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ベルボーイだけど、ホテルより旅館を私は選ぶ

私はホテルよりも旅館が好きだ。

こんなことを言うと、アルバイト先のホテルの方から怒られてしまうかもしれないのだが・・・

なぜか

理由は3つある。

①規模

やはり規模の大小というのは気になるものだ。大きなホテルに宿泊していると、なんだか満員電車に乗っているような気分になるのだ。というのも、自らも集団の一部に成り下がるような気がしてならないのだ。私という自己が強制的に消滅させられるような感覚に陥る、とまではいかないがまぁそれと似たような感情を彷彿とさせるのである。

まあこの点に関しては、小規模のホテルに泊まればいいという話であるが。

②恣意性

旅館の場合だと、たいていの場合食事の際に、布団を敷いてもらうことが多いが、だがどこで寝るかは宿泊者の自由である。敷いてもらった通りの向きで寝るも良し。布団の向きを変えるも良し。端っこや壁際で寝たければ、その場所に布団を持っていけばよい。しかしながらホテルだとそうもいかない。壁際にベッドを寄せることなどはできるけれども、大移動はなかなか難しい。実際にやってみると分かるのだが、ソファーベッドの移動でも、思ったよりしんどいのである。

宿泊者にどれだけその利用の選択肢があるかという面では、私は旅館の方が性に合うのである。

③部屋の名前

1205号室の田中さんと呼ばれるのと、菊の間の田中さんと呼ばれるのどっちがいいか

屁理屈みたいだが、私のような偏屈な人間にとっては大変重要な問題である。羽を伸ばしにいった旅先でまで、囚人の如く扱われる(と感じる)のは、ちょっと受け入れがたい。

だから私は、ホテルよりも旅館を選ぶのである。
まあこれは齢20いくばくかの、ベルボーイの戯言に過ぎないのだが。


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