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地続きだって知りたくて

 地図を開く。いろいろな国があって、大きな大陸がある。日本の地図だから、真ん中に配置されているのが日本。その本州は、青森から山口までひとつながりになっている。果たして本当にそうなんだろうか? 小さいころからずっと不思議だった。

 山梨で生まれ育ったわたしは、地図を眺めては「ずっと歩き続ければ青森や山口に行けるし、途中には福島があったり京都があったりするんだなぁ。本当かな」と、ずっと思っていたのだ。
 幸運にも旅行好きの家に育ったわたしだったから、休日には父が車で色々なところに連れて行ってくれた。地図を見ながら疑っていた「日本の本州はでっかい島で、本当に車で新潟まで続いている大地を進めるんだなぁ。海とか渡らなくても事実行けるんだ。へ~」という、実感を車での旅行で育てた。地続きの感覚と呼べるその感覚。わたしは、旅行をするこごとに新潟や大阪などに「繋がっている実感」を伸ばし続けたのだ。
 山梨からそれぞれの土地への地続きの感覚は養ったものの、大学に入って上京してからもイマイチ「日本の本州はデカい島」という感覚がつかめなかった。わたしはどうやら、自分で見に行かないと物事を理解できな面倒臭い人間なのだろう。

 そこで、十代の後半ごろ「本当に端から端まで途切れることなく本州と言うやつが地面で繋がっているのか見てやろう」と考え付いた。大きなザックを背負って、まずは青森まで。鈍行列車を乗り継ぎ、途中友人の実家などに泊めてもらいながらすすめた。青森から順々に南下していく計画だ。
 それぞれの県については、長くなるのでまたいつか書くことにしよう。正直、ぼんやりとしか覚えていない個所もあるのだが。それはそれで、写真などを見ながら思い出しつつ、それでも覚えていない個所はまた行けばいい。何度も同じ場所を新鮮な気持ちで訪れられるのだからお得だ。
 結果、一か月と数週間ほどの本州旅行を経て「日本の本州はデカい島で、電車やらバスやらで横断することができて、こんなにデカいのに全部日本語が通じる」ことがわかった。本当にバカだ。日本に住んでいる幼稚園児でも知っていることだろう。
 
 わたしにとっては行ったことがある場所だけがすべてである。これで、自宅で寝ている瞬間にも、「足の指先から何百キロも行った先」に山口がある実感を得ることが出来た。しかし、ここに来てまた問題が起きた。
 海外についてのことだ。例えば、韓国。「飛行機で行ったことはあるが、本当に本州と海を挟んで存在するの?」基本的に移動することが好きなわたしは、飛行機も割と好きである。他の乗り物と飛行機の違うところは、窓の外を見ていればはっきりとどんな場所を通っているのか、ずっとわかる景色が見えるわけではなく、何やらわからない雲の間や真っ青な空の中を飛んでいるだけだ。飛んでいるという実感も大地が見えなければイマイチわかない。一体わたしは、このデカい乗り物の中で本当に空を飛んで日本とは地続きでない別の国に運ばれているのだろうか。

 結局、どんなに日本中歩き回ったって世界のごく一部しか繋がっていることがわからなかった。謎は次から次へと降ってわいてくるのだ。

 さらに気になるのは、ユーラシア大陸。本当に地続きなのか問題だ。わたしは、旅行記を読むのがとてつもなく好きなので、沢山の人の世界一周本やバス旅本、徒歩旅本などを読んだ。彼等彼女達が言うところには、本当に繋がっているらしいのだ。あんなにデカいのに。ウソでしょ。
 頑張って歩いたらロシアからフランスまで行けてしまうらしい。しかも地図を見てみると、アフリカ大陸とも繋がっているように見える。歩いて行けちゃうのだろうか。気になる。行ってみたい。

 気になって仕方ないので、真実を見た人はわたしに教えてほしいところだ。教えられたところで信じないだろうけれど。

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