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映画で学ぼうエストニア文化〜 エストニア見聞録2

Tere!
この前スウェーデンで飛行機を逃しました。
航空券のキャンセル料が高すぎて罪悪感で枕を濡らしているNちゃんです。
あ、すみません。気を取り直して…
今年は記録的

さて、今回はエストニアの映画について書いていきたいと思います!
実はタルトゥ大学でエストニアの文化についての授業をとっているのですが、その中で紹介された映画がとっても興味深かったのでみなさんとシェアしてみたいと思いました!
どの映画も戦時中のものなので電子国家のでの字もないですが、エストニアの歴史を学べるいい機会になると思うので是非見てみてください!今回は2つ紹介したいと思います。

1. 『The Fencer』


一つ目は日本語版だと『心に剣士を』です!こちらは映画好きな方ならもう見たことがあるかもしれないですね。
日本でも上映されていたらしいです。主人公はフェンシング選手だったエストニア人男性のエンデルです。舞台は戦後のハープサルというエストニアの町で、彼はこの町で体育の先生として働きながら子供達にフェンシングを教えます。そしてそれがソ連占領下の暗い雰囲気の町で暮らす子供達にとっての希望となり、彼らは信頼関係を築いていくのですが、あることがきっかけでエンデルは自分の命と生徒との信頼関係を天秤にかけた大きな決断を迫られることになります。この決断が何を招くかまではネタバレになってしまうので書きませんね。
この映画の注目ポイントは実話に基づいているところではないでしょうか。作中では実際の戦後のソ連に占領されている様子を垣間見ることができます。子供達の父親は戦争でいなくなってしまっていますし、競技場にはスターリンの肖像画が飾ってあります。KGBの監視の厳しさもうかがえます。この映画ではエストニアの複雑な歴史について学べますし、歴史に興味がなくても生徒とエンデルの絆が深まる暖かいストーリーはそれだけでも楽しめます!

2. 『Tangerines』


実はこの映画の方がおすすめなのですが、日本語版があるのかちょっと定かではありません。この映画はエストニアとジョージアの共同制作映画で、舞台は1990年代のジョージアの内戦に巻き込まれてしまったエストニアの小さな村です。主人公は皆が戦火を逃れ移動する中、村に残ったたった2人の男性のうちの1人のおじいさんです。ある日近くで銃撃戦があり、収まった後に様子を見にいくと、2人のけが人を見つけたので、助けて家で匿います。しかし2人が目を醒ますと怪我人同士は敵対陣営だったことがわかり、お互いを憎み合い始めました。おじいさん達でなんとかそれをなだめつつ4人で生活を続け、それぞれの過去を知っていくうちに、彼らは次第に互いを理解しようと歩み寄ろうとします。しかし、戦争下であることは変わりません。彼らに危機が迫ります...!

結末は私としてはなかなかショックでした。この映画は直接エストニアに関わっているというよりは、ロシアやその周辺地域での領土問題について考えさせられるものになっていると思います。エストニアもロシアに占領された過去を持ちますが、それを過去の一点としてではなく、当時から現在にかけて国民の感情や政治の舵取りに強い存在感を残している長い線や影のようなものとして再認識することができます。2014年にはクリミア半島が侵略されたりとロシア周辺の地域は未だ領土問題を抱えており、不安な日々を過ごしている人々がいるかもしれません。こういったことについて知ることはエストニアに限らず人類の多くの人が共通してもつ愛国心や自国への帰属意識、政治問題から差別まで幅広く考えさせられますね。しかしそういった枠を超えて、自分が個人としてどう振る舞うかが大事、というのを主人公のおじいさんから教えてもらえる気がする点がこの映画の推しポイントの一つですね!

映画はその国の文化を知る上でいいツールになりますよね。もしオススメのエストニア映画があれば是非教えてください!本当はあと2本の別の映画についても紹介しようとしていたのですが長くなりすぎてしまうのでまた機会があれば紹介したいと思います!
この2つの映画ってすごく有名だったりしませんよね…みなさんみたことあるよ!って感じでしたらすみません😭
みたことないなって方は興味があったらみてみてくださいね😀

会っておいしいものを食べながらお話したいです〜 が、エストニアにいる間は電子書籍を買うと思います!