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父を消した日。

父はわたしの名前を呼んだ。まわりはなにかざわついている。
でも、この、ざわついている、というのはあくまでもわたしの想像でしかない。父が"そういう"行動をしたということをあとから知らされたからだ。
わたしにとっては、父の"そういう"行動は、辛いことでしかなかった。

『名前を呼んだだけなのに、ひどいね』
『ほんとうのことを言ってしまえばいいのに』
どこからか声がする。

知られたくなかった、恥ずかしかった、父がかわいそうだった。
いやちがう。自分を守りたかった、こわかった。ただ、こわかったんだ。

学校から帰ったわたしは、薄暗い畳の部屋で、まるで自分が悲劇の主人公になったかのように、泣いた。声を出して泣いていた。
なんで、わたしがこんな目に、なんで、なんで!

翌日、わたしの目はもうこれ以上膨れあがる余地はないであろう厚さに腫れ上がっていたが、わたしは何事もなかったように登校した。
おそらく周りの友達はわたしの顔を見て、何かがあったのだろう、と察してくれてはいただろうけど。

そして、わたしは今までどおり知らないフリをする。
先生の話を聞く。
父を消す。


………

2年ほど前に書いた、初めての次の次に書いた。
あまりにも説明不足感否めないけど、そこは想像で。いつか詳しく書く日がくるかな?、

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