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冬の終わり

今日は雪のち雨。ここしばらくの間暖かくて確実に雪解けがすすんでいるなか、こうして雪が降りしきるのを見るのは楽しいだけに、それが雨になるとちょっとしょんぼり。冬が好きだ、好きすぎる。もうしばらく続いて欲しい。北へ帰る渡り鳥たちをみていると一緒に連れて行って欲しいとすら感じる。

冬は、つとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃・火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。

清少納言の「枕草子」から第一段の冬の場面。当時の冬はたいそう寒かったろうに、そのさなかにあっても寒さがゆえに美しいと書かれていて感服するほかない。少し寒さが緩めばほっとしそうなものだけれど、それが全然よくないよねなどとまで書かれている。彼女が言うところの、冬にだけ味わえるキンと凍てつく静まり返った空気感に炭火から発せられる暖かさや人の動きとのコントラスト、この冬久しぶりに北海道で過ごしてその情緒感を味わえた。全てが凍りついた明け方に、薪ストーブに薪を入れて火を熾し、それが明々と燃え上がっていくのを見るのはいつも気分の良いものだった。

マイナス20度を下回るとそこには別世界の風景が広がる。空気までが凍りついた世界は幻想的と言うほかなかった。

空気が凍りつくと雲海のようになるのだなと。

川面には「けあらし」

こんなに綺麗なのに、今住んでいるところでは冬になると短縮営業になってしまうお店が多い。スキー場以外はやはりしずかなオフシーズン。冬をじっくりと味わえる場所は世界でも数少ないのにずいぶんともったいない。もっとみんなこの寒さを楽しみに来ればいいのに。

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