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北京ドタバタ旅行(54)

 何分エジプトがインドの隣と思う母ですから、ナイアガラとグランドキャニオンは道1つ挟んだ筋向かいぐらいにあると思っているようです。太平洋を越えるのに10時間以上かかると言うことも分かっていません。行きたいところがまずあって、自分の体力のことが頭にないのです。父は買いたいものがまずあって、財布のことが頭にないのです。

 しかし両親ともに高齢で、もう2度と万里の長城に行く機会はないでしょう。何とか両親には万里の長城を見てもらいたいと、それこそありとあらゆる資料を探し回りました。そうすると万里の長城にはロープウエーがあって、これに乗ると、簡単に頂上まで行けるとガイドブックに書いてあります。

 しかしなおも調べると、そのロープウエーというのは名ばかりで、実際はスキーのリフトの様な代物とも書いてあります。なにが本当なのか分かりません。

 さらには北京から行ける万里の長城というのは、3ヶ所あって、内2ヶ所は距離的に約70キロメートル前後だというのです。結局万里の長城に関してはこれ以上のことは日本では分かりませんでした。

 北京に着いた当日の夜、料金を取りに来た旅行会社の叶琳さんに、どっちの方がお勧めか聞いてみました。そうすると
「八達嶺の方が、車で頂上のすぐ近くまで行けるので、こっちの方がいい」
と言います。さらにガイドさんも同じ事を言いましたので、万里の長城は八達嶺に行くことにしたのです。同じ方向に明の十三稜があります。普通この2つをセットにして1日の行程にしている旅行が多かったので、我が家も同じ事にしました。

 とにかく、財布のことが頭にない父と、体力のことが頭にない母ですから、世話をする私は、少々よけいなことまで心配しないと行けません。さらに我が家は基本的に健常者からはほど遠い人間です。このあたりの事を常に考えて、旅行の日程を組まねばなりません。基本的に無理な日程は組めません。夜はゆっくり休むような余裕が要りました。

北京ドタバタ旅行(55)



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