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北京ドタバタ旅行(2)

 父のパスポートを申請に行くという日、お昼から出かけると言っておいたのに、父はなんと朝6時から出かける準備をしています。そわそわしています。いえ別にパスポートの申請に行くだけなのです。まさかその足で中国に行くわけではありません。まぁ・・・それが父なのです。

 お昼過ぎに京都駅ビルにある旅券事務所に行くことにしましたが、必要書類のうちパスポート用の写真だけがまだ準備できていませんでした。事前に旅券事務所に聞きますと別にスピード写真でも所定の条件さえ満足していればいいということでしたので、近くのスピード写真とでもいうのでしょうか、そこに車を横付けしましたが、果たして段差がありますので私はいけません。

 父と母で写してきてもらうことにしましたが、もうこの時点で不安というか、懐疑というか、いささかの絶望感がありました。町中の写真屋さんで撮るより安いのですが、失敗すると結局高くなります。スピード写真ですから、私は現物を見れませんでしたが、所定のお金を入れて、体の位置を決め、スタートボタンを押すくらいだろうと思うのですが、車からみていますと、何度もカーテンを開け閉めして、説明書きをのぞき込んでいます。

 パスポート用の写真というのは顔の位置がミリ単位で指定してあって、「適当」ということが許されません。何とかうまく撮れても、この規格にはずれると取り直しになります。

 

きちんとした写真屋さんにお願いした方が無難だったのですが、なにぶん締まり屋の母が一緒ですから、安い方を選ぶのは自然の成り行きでしたが、母は規格とは縁遠い世界に住んでいますし、なんと言っても高齢で、機械はからっきしだめです。何度教えても電話の転送ができません。子機をそのまま持ってきます。何度教えてもと言いましたが、未だに時々「この電話、転送できるの?」と不思議そうに聞きます。私には母が電子レンジを操作できることが不思議でたまりません。
北京ドタバタ旅行(3)

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