはマイナス3℃まで下がったそうだ。リーダーAさんは上田市まで戻ったそうだが、HさんとSさんは前橋まで何とか到着。3人はボロボロの状態で24時間営業のジョイフルに駆け込む。

指切のグローブと濡れたシューズでマイナス3℃を耐えきったSさん。生きて帰って来てくれて本当に良かった。

温かい食事と仮眠で息を吹き返すと、DNFではあるものの、せっかくの機会なので自走で東京を目指そうという話にまとまる。自分もそうだが、根っからのサイクリストだな、と感じる。

東京は軽井沢の夜と打って変わって春の日差しが柔らかく感じる。
フレッシュ初体験のメンバーとナイスプレイスを訪問してみる。今回は外から眺めだけ

DNFからの

前橋からは交通量が増えたものの、ただのサイクリングだったので危なげなく東京へ戻ることができた。束の間の東京観光を楽しんで、帰りは新幹線であっという間に新大阪へ。
ロングライドやブルべでイレギュラーは付き物である。私の感覚では、そのイレギュラーが楽しめなくなった段階、自分の力量でクリアできるか見通しが立たない段階がDNFのタイミングだと思っている。今回の場合だと無理にグラベルを走ってPCまで行ったのは間違いだった。ハイウェイに気づいた段階で、もっと安全に東京へ出るルートや宿泊施設への移動へと思考を巡らせるべきだったと反省している。
フレッシュは5回目にして初めてDNF。改めてフレッシュ、チーム走行は難しいなぁと実感した。こんな結末ではあったが、スポーツバーgrupettoでのフレッシュの勉強会は来年度に向けて継続しようと考えているので、興味を持った方はそちらもチェックしてみてもらいたい。

お上りさん気分で東京観光。前回は築地だったので、今回は浅草へ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?