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夜行バスの趣

ここ最近は奈良と藤沢を行き来するのに
新幹線ばかり使っていた。

先日、
夜行バスを久々に使った。

横浜発、京都着。
ここ数年で何回のったのか
わからないくらい
乗りなれた2つの場所。
色んな思い出がつまってる。

体力的に新幹線の方が楽だけれど
たまに夜行バスを使いたくなる。
貧乏旅行の学生の頃から
交通費を
格段に節約できる夜行バスに
何回、お世話になったか
わからない。

だけど私は安いからだけで
夜行バスを選んでないのかも
そんな風に思った。

夜行バスに感じるおもむき

「エモい」と言ったら良いのか
夜行バスには独特の趣を感じる。

眠らない街の明るさ
飲み会や会社帰りの人たちの波の横で
最後まで名残りおしそうに見送るカップル。
ひとり、音楽聴きながらしゃがんで待つ人。
春から夏の近づきを感じさせる
湿気を含んだ
生暖かい夜風を浴びながら
聴く音楽。
ついさっきまでの出来事を
スマホに撮りためた写真を眺めて
思い出に浸りバスを待つ。

旅先の時間が楽しかった分
長く余韻に浸っていたい。
まだ上書き保存したくない。
そんなときに夜行バスはちょうどいい。

窮屈な座席。
消灯後もカーテンの隙間から漏れる外の光。
座席から時折、漏れるスマホの光。
バスに揺られるうちに眠気がやってきて
ふわふわと思い出に浸りながら浅い眠りにつく。
暗闇の中に光る人気の少ないサービスエリア。
いつの間にか空が淡いうす紫色になって
到着のアナウンスで夢見心地から現実に近づく。
バスを降りて朝の空気で目が覚める。
凝り固まった体をほぐしながら
まだまだ夜が明けきらない町の中を歩いて
帰路へ。
日の出とともに思い出の余韻から
日常に戻っていく。

冬の夜行バスは凍てつく寒さが
思い出に浸るのを邪魔するけれど
夜行バスが気持ちいい季節になった。
体力が続く限りたまには
夜行バスの趣を味わいたい。

読んでいただいて、ありがとうございます。 自分のために書いた文章が 誰かの心にも何か残ったら嬉しいです。