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自作短歌まとめ

Twitterで時々呟く短歌が結構溜まってきたのでその中のお気に入りをまとめておきます(2022/9/13追加)

○あの人


強い風の時だけ髪を結んでる君の見慣れぬ横顔が好き

ジャッカスで馬鹿笑いしたすぐ後でムカデ人間観ようとする君

楽しいことしてと言われて困る僕を笑って見ている君は楽しそう

窮屈の中で自由に笑ってる私はあなたに憧れている

僕からの無償の愛に怪訝そう「私の愛は有償なのに?」

君のこと忘れるまでは本当に殺したことにはならないんだろな

歯並びをマスクは隠してくれるから好きよと君の半分の笑顔

キスをして「どうだ明るくなったろう」屑紙の僕を燃やし尽くした

君が言う「この世の80億分の1をお前にくれてやろう」と

君消えて匂いも無いのに僕はまだフォッサマグナの上に住んでる

乗り越しや歩きスマホの原因の多くは画面の向こうにある恋

もういっそ一周回って月が綺麗ですねとあなたに言うのもありだ

今ならばいくらでも言えるこの好きを あの頃一つも言えなかったな

その本はまた会う為に貸したから 会えるうちには返さなくていい

○日常


あの犬のおかげで僕はどれだけの優しい人になれただろうか

なぜ俺の方がと思いつつ鳩を避けてふらつく自転車の朝

星の死を声あげ眺める悪趣味な僕らを包む暗闇の喪服

目を瞑る時間をくださいなけなしの予定を少し真っ暗に捨てて

日曜の昼にベッドで泳ぐ僕は漂う宇宙飛行士の孤独

駅に着くもうちょいなのに追いついて僕に触れていく通り雨の鬼

月光に望遠鏡で近づいて窪んだ海に飛び込む僕ら

1秒の満月灯す信号機ペダル踏み込みこの夜を逃げる

この黒も意外と綺麗に映えるでしょ?ペディキュアじゃなくて内出血だけど

点滅の青に向かって走るほど 行きたい仕事じゃないなと気付いた

店員の頭の中に話しかけ 注文するからまだ届かない

高架から見えてた店やあの場所も 実家に戻る度に消えてく

俺以外みんなが0!でジャンプして 地上で1人迎える新年

帰り道わざと間違え猫に会う 家とは逆にいる猫に会う

寝てるでも起きるでもなく微睡んで瞼の裏の見飽きぬ世界

○この世界


君さっき、オレンジ色に光ってた?そろそろ寿命が尽きる頃かな

這いつくばる君を踏もうと見た先に奇妙に伸びた薬指の爪

速すぎる!杖を付いてる老人の歩く速度じゃあり得ねえだろ!

よくわからず並んでるけれどこれ多分なんかもらえるやつなんですよね?

暑い中並んで待つほど美味しくは無いからやめとけ前のカップル

この土地に描かれたウサギってやつがあの青い星にはほんとにいるんだ

ひょっとして知らず何かを助けたか?玄関の前にプチトマト一つ

へーこれが海ってやつねと波を舐め しょっぱい顔するさいたまの女

終演の賑わうロビーを駆け足て灯る家路に劇は終わらぬ

バカやろう、生きてえのか!とトラックが轢かずに僕を荷台へ乗せる

ここですか?どこか遠くへ行きたいと思った人のどこか遠くは

人生を見つめ直す時人生も僕を見つめるよせよ照れるな

いつまでもスープが無くならないから 営業終了出来ずにひと月

盗聴器老朽化による更新の工事の知らせがポストに届く

100万じゃできないことが増えていき 大人になったと知るのだ子供

おじいちゃんあれは普通の飛行機よ 宇宙戦争は終わったんですよ

自販機の50円玉が死に絶えて 財布の小銭は繁殖していく

少年の情熱が今実を結びペットボトルが銀河を超える


#短歌
#現代短歌
#note短歌部

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