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北京ドタバタ旅行(24)

 飲み物が配られた後、機内食が配られます。日本の航空会社と違って、銀色のアルミ箔におかずもご飯もパックされています。なにしろ我が家はこの機内食で夕食をすますというせこいことを考えていましたので、魚料理か肉料理かという二者択一のメニューもハムレットのように悩んで時間をかけてしまいました。私は当然ですが1人で食べられません。隣の母に食べさせてもらいます。

 しばらくすると今度は中国に入国時に必要な入境登記なるものが配られました。実は事前にこのカードは必要事項を旅行会社の人が書いてくれて、私は家族分持っていて安心していたのですが、配られたカードは内容が幾分違います。事前に用意したカードが無効だと面倒なことになります。これでも行けるかどうかスチュワーデスに聞く必要がありますが、いくらなんでも、わずか中国語会話半年では無理です。

 私は英語なら日常会話に多少毛が生えた程度のことは言えましたので、通りかかったスチュワーデスにその件を英語で聞くと
「NO PROBLEM(問題ありません)」
と言います。

 実は私とスチュワーデスのやりとりを密かに聞いていた女性が、同じ並びの1番右端にいました。ただ不幸なことにその人は、私からはかなり離れていましたので、私が中国語の達人と勘違いしたようです。まぁ遠くから見ていれば、文法そっちのけで堂々と英語をつかっていれば、これはぺらぺらに中国語が出来る方かも知れないなどと思われるのかも知れません。

 その女性はスチュワーデスがどこかに行ってしまうのを見て取ると、私の所にやってきて、ひざまずかんばかりに
「お願い事がある」
と言うのです。

北京ドタバタ旅行(25)


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