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「巻き寿司ってあるじゃないですか」

最近どうもバタバタしてまして……。

とはよく聞く(そして使う、べんりである、そしてほんとにバタバタなんてしてんのか?とも思う)表現であるが、今週前半のわたしはもはや「バタバタ」どころではなく「ドッチャドチャのムチャムチャ」くらいの表現がふさわしいような、処理しきれぬ日々を送っておりました。

日曜日:いちょうを観に行く

この日はまだドチャドチャではなかった。
静かなものです。

東京生まれのわたしが一番大好きな銀杏。
それは本郷の東大キャンパスの工学部前にある、大きな大きな銀杏です。
毎年かならず見に行っています。

「お母さんみたいな木だ」といつも思う

大きく、広く、美しい。
だいたい12月の第一週くらいに満開(というのか?)になる。

そもそも東大の本郷キャンパスは建物もシックで美しく、本郷三丁目の街にも古きよき昔の東京の雰囲気が残っていて、東京生まれの人間としてはぜひ一度見に行っていただきたいなぁとおすすめできる場所であります。
結婚前、夫がこの近くに住んでいたのでわたしにとっては思い出の街でもある。

ちなみにこの銀杏のすぐ目の前には、小さな(校舎内の)スターバックスがあって、平日の朝くらいに行けば、窓際のカウンター席に座ることができる。ここは銀杏やその他の木々の紅葉を独り占めできるスペシャルシートです。だがこの季節は混むのでなかなか座ることは難しい。
前に一度、ラッキーにもひとりで座れたことがあった。
ざわっと大きく風が吹いて、ダイアモンドダストみたいに黄色や赤の葉っぱが美しく散っていた光景は忘れられないな。

あと、これはおまけ情報なんですけど。
この季節に本郷キャンパスの銀杏を見に行く方は割といらっしゃると思うのですが、実は道をひとつ超えた農学部キャンパス(弥生キャンパス)の鬱蒼とした雰囲気がこれまたいいんです。

こちらにはなぜか銀杏はほとんど植えられておらず、常緑樹が多い。
なので秋冬も鬱蒼としているのである。

獣医学部にある動物医療センター
上野先生とハチ公の再会の像ができていた(泣いた)
農学部の門。素敵な模様だ。

さて、翌日から「ドッチャドチャのムチャムチャ」のはじまりである。

月曜:いきなり気持ちが撃沈

原因がなかったとは言わない。わたしはちょっと聴覚過敏なところがあって、特に上階の足音に苦手意識がある。
でも、いつもはやり過ごせる足音が、やり過ごせなかった。嫌で嫌で嫌すぎて、家にいることをあきらめて(休日なのに)、ほぼ日がな外をうろうろする羽目になった。
と、言っても、もともと娘の腕時計を修理に出しに行くとか、クリスマスプレゼントを買いに行くとかの予定はあったから、その予定を長めにこなしただけとも言える。しかし疲れた、ずっと外にいるのは疲れたよ。

そうしてからの、夜のヴァイオリンレッスン。疲れてヘトヘトだし、気持ちも泣くくらい撃沈して最悪だし、よっぽど行くのをやめようかと思った。
でも、レッスン内容はまた改めて「憧れの楽器」シリーズの記事として書きたい(書くべき)と思うけど、ひとつ分かったことは、わたしはどんなに舌が痛かろうが(舌痛症)、気持ちが落ちていようが、キャプテンのヴァイオリンレッスンには行くほうがいい。
レッスンをやると、どんなに乱れていても静かな心に戻るのだ。
なんというか、ブレブレでぐるぐる回っていたコンパスの針が、スっと北の方角にむけておさまるというような感じ。

ヴァイオリンと向き合っているあいだは、他のことを考えていない。楽器を構えて、弓を持って、楽譜とにらめっこして、どんな風に音を出すかとか、こんなふうに弾けばいいのかとか、それだけの人になっている。「それだけの人になれる」時間はとても貴重なことなんだろう。

ちなみに今回のレッスンではスタッカートを練習したのだが、重いスタッカートと軽いスタッカートの弾き方の違いを説明する時に、キャプテンがとつぜん、

「巻き寿司ってあるじゃないですか」

と爽やかに言い出した。

とつぜん、私の頭の上から降ってくるでかい巻き寿司。

「巻き寿司って包丁で上からギュッて抑えて切ろうとすると、潰れちゃいますよね。だから、ちょっと包丁を上の方向にあげるみたいに、引き気味に切りますよね。軽いスタッカートの弓使いもそれなんです」

ええー?と思いつつ、たしかに、巻き寿司を意識して弾いてみたら、本当に軽いスタッカートになったのである。

「軽やかに弾く譜面が出てきたら、巻き寿司のことを思い出してくださいね」

とニッコリ笑顔のキャプテン。
「巻き寿司ってあるじゃないですか」と言い出した瞬間が、なにしろめちゃめちゃ面白かったな。

火曜:終わらない会議

もうタイトルそのまんま。
この日は朝から同時進行であれやこれやの相談支援やプログラム、記録作成をこなし、昼は食欲がわかずむりやり「SOYJOY」をかじり、こなしきれないままに夕方に始まった会議が「ええー!」という方向でめっちゃ長くなった。
職場の今後を左右する話し合いみたいな感じなので、どうでもいいことでは決してない。しかし、前提がひっくり返ったり、先が見えなさすぎたりして、何をどう話し合っていいのかわたしには掴みきれず……。

そして、こなしきれなかった残務をたくさん繰り越したまま帰宅することとなる。
夜ごはんは作る気力がない。近所のおいしいナン&カレーを買って帰る。
風呂につかり、まりこ先生のストレッチ。
その後、こたつで深夜3時まで寝てしまう。

水曜:高津監督から来季に向けて電話をいただく夢を見る

「俺は、来シーズンもののっつは中継ぎで使ってこうと思ってる」

ありがとうございます。でも正直、自分としては自信が……。

「球種を増やしてみる気はない?」

球種ですか、たしかにわたしはフォークも投げられませんし……でも、そもそもですね、多分わたしの課題はスタミナ不足だと思うんです。

「俺は今後は抑えでも使っていきたいって期待してる」

いやー……最近お昼ご飯も食べられてないんですよね。体づくりからなんじゃないかって……

という夢を見た。

夫に話すと、「そこは、高津さんのシンカー教えてください!って言って欲しかったんじゃない?高津はさ。」と言われる。

で、仕事は前日同様、いや、前日を超えるドッチャドチャのムチャムチャ状態である。
TODOリストが減るどころかどんどこ増えていく。
わたしだけではなく、職場全体のあちこちで事件が起きている。みんなドタドタ。
ようやく一件片付いたと思ったら、長年の引きこもりの方のお母様からの相談電話。もちろん聴きます。でもけっこう長びく。その記録も書かなきゃなんない。同時多発でまた他事件が起きる。そしてまた昼は食欲なく「SOYJOY」をかじる……。せめてと思いヤクルト1000をグイッと飲む……。

途中、あまりに頭がドチャドチャ状態になってしまい、何をしていいかわからなくなって、目の前に座っている同僚の方に「どうでもいい話をしてもいいですか」と前置きする。「どうぞ」と承諾を得てから、高津から来季に向けての電話をもらった(夢を見た)話をした。

「高津がそんな電話をかけてくるということはののっつさんは勝ちパの中継ぎでしょうね。で、球種があまりないということは、コントロールがおそろしく良くて、コントロールだけでバッターを打ち取れるピッチャーなんでしょうね、ののっつさんは」

などと言われる。
コントロールで打ち取るピッチャー……悪くないな。なんて思いながらぼんやりしていたら、残務だらけで就業時間を迎える。

で、この日のきわめつけ。
帰り道に交差点でドーン!とものすごい音がしたと思ったら、ゴールデンレトリバーが車に激突していた。
もんどりうって「キャーン!」と鳴いてから、パニック状態で遠吠えしながら猛スピードで道路を走ってゆくゴールデン。飼い主の姿はない。
交差点にはそれなりの人達がいたが、みな固まってしまって動かない。
わたしは「見失ってはいかんだろう!」と、瞬間的にダッシュしてゴールデンを追いかけた。猛ダッシュである。が、ゴールデンの全力疾走にはまったく追いつけず、だいぶ走ったけど見失ってしまった。

(高津さん、やっぱスタミナ不足ですよ)

帰宅して風呂、まりこ先生のストレッチ。またこたつで寝てしまう。ヘットヘトだよー。

今週前半だけでこれです。
木曜(きょう)はさらにドッチャドチャに泥団子みたいな一日だったのだが、それはまた、あらためて。