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柿酢

完熟のじゅくじゅくの渋柿を
梅酒用の瓶に詰め込むだけで
できる、柿酢。


瓶に入れて、握り拳でつぶす。
イメージとしては、これくらい柔らかく熟した渋柿を使う。
実は、渋柿はしっかりと熟したら、渋みは消える。
そのままでも
結構美味しくたべられます。 
柿酢用と、冬のデザート用、
適当に分けます。

昨年冬に仕込んだ渋柿ですが、

4/21 雨の日、晒し布で絞りました。

昨年は柿が少なく、
今回は渋柿を作るときにむいた
柿の皮のみで
仕込んでみました。

結果的に、量少なく、
でも黄色でいい柿酢が
できたと思います。

実は2年ほど前に、柿の皮だけの柿酢と
完熟渋柿で仕込んだのですが、

皮だけの方が薄いオレンジ色で、
とてもおいしいのができました。

今回はほとんどが
柿の皮だけだと、水分が少ない。
ただ、色は濃厚。

今回思ったのは、
量が少なかった。

わずか800ml程度。 

柿が豊富であり余った時は
3升(約5.4リットル)くらいできたので、
結構少ないですね。

柿酢を作るにあたって、
わざわざ柿は買ったり取りに行くまでもなく、

渋柿を作る時に間に合わなかったもの、枝がとれてしまったもの、
その他、失敗したものをつかう。

じゅくじゅくでカラスが突きそうなもの
がうまくいきやすい。

渋柿の高い糖度で自然発酵。
毎日かき混ぜることをすれば、
そう失敗することはない。

(甘柿だと甘さが少なく、
渋柿の方がずっと糖度が高いらしい)。

柿だけで酢ができる。
シンプルです。

注意するのは、カビとコバエ。
カビは毎日かき混ぜるだけで防げる。

ぬか漬けと同じですね。

冬は寒くてつい忘れがちですが、
せめて2日に一回は混ぜた方がいい。

完全放置でもできなくはないですが、
その場合は、カビが出てしまう可能性が高い。

ぬか床の壺の隣におけば、
まぁそう忘れることはありません。

コバエも毎日かき混ぜているようなところには来ない。
きたとしても、概ね防げる。

作り方は簡単ですが、確認もせず、
放置ではダメだと思う。

さて、柿酢は春に晒し布などで
絞る。あとは沈殿や濾過で完了です。

今回は量が少なかったので、
まぁ手抜きでそのまま瓶に詰めました。


渋柿の種。
意外ですが、外に捨てたら発芽していました。
いわば酢漬けになっていたはずです。

種って不思議ですね。

種は山にばら撒いてこようと思います。

柿はイタチやテンが
柿の種を運ぶようです。
以前に動物のフンから発芽している柿を
みました。


だから誰も植えていないようなところに
柿の木が育つ。
晒し布で柿を搾る。
酸っぱい匂いがしてきます。
酢を晒しで絞って思ったのは、
手がきれいになる。
味噌作りの時も、
ぬか漬けの時も手がきれいに。

同じ気がします。
少なめとはいえ、台所が
酢のいい香りです。

搾りかす、今回は堆肥用にします。

おそらく柿酢の絞りかすは
色々と使えそうな気がします。

絞りカスといえども、
酢はまだ残っている。

手がきれいになるなら、
何か使えそうです。

たとえば、水でといで濾す。
その液をリンスか何かの洗剤みたいに
使えるかもしれません。

要は天然の酢なので、
クエン酸です。

こうしてみると、作れるものって
多いと思います。

放置されている渋柿はとても多く、
なぜか切られている木もあるくらい。

柿酢はとても簡単なので、
作った方がいいと思うのですが、
実際に作る人はあまりいないようです。

確か信州ではよく
作られているはずです。

簡単だから、みんなしても
おかしくないとは
思うのですが、一手間って、
結構曲者かもしれません。

というのも、野草、山菜にせよ、
たとえば、人気のマコモダケで
あっても、

実際に収穫、下処理、をしたがらない人は何人も見てきました。

何人か遊びに来た人をみてて、
理想は自然の食べ物、でも面倒なことは避けたい、

虫食いは嫌、大きさも整っている方がいい、収穫はおまかせ。

という様子は伝わってきました。

あまり泥まみれになったりも
したくはない、
寒い、暑い、虫がいるのが嫌。

要は、面倒くさいことはしたくない、さっさと食べたい。

調理も簡単にすませたい、
ってとこでしょうか。


私は下処理が好きなわけでは
ないですが、
目の前に有り余ったものがあれば、やらざるを得ない。

今だと、タケノコが旬ですが、
最近は家の近くに生えてきて、収穫と煮る作業が結構大変です。

というのは、斜面に生えるタケノコ、
竹の根がはるような場所の
タケノコを掘るのは、
思った以上に体力を使います。

特に雨の日のあとは、
タケノコは一気に伸びる。

面倒だとか、思う暇がない、
掘るしかない、
という状況です。

せっかく生えてきた、
貴重な食べ物なので、
やっぱり無駄にはしたくない。

ケチくさいわけではないですが、
食べ物のの廃棄と同類で、無駄にはしたくないわけです。

昔勤めていた調理場では、
食べ物の廃棄は
すごかったのを思い出します。

余ったご飯、
引き下げられてきた料理の数々。

感情があったら仕事にならないくらい、
捨ててしまいます。

山を所有しているおじさんの中には、
タケノコを蹴って折る人も
いるくらいです。

少し食べるだけで十分、だと考えているのだと思います。

タケノコは、まずタケノコの
周りを掘ります。

その時から、竹の硬い根っこ、時には岩が出てくる時もあります。

気温高ければ、一本のタケノコを
掘るのに、
汗だくになることもあるくらい。

きっとタケノコを栽培しているようなところであれば、
まだ掘りやすいのだと思います。


話が大きくそれそうなので、
柿の場合も、
面倒だと思う暇がない、

そうでないと、柿がくさってしまう、
さっさと柿は干そう、仕込もう、ってなるわけです。

柿を干すのは、もっとも
急がないといけない。

というのは、柿が柔らかくなると、
皮が剥きにくく、
痛みやすい。

柔らかくなってしまったら、もっとまって完熟させる、

あるいは、柿酢の仕込みにするしかありません。

そうすると、干し柿をサボるかゆっくりすると、

柿酢が多すぎて、
容器に入らなことにもなります。


柿に追われて、考える暇も、面倒だと思う暇もない。

結局、収穫させてもらった柿は、
一粒残らず、
何かに活用できているわけです。

収穫できない、ハサミが届かないものは、動物に。

冬には、柿は全てなくなっています。

柿は人も動物にも役にたつ木だと
改めて思います。


さて、簡単にできる柿酢ですが、
以前作るのを忘れて、買おうと思ったことがあります。

結構いい値段していたのもありますが、
作った方がきっといいと思う。

仮に柿を買うにしても、
じゅくじゅくで売り物に
ならないようなものを

八百屋さんなどに用意してもらうこと、
きっとできると思います。

柿酢、果実だけでできる
貴重な天然醸造ですが、
他のものだとそう容易ではないはず。

酢といえば、安価なものから高価なもがあるわけですが、
買わずに作るって、
いい世界だと思います。

できた時の感動は今でも覚えています。

そうか、買って感動があるのか、
といえばどうなんだろう。

美味しければ、良かったで
終わりかもしれない。

作るのは、面倒かもしれないけど、
過程があって、
時には失敗もする。

無駄な時間のようで、
色々と作業もする。

作るのも、一つの思い出になるだろうし、できた時に
やっぱり感動がある。

感動、だと大げさだけど、
少なくともできたときの嬉しさは
あるわけです。

何か心が動かされる、というなら、
手作りや収穫作業など全て
振り返るといいかもしれません。

柿も山にオレンジの実がなる。
当たり前ですが、
柿の色にはひかれる。

感動しているわけです。

感動していることに気が
ついていないだけで、

何か見る、作ることで
感動を作っているようにも
思えてきます。

となると、手作りのものって、
奥深いというか、
考え方によっては、
結構いいものに思えてきます。

私は柿酢をよく水で薄めて
飲んでいます。

酸っぱい酢ですが、
何か特別なものでもなく、手間と時間を考えれば、買った方が手っ取り早い。

手っ取り早いのはいいはずですが、
それだと特に感動がない。


柿酢は作るもの、で今や定着している。

柿の姿や過程に色々と
感動していたわけです。

柿酢、酢そのものですが、
いい風味がします。
たぶん、今年も柿酢は作ると思う。





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