2018年 美濃加茂市議会議員選挙 開票後分析

 2018年9月30日(日)投開票、美濃加茂市議会議員選挙は、定数16に対し、20人が立候補し、投票日の夜には台風24号(Trami)が接近するという状況の中で行われた選挙だった。

 台風の影響もあってか、前回の投票率が59.79%だったのに対し、今回の投票率は49.56%と10.23ポイントも下がった。


 美濃加茂市といえば、受託収賄などの罪に問われ、最高裁で有罪が確定し、2017年12月14日に市長を辞職した藤井浩人氏が、市議会議員、市長を務めた自治体である。

 藤井浩人氏に対する有罪判決は、信憑性に疑問符がつく。

 なぜなら、藤井浩人氏は容疑を否認し、物的証拠があるわけでもなく、贈賄側とされた会社社長の供述によって判決が下ったのだが、会社社長の供述は変遷しており、信用性に疑義があったからだ。

 前回の美濃加茂市議会議員選挙の約1ヶ月前の2014年8月19日、藤井浩人 市長が名古屋地検に起訴されたことを受け、美濃加茂市議会では藤井浩人 市長に対する問責決議案が提出され、賛成多数で可決となった。

 当時、自民党系会派は、「新生会」(7人)、「ミノカモ未来」(2人)、「立志会」(2人)の3会派が存在し、問責決議案に対し、「新生会」は賛成、「ミノカモ未来」と「立志会」は反対したのだった。

 ちなみに、「新生会」は、2013年6月2日投開票の美濃加茂市長選挙で、自民党推薦の森弓子 前美濃加茂市議会 副議長(当時)を支援した会派である。(この市長選挙では、自民党系の市議会議員だった藤井浩人氏が当選した。)


 そんな複雑な事情を抱えた美濃加茂市の市議会議員選挙の結果は下記の通りである。

2018年 美濃加茂市議会議員選挙

当日有権者数: 41,993
投票者数: 20,812
投票率: 49.56%(前回 59.79%)
無効票: 320
持ち帰り票: 1

当 金井 文敏    1883     公現    公明    公明党
当 牧田 秀憲    1695     自現    自民    真摯会 親藤井
当 前田 孝     1472     共現    共産    共産党 反藤井
当 酒向 信幸    1427     自現    自民    創政会
当 森 厚夫     1289.029 無元    自民        反藤井
当 森 弓子     1251.970 無現    自民    新生会 反藤井
当 高井 厚     1127     無現    自民    新生会 反藤井
当 山田 栄     1192     無現    自民    真摯会 親藤井
当 渡辺 孝男    1081.070 無現    自民    真摯会
当 片桐 美良    1032     無現    自民    新生会 反藤井
当 柘植 宏一    1028     無現          新流  親藤井 / 伊藤英生氏(国民民主党)が応援
当 坂井 文好    1025     無新              今井雅人氏と金子俊平氏が為書
当 渡辺 義昌    1007.929 無現    自民    創政会 親藤井 / 2018年1月 市議補選 当選者
当 永田 徳男    986      無新 
当 田口 智子    977      無新              2018年1月 市議補選 立候補者
当 村瀬 正樹    725      無現    自民    新生会 反藤井

落 岸 一夫     495      無元              2018年1月 市議補選 立候補者
落 鈴木 勲     345      無新              反藤井 / 2017年1月 市長選 立候補者
落 木村寿美重    261      幸新    幸福
落 小野 正勝    191      無新              2018年1月 市長選 立候補者



自民  10人当選 / 10人立候補 11827.998  選挙前の議員数は12人
公明  1人当選 / 1人立候補   1883    選挙前の議員数は1人
幸福  0人当選 / 1人立候補   261     選挙前の議員数は0人

無所属 4人当選 / 7人立候補   5047    選挙前の議員数は1人
共産  1人当選 / 1人立候補   1472    選挙前の議員数は2人


自民 + 公明 + 幸福 = 13971.998

無所属 + 共産 = 6519
2017年 美濃加茂市議会議員補欠選挙

投票率: 52.76%

当 渡辺 義昌    8,848    無元    自民
当 田口 智子    8,077    無新
落 岸 一夫     5,218    無元
2014年 美濃加茂市議会議員選挙

投票率: 59.79%(前回 65.35%)

当 金井 文敏	2042	 公現	公明	市議会公明党
当 牧田 秀憲	1927	 無現	自民	真摯会
当 柘植 宏一	1582	 無現		新流
当 酒向 信幸	1476	 無新	自民	創政会
当 山田 栄	1472	 無現	自民	真摯会
当 森 弓子	1431.607 無元	自民	新生会
当 渡辺 益已	1359.631 無現	自民	創政会
当 高井 厚	1340	 無現	自民	新生会
当 森 厚夫	1313.392 無現	自民	
当 坂井 知足	1173	 無現	自民	創政会
当 日置 祥子	1111	 共新	共産	日本共産党美濃加茂市議団
当 渡辺 孝男	1094.312 無新	自民	真摯会
当 佐合 広和	1051	 無元	自民	新生会
当 片桐 美良	1035	 無現	自民	新生会
当 村瀬 正樹	939	 無現	自民	新生会
当 前田 孝	924	 共現	共産	日本共産党美濃加茂市議団

落 渡辺 義昌	880.055	 無現	自民
落 後藤 満	732	 無現	自民
落 鈴木 勲	466	 無新		
落 岸 一夫	398	 無元	



自民  12人当選 / 14人立候補 18805.997
公明  1人当選 / 1人立候補   2042

無所属 1人当選 / 3人立候補   2446
共産  2人当選 / 2人立候補   2035


自民 + 公明 = 20847.997

無所属 + 共産 = 4481

 前回と今回の得票数を比較すると、自民党は6,977.999票減、公明党は159票減、共産党は563票減、無所属は2,601票増となった。

 当選者数を比較すると、自民党は2人減、公明党は±0、共産党は1人減、無所属は3人増となった。

 国民民主党の県議会議員が応援した無所属・現職の立候補者は、前回よりも554票減らしたものの、当選した。

 総じて、既成政党(自民党、公明党、国民民主党、共産党)への不信感が伺え、特に、自民党離れが激しいことが分かった。


美濃加茂市で行われた、直近の選挙の結果は、下記の通りである。

2017年 衆議院議員総選挙 小選挙区 美濃加茂市(岐阜4区)

当日有権者数: 42,277
投票者数: 25,067
投票率: 59.29%
無効投票: 624
持ち帰り票: 1

比 今井雅人  12,046 前 / 希望の党
当 金子俊平  10,200 新 / 自由民主党
落 籠山恵美子 2,196 新 / 日本共産党
2017年 衆議院議員総選挙 比例代表 美濃加茂市(岐阜4区)

当日有権者数: 42,277
投票者数: 25,064
投票率: 59.29%

自 8,552
公 2,384
維 1,101
幸 163

希 5,940
立 4,438
社 215
共 1,629


自 + 公 + 維 + 幸 = 12,200

希 + 立 + 社 + 共 = 12,222

 2017年 衆議院議員総選挙の結果から、美濃加茂市は、「自 + 公 + 維 + 幸」と「希 + 立 + 社 + 共」の得票数が拮抗しており、立憲民主党よりも希望の党の方が得票数が多く、小選挙区では、今井雅人 候補(希望の党)の得票数が、金子俊平 候補(自民党)の得票数を上回った。

 美濃加茂市は、保守的ではあるが、与野党の力が拮抗しており、岐阜県の中でも投票率が高い地域なので、市民の政治への関心度は岐阜県の中では高い地域であるといえる。

 自民党王国といわれる岐阜県だが、今回の美濃加茂市議会議員選挙の結果から、振り子は確実に逆に振れようとしていることが分かる。

 岐阜県においては、統一地方選挙は、無所属市民派と立憲民主党にとって、チャンスかもしれない。

 今後は、有権者が、自民党系の無所属と、非自民の無所属を見分けられるように、立候補者の所属政党を可視化していくことが重要である。


■ 『藤井浩人 美濃加茂市長 問責決議案 各市議の賛否』(藤井浩人市長を支援する会 / 2014年9月22日)


■ 『森厚夫美濃加茂市議会議長の「真意」を聞きたい』(郷原信郎 / 2014年7月30日)


■ 『岐阜・美濃加茂市長、逆転有罪 贈収賄事件で名古屋高裁』(#朝日新聞 / 2016年11月28日)


■ 自民党岐阜県連 市町村議会議員 美濃加茂市



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