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あまちゃん…de妄想 ⑩

切断と接続の哲学…

リゾームとはなにか?


考えすぎるユイと
動きすぎるアキ…?


言葉を失いました

あの日ユイちゃんが見た景色は
こんなもんじゃなかったはず

アキはユイが負った心の傷の深さを
思わずにはいられませんでした


おら、見ちまったんだ

流されだ船どが、車どが
ひん曲がった線路どが

あんな光景見だら
ふつう逃げ出したくなるべ


いいがアキ
海が荒れで、大騒ぎしたのは
今度が初めてじゃねえ…

海はこええって決めつけて
潜るのやめて
よそで暮らすべ、なんて
おらそんな気にはなんねえ



アキ自身も、大切な海女カフェを
津波に壊された被災者なのだが…

めちゃくちゃになった
海女カフェに流れ込んだ土を
素手で、はらいのけるアキ

出てきたのは
種市やヒロシが書いた
潮騒のメモリーズの看板…


誰のせいでもねんだ、アキ

自然のいいところばかり利用して
自然のこええどこ目そむげて
そのうち忘れでまう

それが人間の、傲慢さだ…

さ、けえって、一眠りすっぺ



アキ

決めだ!

海女カフェ
復活させっぺ!

ここさもう1回
海女カフェ作るべ!



弥生

おめえ、夏ばっぱの話
聞いでながったのが?

アキ

大体聞いでだ
要するに、気にすんな
って意味だべ?


明るく振る舞っている人々にも
被災による疲労感が漂っているが

アキの一言で光が差す

「さすが、おらの孫だ」
という夏の表情



アキ

おらが作った
海女カフェが流されだ

直すとしたら
おらしかいねえべ

これぞまさに
おらにできる事だべ


ユイ

無理だよ…

気持ちはわかるけど、無理

これは現実だから
逆回転はできないよ


にべもなく否定するユイ

「逆回転はできない」とは
「もうアイドルにはならない」
という意思表示なのか?

ユイが負った心の傷は
津波よりも深いのかもしれない

あるいは
東京と岩手を自在に往復し
好きなように活動する
アキへの嫉妬もあるのか…?

なんで帰ってきたの?


ちょっと意地悪なユイの質問

だが、もう一度同じ質問をするユイ

で、アキちゃんは
何で帰ってきたの?


アキ

決まってるべ
ここが一番
いいところだって
ユイちゃんに教えるためだ


もう一度ここで
いっしょにやり直す気があるのか
〝移ろいやすい〟アキの気持ちを
ユイは確かめているかのようだ。

アキは言葉を選んで
ユイのご機嫌をとっているわけでなくアキ自らにも出した答えのはずだが…


移ろいやすいのは
鈴鹿ひろみの音程と
アキの気持ちだけじゃなくて
鈴鹿ひろみ本人、太巻も
北三陸へ移ろってくる。

東京にいる正宗と
携帯で会話しながら
北三陸駅構内をうろつく太巻

スナックの前で、接近遭遇する
太巻とユイだが

ユイは、開店準備に余念がない

太巻

スナック梨明日の
入り口に来ましたぁ


初対面するユイと太巻


太巻

やっと会えたね


緊張のあまり、無言のユイ


太巻

困るよ
勝手にどっか行っちゃ
心配するでしょ


鈴鹿

ごめんなさい

大物カップルが、場末のスナックで
浮きまくり『天野春子最強伝説』で
盛り上がってる隙に、トイレに立て籠るユイ


ユイ

なんでGMTとか鈴鹿ひろ美とか
太巻さんまでわざわざ
こんなド田舎のオワってる
過疎の町に、今まで誰も見向きも
しなかったくせに何で急に来んの?
地震があったから?


水口

ユイちゃんがいるからだよ
みんな君に会いたいんだよ
潮騒のメモリーズのかわいい方に


うなずくアキ

水口

なまってる方も
うなずいてるよ


アキ

んだんだ
ほら、ユイちゃんが
去年言ってたとおりになったべ


よし!決めた
私こうなったら
ここから一歩も出ない
東京なんか行かない!
私に会いたければ みんな
北三陸に来れば いいんだもん…ね


太巻

どうしてトイレに
こもっているのかな?
お腹が痛いのかな?
キリキリ痛いのかな?
それともシクシク痛い…


ユイ

痛くないです


あっさり出てくるユイ

太巻

あ…、そう
あらためまして
太巻です


ユイ

わたし、東京には行きません


太巻

でも君、もう二十歳だろ?
いつまでもご当地アイドルじゃ
先見えないし、東京に出るには
今がラストチャンスじゃないかな?


ユイ

東京も北三陸も
私に言わせれば日本なんで

お構いねぐ

私たち、お婆ちゃんになっても
ずっと、潮騒のメモリ―ズ
です!


アキ

です



太巻

それは…


かっこいいね




『あまちゃん』再放送を視て
いろいろ考えた。スキゾとパラノとか。

以前、引用させていただいた記事を、再び引用させていただく。

note『哲学の練習帳』さん
パラノ的感性とスキゾ的感性より

≪以下引用≫

浅田氏は「パラノ型」を「住むヒト」と定義し「スキゾ型」を「逃げる人」と定義しました。すなわち張り巡らされたリゾームの中を縦横無尽に逃走するイメージです。

≪引用おわり≫

浅田氏とは『構造と力』や『逃走論…』の著者、浅田彰氏のことだが、天野アキという人物を読み解くのに、なぜか〝スキゾ〟というイメージが重なり、さらに春子が田舎から〝逃走〟した80年代の「ニューアカ」がシンクロしてしまった。

そして、スキゾが逃走するという〝リゾーム〟が気になった。

ツリーとリゾーム

リゾームとは…?


ツリーとは
垂直方向に伸びる樹木

リゾームとは
水平方向に広がる、芝生やスギナ
のような根茎(こんけい)と呼ばれる
植物の形態

「ツリーの根っこがリゾームなんだ」と
勝手に勘違いしたが
ツリーの根っこは、リゾームではない
んだそうな…

ツリーとリゾームを
世の中のしくみに当てはめると…

ツリーとは、縦割りの官僚機構大企業などの、ピラミッド型、集中管理型の組織形態。

対して、リゾームとは、個人小規事業者などが、対等な関係によって、自然発生的にネットワークを作ってゆくイメージ。

ちなみにインターネットとは、リゾーム的なインフラと言われるが、SNSという〝場〟は果たしてどうなのか?

GAFAなどのビッグテックによって集中管理(コード化)される空間が、果たしてリゾームと言えるだろうか?

それは、ツリーから延びる根っこを〝リゾーム〟だと勘違いしたのに似ているかもしれない。

鉄オタの自分は
鉄道にもリゾームを考察してみたい。

鉄道は誰もが〝あまねく平等〟に利用できるリゾーム的なインフラであってほしい。

ところが、実態はそうではなくなった。

JRがまだ〝コクテツ〟と呼ばれた最後の時代に『ワイド周遊券』という、一週間から十日間〝どこでも乗り降り自由〟なフリーパスで乗り放題の旅を楽しんでいた。

その後、国鉄はJR各社に民営化され、需要供給原則に従って、赤字ローカル線などの不採算路線は、容赦なく廃止(切断)された。

その後も、地方のリゾームである
ローカル線は、年々消滅してきた。

北三陸駅長の大向大吉は言う


見てみろ!

人っ子ひとり、歩いてねえべ
車ビュンビュン走ってんのによ

これが
モータリゼーション
の実情よ


駅から離れた場所に大型ショッピングセンターができて、車がなければ買い物や病院にも行けない。商品の輸送もトラックだ。

鉄道の需要は低下する一方
駅前はシャッター街となった。

人流、物流の構造が、鉄道から離れてしまったモータリゼーション。

自由に移動できて、リゾーム的と思える自動車だが、経済の流れから俯瞰すれば、それは巨大ツリー構造のグローバル資本に寄与するアイテムだ。

これでは、地方経済の毛細血管が、血行不良となり、貧血、栄養不良になるのも無理はない。

この流れは、もはや「逆回転はできない」のかもしれないが

人々は、大切な〝何か〟に気づき始めているのではないか…?

その〝何か〟が

あまちゃんに、示唆されている…

悪いようには
しないからさ


「悪いようにはしない」という
ツリー構造のパラノ世界を
覆ってきた〝化けの皮〟が
徐々に剥がれ始めている…のを
感じないだろうか?

震災や、原発事故や、パンデミックなど
「緊急事態」では
ツリー依存型社会は脆弱だ。

津波で線路や通信が
切断されても

お構いねぐ


と、言えるリゾームの住人



その強さに気付き始めたのか…?

太巻も、探し当てた…

ボクが上野で

劇場作るときに

目指したのが

これだ


プロでもない

素人でもない

アマチュアのなせるワザ




まだ

君が探しているのは

これか?


そんな

太いのじゃなくて…

単 3…


痛っ!




自分を信じれば
電池はいらない




探していたのは



これだよ!


それ、ファイナルアンサー?

ふ…

ファイナル


勉さん…