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SR600阿蘇を走ってみた

九州にもとうとうSR600のコースが誕生した。肥後大津を出発して阿蘇を中心に高原を巡るコースだが、そのテーマは「阿蘇山ジオツーリズム」である。ジオツーリズムとはある場所の地球科学的な現象に対して興味や関心を持つことで、単なる観光とは異なる・・・らしい。これは紀伊山地の”世界遺産”とならんで壮大な副題である。3月に開通したこのコースだが注目度は高く、すでに知人が数名走行している様子をSNSで目にした。気になったのは、

①ぼんさん越の前後は道が荒れている。②累積標高は11,000m未満らしい。③牧ノ戸峠は寒い。④終わったら焼肉を食べる。

の4点。これだけ心に留めつつ、いつも通り無計画な自分はとりあえず移動手段の新幹線のチケットだけ確保。自宅から新大阪駅まで自走して始発に乗車さえしてしまえば3時間の移動は睡眠じかんに充てることが可能だ。今回はe5489の早特チケットを利用したので往復の新幹線代は23,000円だった。

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往路の新幹線でスケジュールと撮影ポイントの確認をしながらウトウト。初めて走るSR600では撮影する対象を見落とすリスクが大きい。探すのに時間がかかったり、通り過ぎてしまって坂道を往復する羽目になったり...

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熊本駅から在来線を乗り継いでスタート地点へ到着。自宅からは5時間半ほどかかったが、新幹線の乗り換えがなかったのでそれほど遠いとは感じない。スタートは正午なので、付近を探索しながら時間を潰す。

おおざっぱな予定では、正午にスタートして、PC7の道の駅を過ぎてから空が白んできた頃にぼんさん越へ向かう。日向市で昼食を食べた後は別府のネットカフェで仮眠、太陽が昇る時間と牧ノ戸峠通過を計算しながらゴールへ向かい、47時間でゴールして焼肉バイキングでフィニッシュ。

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PC2のモニュメント。ONE PIECEの作者は熊本出身らしい。他のキャラクターの銅像もあるらしいので、コンプリートしたくなってくる。

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PC3から阿蘇山の高原地帯に突入。予想していたより気温は高い。上着を脱いで半袖ジャージで十分だった。

スタートしてから程なく高原地帯でのサイクリングに突入するが、1週間前に走った紀伊山地とは異なり、ドライブウェイのような勾配が穏やかで一定のスピードを維持しやすい道が続くうえに、下りでも余裕でペダルを回すことができるので、累積標高はどんどん重ねていくが、想定よりかなり早いペースで走行する事ができた。

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見通しの良い走りやすい道。草原。牛。普段走りなれた場所にはないアクセントの効いたコースだ。

前半は走りやすい道だったのと、お昼から走り出して体が暖まっていたこともあり、想定よりも早いペースで進む。時間に余裕ができる事は良いのだが、今回の場合はぼんさん越を夜中に通過する事になってしまうので、喜んでばかりはいられない。

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で、迎えた峠はこのざまである。熊本県側はあまり管理されていない?印象だった。宮崎県側は道は悪くないものの、隙間の大きなグレーチングがところどころ出てくるので、通過する差には注意が必要。700×28Cのタイヤを装着していた自分でも挟まりそうになったので、2回目以後は減速してから斜めに通過してクリアーした。

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ここでの気温は5℃。昼間かとの温度差が激しい。スピードを抑えて慎重に下るとペダルが回せないので、身体は冷える一方。ちなみに一番恐怖を感じたのは、ぼんさん越えに向かうまでの集落で見かけた番犬?リードなしの犬2匹に吠えられてびっくりしたが、良く飼いならされているらしく、吠えはするものの追ってくる様子はなく事なきを得た。

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このまま勢いに任せて日向市へ突入。予定よりかなり早いペース。帰りの新幹線まで時間調整が必要かなぁと思ったが、この辺りから睡魔がやって来る。

ぼんさん越を下った後は、疲れと眠気でペースはガタ落ち。バス停で仮眠をとったり、公園の水道で顔を洗ったりして気分転換をしつつ、ほぼ予定通りの時間に日向市へ到着。夜中にぼんさん越を通過するスケジュールだと、119kmのファミリーマート以後は日向市まで自販機以外の補給が無いのが難点だ。(途中の集落でスーパーがあるが9時開店)

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ここで300km地点。あっという間に折り返し地点。見知らぬ地でのナイトライドはスリリング。安全面でも、景色を楽しむためにも日中に走りたいところではあるが、限られた時間しかないのでやむを得ず。

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宮崎に来るのは2年前の九州1周のBRM1000km以来。前回ありつけなかった念願のチキン南蛮をオーダー。とはいってもジョイフルに寄っただけなのだが。

2日目は宮崎から大分へ向かう。日向市から温泉のある集落を通過、ひと山越えて別府に到着するようだ。

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1日目に続いて今日も良い天気。時間があれば見て回りたい、寄り道したくなる場所がたくさん。

市街地を出た後は平成どころか昭和から何も変わっていないんじゃないか?という長閑な景色が続くが、補給ヶ所は少なめ。日向市からノンストップで走行するなら、376km地点のコンビニと深夜まで営業しているジョイフルが生命線になるか。SR600阿蘇は全体的に傾斜のゆるやかな上りが多いなかで、キツかたったなという印象が残るのはPC11の尾平越だった。

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PCの尾平越。ここを過ぎたら温泉街へ向かってゆっくり下るだけ。別府で外湯に入ってどこかで仮眠が取れたらいいのにな、と淡い想像を膨らませる。

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PC12は長湯温泉のど真ん中。今回はノーマークだったが、それなりに賑やかな宿場町という雰囲気で、個人的にはここの方が別府より好み。次はここで宿泊する予定で計画してみようかな。

別府に到着すると時間は22時過ぎ。空腹を満たすためにジョイフルで定食を食べていると眠気が...。横を見たらビジネスホテルが...。当初の計画は雲散霧消し、この先の安全第一と割り切って宿をとる事に。

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チェックインして30分後にはベッドに潜り込む。苦境に追い込まれるような状況は無かったけれど、昨日の昼から動き詰めなので、疲れていない訳ではない。

別府からゴールまでは120kmほど。のんびり走っても8時間あればゴールできるだろう。お昼ご飯の時間から逆算すると4時にはスタートしたいところだが、久しぶりの暖かいベッドで目覚めると時計が指す時刻は6時半(;'∀')。携帯電話のアラームは設定し忘れ?まあ、帰りの新幹線の時間を考えるとゴールのデッドラインは16時、手早く再スタートの準備をして7時過ぎには別府を出発した。

ここから先は再び阿蘇山へ向かって緩やかなアップダウンを繰り返す。別府に湯布院と温泉街を通過するが、寝坊してスタートが遅れたので湯浴みは次回のお楽しみ、ぐっとこらえながら先を急ぐ。

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春の野焼きが終わったあとのやまなみハイウェイ。空と山が見通せる景色が印象深い。ただし、強風が吹くたびに灰がビシビシと顔面を直撃するのには参った。

阿蘇は外輪山という独特の地形のせいか、コーナーを抜けた後に予想をしていなかった方向から強風が吹きつける事が多かった。今回は前後共に50mmハイトのカーボンホイールを装備していたので、下りで危険を感じて停止したり、ガードレールに打ち付けられそうになったこともあった。次回以後は30mmハイトくらいのホイールで行った方が良さそうだ。

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九州の国道最高地点でもあるPC。気温は高かったが、とにかく風が強い。真っすぐに立っていられないほど。通過の証跡の写真撮影中に自転車が風で倒れないか冷や冷やした。

3日目も天気が崩れる事は幸いだった。初めてSR600で雨に降られないという経験をした。初日と同じく阿蘇周辺は走りやすい道ばかりで、グロスアベレージは19km、帰りの電車どころか焼肉ランチにも間に合うペースでゴールする事ができた。

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とりあえずゴールのローソンから最寄りの焼肉屋さんでランチバイキングをオーダー。肉、ごはん、ソフトクリーム(笑)

SR600阿蘇、難易度は紀伊山地と並んで易しいと言っていいはず。累積標高は10,500mくらいで、日向市に出るまで180kmほどコンビニがない区間があるが、道の駅や商店はあるので自分のように夜中~明け方に通過しないならクリティカルな状況にはなり難い。自販機も十分に点在しているので真夏のチャレンジも面白そうだ。青々とした草原が広がる阿蘇、天気さえよければ最高のサイクリングになるだろう。

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今回の遠征でパッキングした荷物は①着替え一式、②ファイントラックのファインポリゴンジャケット③モンベル バーサライトレインジャケット④MARUTOエマージェンシー輪行袋⑤DEFEETチャコールウールニーウォーマー⑥モバイルバッテリー、充電器⑦キューシート⑧シューズカバー⑨補給食など

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