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ワーホリで気づいた、私にとっての「幸せ」

幸せはあった。いつでもここにあった。

私は一昨年ワーキングホリデーをした。
お金がなくて仕事もなくて、バックパッカーズという安宿で部屋やキッチンを皆で共有し暮らしていた。
同じ部屋で寝る人数、16人。2段ベットが8個。国籍も性別も何もかもが異なる人たちとの共同生活は想像以上に苦しかった。日本人は私だけだった。
夜中に急に部屋の電気をつけて、物をごそごそ取りだし始めたり、
スピーカーで大音量の音楽をかけ始めたり、猛烈に臭かったり、盗みを働く人がいたり。他の国の人が持ち込んだ、アジア人だけが噛まれやすい虫に私だけ身体中を刺されたり。

大家さんと喧嘩をして、家を追い出されたり。

街に出れば、ホームレスがそこかしこにいる。
寒い冬でも薄い布と、クタクタになったダンボールを引いて硬い道路の上で寝ている。
スーパーの外には、たくさんのホームレスが小銭をくれとマクドナルドの空の紙コップを手に持って小銭をせびる。

薬漬けになっている人もいて、目をできるだけ合わせないで彼らの前を通り過ぎる。身を守るために。
昼間は緑が美しくお昼時にはたくさんの人で賑わう市内の公園も、夜になればアジア人女性が狙われ暴行される事件の起きる場所に変わる。
夕方6時からは近づかないように、と釘を刺される。
夜20時以降の夜道はできるだけ走って、女に見られないようにとフードを被って帰る。

本当に様々なことに気を張り、揉まれ、価値観が崩され、日本での生活がとてもありがたい環境であったことに気づく。
幸せって何だろう?
恋人がいて、楽しい。趣味があって仲間と楽しんでいる。素敵な家族がいて、いつも笑顔が絶えない。お金があって何も不自由ない。

確かにそれらを羨むし、幸せそうだと思う。
私は彼氏はいないし、親との関係が素敵なものでもない、趣味もこれといってないし、お金もそこまでない。
でも、幸せはここにあった。
雨風をしのげる家があるということ、自分の一人の空間があるということ、自分のベットで眠れるということ、おいしいご飯が食べられること、家族がいるということ、日曜日に公園を散歩できること。

それだけで、十分に幸せに感じる。
今日も幸せだった…と布団にくるまり今夜も眠りに落ちる。


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