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【詩】2000.夏

見つけられない心地がしている
世界中探しても

遠くで寄せては引き続けている
波のことを考えている
その一室
木々のざわめきの中に
誰かの声をきく
誰かの? わたしの?
穏やかすぎる午後
冬のにおい
不意に
夏の海の気配

ビニールのボール/素足で歩けない砂浜/鋭い岩で切った腕/日焼け止めの匂い/疲れきって眠る車内/更衣室の暗さ/細い道を下って。
べたつく夏
永遠に届かないわたしの8月
の、影
幼少の手触りが
断片的にしか
わからなく
なって
いる

わからない
はず、なのに。
灯台として光る
こちら側から見ていると
ちら、ちら、瞬いて。
それでも、
もう一生見つけられない心地がする

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