「記憶」
数年前、本屋さんで表紙に惹かれたが読んでいなかった。川村元気さんの『百花』。
一輪挿しのように、部屋をそっと明るくさせてくれる表紙。
認知症の母親と息子の話。認知症という、リアルな話ではあるが、読み終わったあと清々しく感じた。
テーマが「記憶」だったからだろうか。
「あとがき」がなかったのだが、川村元気さんの想いが書かれたサイトを発見。(「小説丸」さんより引用)
https://shosetsu-maru.com/interviews/authors/quilala_pickup/130
実際の声を一つ一つ丁寧に物語に紡いでいる作品であることを知り、「記憶」をテーマにしたときに、ここまで広がるんやと感心した。
特に印象深かったのが
『東日本大震災が起きた時に、これまでの災害が世間的に上書きされた気がして、それが怖かった。僕なりに上書きされたものを掘り起こす作業がしたかった。』
無意識のうちに上書きされる記憶。掘り起こされると、その時の感情も蘇る。そのときは、絶対忘れないって強く思ってるのに、いつの間にかいろんな上書きがその記憶を薄くさせていく。
っていうのを川村元気さんのコメントを読んで気づいた。
「記憶」って不思議だなぁとも感じるし、誰かと共にするっていうのも、大事なんだなぁと感じた。
このコメントを書いた記憶もいつの間にか上書きされると思うけど、また何かの節目に「百花」を読みたいと思う。
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