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ETERNAを利用したしっとりRAW現像

富士フイルムのデジカメにはフィルムシミュレーションという機能が付いていて、写真の見え方(ルック、フィール)を調整できる。で、現像ソフトとしてCapture Oneを利用するとフィルムシミュレーションをRAW現像時に切り替えられていろいろ便利だ。タイトルにもあるETERNAはもともと動画用のフィルムで、階調豊かなしっとりとした色合いの写りを特徴としており、昨年くらいから富士フイルムの機種にフィルムシミュレーションの一つとして搭載されるようになった。もちろんスチルにおいてもなかなか使い出があるので紹介してみる。

まず撮って出しのJPEGがこちら。カメラはX100F。ISO1600 SS1/80 F4.5でテレコンを着けて取っているので焦点距離は33mm(35mm換算でだいたい50mm)

フィルムシミュレーションはPro Neg. Hi。全体をそのまま見せるだけならこれでも良いけれどメッセージ性がない。それと後から気づいて残念だったのが魚の向きが逆という。身の厚みのあるほうが左!ということでまず左右反転。

こうなるとご飯が右に行ってしまって配膳的に逆になるのだけれど、主題ではないので今回はこれで。次の写真からはCapture One 12を利用してRAW現像したもの。

彩度高めのVELVIAをあてるとバーーン!!!という感じでちょっと食品サンプルっぽくなってしまう。自分がこの写真に力点を置きたいのは鮭の皮。そうなるとこの写真ではトマトの赤やキュウリなどの緑に視点を持っていかれるし、そもそも鮭の皮が背景の白に埋もれているので主題を伝えられない。そこで登場するのがETERNA。階調を出したい時、色を落ち着かせたい時に便利なやつ。X100Fには搭載されていないけれどCapture One 12を使うとこのフィルムシミュレーションをあてられる。

ETERNAを適用して4:3にトリミング。色やトーンが落ち着いてしっとり感は出た。けれど鮭皮がフニャフニャっぽい質感だし全体に埋もれてしまっているので、これからフィーチャリング鮭皮処理を施していく。

まず全体露出を-1.23して鮭皮がいい感じの露出になるように調節。ここからハイライトを出して鮭皮をパッキリさせる。

レベル補正でハイライトを159、Midtoneを-0.46にした。わかりにくいのでその画面を貼っておく。

次にHigh Dynamic Rangeを使ってほんのちょっぴりシャドウを持ち上げ、明瞭度もほんの少し上げる。

High Dynamic RangeのShadowは6だけ持ち上げ、ClarityはClassicで7の設定。これで鮭の皮がパッキリしてきた。あとは色味の調整。

シャドウにほんのりと青を乗せて、色域設定で赤みをほんのり持ち上げ明るくした。鮭皮に楕円マスクをかけてちょっぴり強調する。

強調には鮭皮の露出を+0.08持ち上げるだけ。これで完成。トマトの赤やキュウリの緑に負けず鮭皮に視点を誘導できるようになったのではないかと。シャドウの階調も大部分を潰さずに残せた。

このようにETERNAを使うと全体的にしっとりと落ち着いた感じになる。そこから自分がメッセージを込めたかったポイントを強調しやすく便利。

ちなみにここまで鮭の皮にこだわっているのは、自分が鮭皮食べる勢なのでそうではない人に是非とも美味しく見せたかったため。タイトルをつけるなら「あの日見た鮭皮の味を僕達はまだ知らない」とでも言えるものになったのではないだろうか。

読んでもらえただけで嬉しいです!