見出し画像

2重シールの話

本稿の「シーリング」について

本稿は、建築のワーキングジョイントにおけるシーリングのうち、主に2重シールの限界について論考したものである。
よって、ノンワーキングジョイント(特に内装)については完全に別問題として捉えているし、実際に別問題である。なぜこんなことを言うのかというと、ワーキングジョイントについて書いたときに、ノンワーキングジョイントの理論を持ち込んで反論する方が少なからずいらっしゃるからだ。
なお、シーリングについての基本的な知識については、検索サイトなどで調べれば、非常に多くの有用な資料に溢れていることがわかるので、ここでは触れないこととする。

問題

Twitterにて、次のような問題を出してみた。

【クイズ】 次のシーリング施工のうち、性能、初期不良の危険度、コストなど、総合的に判断して良好と判断できる順に並べよ。(良い→中間→良くないの順)
1.A→B→C
2.A→C→B
3.B→A→C
4.B→C→A
5.C→A→B

総合的に判断して良好と判断できる順は?

回答者の傾向

ツイートを見て答えてくださった方の有効回答数はつぎのとおりになった。
1.A→B→C 3票
2.A→C→B 4票
3.B→A→C 3票
4.B→C→A 6票
5.C→A→B 0票

どちらかというと設計者サイドの方が、1か3と答え、施工サイドの方が2か4と答えている印象を受けた。
1と3はC(1重シール)が最もよくないとする選択肢だ。
これは、誤解を恐れずに言えばこの傾向を見る限りにおいて、設計者のほうが2重シール神話に毒されているとみることができる

本稿は、このような2重シール神話に侵されている人々に対するアンチテーゼ、あるいはイシューである。

解答

ここから先は

4,114字 / 7画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?