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ティダアパアパ〜インドネシア忘備録②〜

 前回、インドネシア渡航前のイメージと、インドネシアのタバコ事情を書いたが、今回はいよいよ空港を出る。前回のnoteは下記リンクから! けれど、①から読んでも②から読んでも特段支障はないです。

ジャカルタのタクシー

 バックパックを背負って空港を出ると、タクシーの客引きが声をかけてくる。「タクシー!」「タクシー! タクシー!!」ともかく、タクシーを連呼して旅人たちに手当たり次第に声をかけているのだ。現在では、ジャカルタの中心地まで鉄道が走っているが、数年前はまだその駅も工事中であった。バスで行くことも考え、バス停に行くもバスは満席。乗合の小型バスなら乗れそうであったが、疲れていたのでやめた。そこで、「タクシー!」と叫んでいるおじさんの一人に声をかけ、とりあえず宿まで向かってもらう。値段交渉も忘れずした。結果半額に。こんなところでぼったくられてたまるか、と目をギラギラさせながら迫ったのが効いたのかもしれない。それから、同じ年頃の娘がいるから、一人旅は心配だとも言っていたので、情が湧いたのかも。わたしはとりあえず安心しながら、タクシーに乗り込んだ。

「インドネシアははじめてかい?」
「えぇ……まあ」
「そうか、いいとこだろ。学生?」
「はい。大学生です」
「そうかそうか、ようこそインドネシアへ」

と、こんな会話をしているうちに高速道路に乗ることに。高速道路代に5万ルピアくれというので、渡す。日本円にして、500円くらいだった。ドライバーさんは、慣れた手つきで料金所を通り渋滞に巻き込まれることもなく、無事インドネシアの京都「コタ」にある宿に到着した。

 タクシー代は、1時間くらい乗って30万ルピア。後々わかったことだが、わたしはここでめちゃくちゃにぼったくられている。最初彼は、60万ルピアだと言っていたので完全に安い! と思い込んでしまったのだ。その上、高速料金もどうやら彼は高速用のパスモのようなカードにチャージしていたことがわかった。インドネシア上陸一発目で、ぼったくられてしまったわけだ。しかし、これ以降もう何度もインドネシアを訪れているが一度もぼったくられていない。そう、怖い国でもないのでご安心を。みんな、基本的にはめちゃくちゃ優しくていい人ばかりだ。たまたま、最初の引きが弱かっただけで……。きっと、彼はわたしが払ったお金で娘さんとその晩豪勢な食事をしたことだろう。娘さんもきっと、喜び、結果的におそらくいいことをしたと思いたい。

 ちなみに、絶対安全にタクシーに乗りたい方は「ブルーバードタクシー」がおすすめ。料金メーターで必ず行ってくれ、料金は普通のタクシーよりも少し高いけれど安全できる。高いと言っても、日本よりずっと安いのでびっくりだ。さらに上のランクを望むのなら、「シルバーバード」。使っている車も高級車が多く、ゆったりリラックスしながら移動ができる。


電車に乗って水族館へ行こう

 荷物も宿に置き、身軽になったところでとりあえず外に出る。午前9時ごろの空はかんかん照りで、まだ朝だというのに真夏の日中のようだ。そこここで朝食を売るリアカーが出ている。機内食を食べたばかりであまりお腹が空いていないわたしは、コンビニでパンをひとつ買い、駅に向かった。

 電車で行く先は、「Sea World Ancol」という水族館だ。何を隠そうわたしは、水族館が大好きで、行く先々で必ずと言えるほど水族館に向かう。水族館は、水棲生物とコミュニケーションのとれなさそうなところが好きだ。水中と陸上でははっきりとした境界線があり、生と死が逆転する。わたしの好きな漫画のひとつ、『海獣の子供』では、水を境に彼岸と此岸が逆転する、と言われている。水の生き物にとって、陸上は死後の世界なのだ。ここまで書いておいてなんだが、単純に水棲生物の美しさが好き。水族館によって展示方法は様々であるし、居る生き物にもバリエーションがある。なにかと難しいことを言いたくなるが、ともかくわたしは単純に水族館が好きなのだ。

 さて、駅に行くにはバイクが飛び交う道を横断しなければならない。歩行者信号なんてものはないし、歩道橋もない。自力でこの弾丸のようなスピードで行き交うバイクの間をすり抜けて渡らなければならないのだ。慣れてしまえばなんてことはないが、最初は本当に怖い。異国の地で、バイクに轢かれてデッドエンドだけは避けたいものだ。コツは、バイクが進んでいる方向に手を突き出して、渡ってるぞアピールをすること。

 駅の中は、クーラーがあるわけではないのに涼しかった。地べたに座って涼む人たちがたくさんいる。東南アジアあるある、何をしているかわからない人たちだ。人と話すでもない、ケータイや本を見ているわけでもない、本当にただそこにいるだけ。ある意味一番、幸せな座り方なのかもしれない。わたしは、少しでも暇があると何かをしようとしてしまうし、何かしないと暇になってしまう。ぼーっとしたいのに、ぼーっと仕方を忘れてしまったのだ。たまに、彼ら彼女らをすごく羨ましく思う。

 切符を買い、いよいよ電車に乗り込む。日本で使われなくなった電車が走っていると聞いていたので、少し期待をしていたが今回の車両は違った。シート席の一番端に腰掛けて、窓の外を眺める。住宅街、ゴミ山、スラム、住宅街、踏切、住宅街。景色を見ているうちに、あっという間に目的駅のアンチョールについた。

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