見出し画像

秋の風景をふり返る

山で休憩していると、テーブルの上にどんぐりが落ちてきた…
そういえば、どこか秋の匂いを感じる心地良い風が吹いている。

今回は昨年撮影した秋の風景を見返しながら、感想などを書いてみようと思います。



入道ヶ岳

滋賀県と三重県にまたがる鈴鹿山脈、そのなかでもシンボリックに捉えられている鈴鹿セブンマウンテンの一座。
山頂は傾斜がおだやかで広々とした草原になっており、ススキの群生と白い鳥居が写真映えするスポットになっています。

山頂ではのんびりとした時間を過ごしている人が多く見られ、ランチと昼寝には最高のロケーションです。
紅葉より一足早い爽やかな秋が感じられる満足感の高い登山になりました。

山頂の鳥居とススキ
この見晴らしは最高です


石鎚山

愛媛県にある日本百名山の一つ、修験者の山としても有名です。
ほぼ垂直な鎖場が名所となっていますが、迂回路が用意されていて誰でも安全に登山が楽しめるのもこの山の魅力です。

10月中旬で紅葉のピークまでもう少しという時期だったと思いますが、多くの登山者で賑わい、テレビの撮影クルーも見かけました。
麓に比べると気温がだいぶ低く、紅葉具合も標高で変わります。

土小屋ルートの場合は石鎚スカイラインが夜間通行止めになるので、ゲートの閉鎖時間に注意が必要です。
また、夜は駐車場でも思ったより寒かったです…
山頂ではお昼時の混雑に驚きましたが…リピーターも多いようで、行って良かったと感じる人が多いんだと思います。
見応えのある風景と鎖場や難所の尾根歩き、石鎚神社をはじめとする信仰の雰囲気など…魅力にあふれる山でした。

天狗岳
南尖峰
弥山
紅葉と岩肌
雲に覆われる山体


おにゅう峠

滋賀県と福井県の県境にある雲海と紅葉の絶景スポットです。

夜明けが近づくにつれ山並みと雲海がゆっくり姿を表します。
明るい時間帯に訪れても素晴らしい景色ですが、真っ暗な状態からゆっくり全容が見え始め、雲海の密度が高まっていく…明るくなるにしたがって鮮やかさを増していくすばらしい光景は、ぜひご自身で直接感じて頂きたい絶景です。


ただ…撮影は結構大変だったので、参考までに当日の様子を書いておきます。
ここから先は写真を撮る人以外にはやたら長くてあまり役に立たない情報なので、適宜読み飛ばして頂けたらと思います。

夜中の2時に現場につくと、撮影スポットは木の間から視界が開けているだけの場所で、特別広くなっている訳ではないにもかかわらず、数十人が三脚を広げて待機していました。
車は縦列駐車で撮影スポットの前後100mぐらいは埋まっていたと思います。
ベストポジションはガードレール際の3~4mぐらいの幅しかありませんが、10人ぐらい横並びでさらに縦にも2~3列の塊ができていました。
ガードレールの下にも一人歩ける程度の幅の道があり、そこもほとんど埋まっている状態でしたが、ギリギリ見える一番端っこに陣取ることにしました。
私の隣のポジションには12時からその場所をキープしている青年が居たので、それでもまだラッキーな方だった気がします…
道の下は崖になっていて三脚はまともに立てられないので、ちょっとだけ足を広げて露光時間を控え目にして対処しました。
日曜日な上に、11月初旬は雲海と紅葉の最盛期という事もあり、かなり混んでる方だったとは思いますが…夜が明けてびっくりしたのは、ガードレールとは反対側の崖の上にも多数のカメラマンが陣取っていたことです。
トイレもない、車がすれ違うのも大変な山道が大賑わいでした。

撮影後、仮眠を取ってから近くの百里が岳に登りました。
帰りがけにもう一度撮影スポットを通ると、まだ夕方にもかかわらず複数の三脚が…
有名なスポットでのポジション争いの厳しさを体感した一日でした。

明け方
朝焼け
青空と雲海


一言スポット紹介


紅山(兵庫県)

赤みがかった岩肌と紅葉の色馴染みが良い絶景

ナメゴ谷(奈良県)

尾根筋に残された広葉樹がダイナミックなラインを描く絶景

釈迦ヶ岳(奈良県)

清廉な風景もさることながら、登山道で感じる静けさと空気感に感動した


風景写真を撮る様になって良かったのが、雑誌やインターネットで紹介されている記事を見るだけで満足するのではなく、実際に足を運ぶ機会が増えた事です。
行ってみると、匂いや風の肌触り…聞こえてくる音など、見える景色以外にも感じるものがたくさんあります。
そういった、感じる体験の積み重ねが人生を豊かにする助けとなるのではないでしょうか。
些細なことではありますが、少しでもこの記事が見て頂いた方の新しい体験を得るきっかけになれば幸いです。

2023年9月


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?