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奈良がスキ

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大好きな奈良に行きたくなる、知りたくなる、そして語りたくなる
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万葉集に誘われて 新しき年の初め

新しい年を迎えると、口ずさみたくなる万葉集の歌があります。 新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ 吉事 訳: 新しい年のはじめに立春が重なった 今日降る雪のように、いっぱいいいことがあって欲しいなぁ 万葉集全20巻4516首のさいごを締めくくる、大伴家持の歌です。 何がきっかけだったのかは覚えていませんが、20歳を過ぎて、ふと万葉集に興味をもちました。なんだかかっこいいなと。そして買い求めたのは恋の歌を集めた写真つきの歌集。 さらっと読み、あっけなくマ

奈良紀行 2023秋~④ 春日大社とシルクロードの終着点

旅三日目 朝6時、きょうも興福寺の鐘の音で目が覚めた。 最高だな。この環境ごっそり持ち帰りたい! 今回の宿ホテル天平ならまちは、奈良墨や奈良筆といった歴史がある奈良にふさわしく、『書』をコンセプトにしたホテルです。客室には奈良にゆかりの書家・僧侶・落語家などが揮毫した作品が飾られ(壁に直接書かれた部屋もあるそうです)、水筆の書道セットも備え付けられていました。 夜、間接照明のおだやかな灯りのなかで硯へ向かいました。筆ペンは時々使うことがあっても、筆は高校以来。水筆とはいえ

奈良紀行 2023秋~③ あをによし ならの麗し大仏殿

夜中、 ビイーッともギイーッとも聞こえる動物の鳴き声で目がさめた。 あぁ、鹿か。 とだけ思ってふたたび眠った。 朝6時、 カーンという、時をしらせる興福寺の鐘(と後から知った)の音で目がさめた。 ん?鐘? 朝陽でうっすら明るくなった部屋のなか、寝ぼけまなこでベッドから這いだし、障子をあけてから再びベッドへもどった。 ここは猿沢池ほとりに建つ宿。 窓からどんな景色がみえると思いますか? こんな景色です! 興福寺の鐘は、奈良太郎さんよりも高くて明るい響き。無意識のうちに

奈良紀行 2023秋~② 東大寺さんぽ

入江泰吉旧居まえの通りをまっすぐ進み現れた階段をのぼると、そこは戒壇院戒壇堂。日本に戒律をつたえた唐の高僧鑑真に由来する建物です。 もちろんここも東大寺の一角ですが、そもそもどこからが東大寺の境内なのか?よくわかりません。塀で囲われているわけでも門があるわけでもないので、歩いているうちにいつの間にか東大寺に入っていた、という感じです。いつでも自由に歩ける敷居の低さも、東大寺の魅力のひとつです。 このエリアは、観光客もちらほらていど。歩き疲れたのか外国人の方々が座り込んでい

奈良紀行 2023秋~① 入江泰吉旧居の風情

ーはじめにー 奈良へ行ってまいりました。 え?このあいだ行ったばかりでは?と思われた方、この間ではありません。もう11カ月も前です。こんなにもあいだを空けてしまったことは、奈良マニアとして痛恨の極みですが、諸事情により仕方ありません。 前回の反省から、今回は極めてフレッシュな記憶状態で奈良紀行をつづります。奈良が嫌いでないかたは、どうぞゆるりとお付き合いいただけると嬉しいです。 それでは!さっそく行きましょう~。 大和西大寺から奈良駅へむかう近鉄電車の窓のむこう、広大

奈良旅 2022秋~⑤ 錦秋の大和路

~はじめに~ この記事は、2022年秋に奈良へ旅した際の記録です。今年ではありませんのでお気をつけください。 奈良旅2日目、この日は雨。 「花嫁」にあいさつしてから奈良ホテルをチェックアウトし、小さな折りたたみ傘をさして向かった先は瑜伽神社。 前夜のまったりラウンジタイムに眺めていた本で偶然みつけたこの神社、これまで聞いたこともありませんでしたが、紅葉が美しいという文言と、奈良ホテルから極めて近いという条件でピン!ときて、行ってみることにしました。 細い道を3分も歩かな

奈良旅 2022秋~④ 奈良ホテルの魅力

奈良市写真美術館をあとにして、夕暮れどきの奈良のまちを眺めながら10分ほど歩くと、今回の宿『奈良ホテル』へ到着しました。 関西の迎賓館として、鹿鳴館の2倍の建設費用をかけ明治42年に開業。この麗しい建物の設計は、東京駅や日本銀行本店も手がけた辰野金吾氏が担当したそうです。 これまで6回こちらのホテルに宿泊していますが、初めて訪れたのは32歳のとき、宿泊ではなくティールームの利用でした。 それまで何度も奈良を訪問していましたが、さすがに奈良ホテルはハードルが高く、宿泊先の

奈良旅 2022秋~③ 写真家入江泰吉の春日野

~はじめに~ この記事は、2022年秋に奈良へ旅した際の記録です。今年ではありませんのでお気をつけください。 新薬師寺のとなりに、思わず目を奪われるすてきな建物があります。 写真家入江泰吉の作品を中心に写真芸術を鑑賞できる、入江泰吉記念奈良市写真美術館です。 奈良に興味を持ち始めてから、本やカレンダーなど色々なところで入江泰吉という名前を目にするようになりました。氏は明治38年奈良市生まれ、平成4年86歳で世を去るまで、生涯をとおして大和路を撮り続けた写真家です。 いま

奈良旅 2022秋~② 新薬師寺 天平の十二神将像

~はじめに~ この記事は、2022年秋に奈良へ旅した際の記録です。今年ではありませんのでお気をつけください。 新薬師寺 天平19年(747)、一度は奈良のみやこをはなれた聖武天皇が再び平城宮へもどり、大仏造立が再開された時代。体調を崩した天皇の病気平癒を願って、后である光明皇后によって創建されたのがこの新薬師寺です。 東大寺の大仏開眼が752年なので、それより5年前に創られたということですね。東大寺の修二会は有名ですが、新薬師寺でも毎年4月8日に修二会が営まれます。『お

奈良旅 2022秋 ~① 名古屋から春日大社へ

~はじめに~ この記事は、2022年秋に奈良へ旅した際の記録です。今年ではありませんのでお気をつけください。 11月下旬 冬の入り口を迎えた信州の朝、いつもより3時間早起きして中央道高速バスへ乗り込む。平日早朝ということもあり乗客は私を含めて4組、静かな社内でほどよく温かい暖房と車体の振動に身を任せてうとうとするうちに、バスは名古屋へ到着。 今回の旅は名古屋に住む友人と2人旅、待ち合わせ場所はいつもと同じ名古屋駅のランドマーク、ナナちゃん前。 名古屋もリニア開通にむけて

根津美術館を訪ねて vol.2 ~二月堂焼経 紺紙銀字の美~

東京南青山にある根津美術館、7月に続き、今回2度目の訪問です。 最寄りの表参道駅からはゆっくり歩いても10分弱、ちょうど良い散歩道。 現在開催中の企画展は、こちら。↓ 企画展は【展示室1・2】ですが、それよりなにより先ずはお目当ての品が待つ【展示室5】へ直行します。 二月堂焼経ー焼けてもなお煌めくー 二月堂焼経とは? 奈良東大寺で毎年3月1日~15日に行われる修二会(通称:お水取り)※ 寛文7年(1667)、修二会最中に二月堂が炎上した際、火中から取り出されたことから

やっぱり奈良が好き

たとえば誰かに「旅行に行くなら、どこがいい?」と聞かれたら、「ん~、やっぱり奈良かなぁ」と答えると思う。 誰かと会うたびに、「奈良へ行ってきました」とか「こんど奈良へ行きます」などと話しているうちに、久しぶりに会う人から「元気だった?奈良行ってる?」と言われるようになった。更には初めましての場面で「こちら、奈良が好きなつきふねさんです」と紹介されるまでになり、もはや私の奈良好きは肩書きレベルなのかと可笑しくなった。 初めて奈良を訪れたのは中学の修学旅行。私の住む長野県の中

東大寺修二会の声明(国立劇場)を拝聴して

5月20日の土曜日、以前記事でも少し触れた『東大寺修二会の声明』公演を聴聞するため、東京千代田区にある国立劇場へ赴きました。小雨がちらつくなか会場へ到着すると、すでに開場を待つ沢山の人が長蛇の列を作っていました。本公演の人気の高さが窺えます。 国立劇場を訪れるのは初めてでしたが、正倉院の校倉造を模した外観がとても趣きがあり、さらに規模が大きいので、立派だなぁ!と眺めました。 10月から建て替えが予定されているそうですが、この素敵な建物が見られなくなるのは少し残念な気がします

きょうも気になる東大寺

3月にニコニコ動画で修二会のライブ配信を視聴してから、東大寺が気になって気になって仕方がない。東大寺の僧侶が境内を案内されている動画をみたり、ホームページを眺めたり、noterさんの東大寺に関する記事を読んだり。 気になる、もっと知りたい、行きたい、応援したい!と熱が高まってきたところで、思い切って『東大寺友の会』へ申し込むと、数日後にはさっそく会員証が届きました。 可愛らしい手帳の他にも催し物の案内などが同封されていましたが、その中で特に目を引いたのがこちらです。 修