不登校は不適応？

学校が社会の縮図であるならば、その教育機関内で生じる不登校の問題は、単に個々の児童生徒が「適応」できないという問題ではなく、教育システムと社会全体の構造的な問題を映し出しています。性的多様性、民族的なマイノリティ、発達特性を持った児童、ハンディキャップを背負った人々など、さまざまな背景を持つ人々が直面する困難は、彼らが既存の社会に「適応」するのではなく、社会そのものが変わることで解決されるべきです。この原則は、教育の場においても同様に適用されるべきでしょう。

教育システムは、多様性を認め、個々のニーズに応える柔軟性を持つ必要があります。不登校の児童生徒が学校に「適応」できないのは、彼らが問題を抱えているからではなく、学校が彼らの多様なニーズに対応できていないからです。学校教育が一方的な知識の伝達や画一的な評価システムに依存している限り、多様な学習者がその中で充実した学びを経験することは困難です。

学校の役割は、社会の多様性を反映し、それを包摂する力を育む場であることです。教育環境を、すべての児童生徒が自分自身を表現し、尊重され、受け入れられる場所として再編成することが求められています。
そのためには、カリキュラムの多様化、個別化された学習支援、そして教育コミュニティ全体における意識の変革が必要でしょう。

私たちは、教育を通じて社会を変える力を持っています。学校の多様性と包摂性の促進は、社会全体の変化を引き起こすための第一歩です。
不登校の問題を解決するためには、児童生徒が学校に「適応」することではなく、むしろ学校が児童生徒の多様な存在を受け入れ、支援することに焦点を当てる必要があります。さらに言えば、学校という場のあり方を解体・再編成することも、想定の範囲内に入れておくべきかもしれません。

不登校という言葉が使われなくなる未来

若い世代の方は知らないかもしれませんが、かつて「登校拒否」という言葉があり、それが「不登校」という言葉に言い換えられました。

しかし今や、学校に通うことを標準とする発想を基盤に使われている「不登校」という言葉は、揚棄され、廃絶され、その役割を終えるべきなのかもしれません。

• 2024年3月2日（土）夜に開催されたイベントのふりかえりを元に書いた記事です。