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信州をゆく

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地元信州の有名なところやそうでないところ、 風の吹くまま気の向くまま訪ねます
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枝垂れる桜と古寺散歩

高遠の桜も散り、このあたりの桜の名所といわれる場所で残るは、、 駒ヶ根高原にある光前寺。 光前寺は先月の記事でその春の遅さを紹介しましたが、さて、一月後のいまはどんな景色になっているでしょうか。 せっかくの良いお天気だったのでお寺から少し離れた駐車場へ車を停めて、てくてく歩きます。この辺りは土手に植えられた水仙もいまが見頃。 雪形がはっきりと現れた駒ヶ岳を背景に、嬉しそうに写真を撮っている人たちがいました。花は人を笑顔にさせるみたい。 仁王門が見えてきました。 桜はす

信州伊那の春 桜、そして桜

暖かい日がつづき、あっという間に桜が満開になりました。 この機を逃してはならぬとお花見へ。 平日のお花見、 いつもなら一人で出かけるところですが、今回は同行者がいます。 なんと、(note写仏部)部長Himashunさんが伊那へやってきたのです! 日本美術をこよなく愛する部長、 「伊那で開催されている池上秀畝展と高遠の桜を見に行きたい」 というコメントを拝見して、ついうっかり、案内役を申し出てしまいました。 当日午前10時半、 マニアに人気のJR飯田線伊那北駅に降り立

「ただ絵が、好きで好きで」日本画家 池上秀畝展

きょうは、ふたたび「池上秀畝」の絵を味わう日。 前回訪れたのは高遠美術館。 今回は、伊那文化会館で開催されているこちらの美術展へ行ってきました。 館内はやはり撮影不可でしたが、静かな展示室で見ることに集中できたので、むしろそれで良かったかもしれません。 「ただ絵が、好きで好きで」 秀畝の言葉です。 そんな気持ちで描かれた秀畝作品の数々。 今回の展示品は、そのほとんどが地元伊那で個人が所蔵しているもの。 正直、名のある美術館で味わうような”圧倒される感”はそれほど期待

気韻生動の画人 池上秀畝 |信州高遠美術館

きょうは、美術の日。 この春、伊那市ではとある日本画家の展覧会に力を入れています。 ~池上秀畝~ 1874(明治7)年 ~ 1944(昭和19)年 信州高遠町(現:伊那市)の、紙商兼小間物問屋に生まれる。 生家は裕福で、祖父も父も文化人。 画を描き、花を活け、和歌を詠み、茶をやる、という風流な家で育ち、子どもの頃から自然と筆をとるようになりました。 小学校のころにはすでに食事を忘れるほど絵に熱中し、描いては周りの人に配っていた秀畝は、本格的に絵を学ぶため学校卒業後に上

信州駒ヶ根高原 早春の光前寺

そういえば、このところ神社ばかりでお寺へ行っていないなと思い、地元で有名なお寺へお参りしてきました。 駒ヶ根高原にある古刹、天台宗別格本山『宝積山 光前寺』 さすが高原、思った以上に雪が残っています。 景色が寒いと感じるかもしれませんが、日差しはじゅうぶん暖かく、確実に春が近づいています。これぞ信州の早春! このあたりは眺めも良いので、境内に入る前にすこし散歩でも。 お寺からてくてく下ったところ 右を向けば、 左を向けば、 きょうも山が美しい!満足。 さて、それ

星降る中部高地 縄文人と黒曜石|星ヶ塔ミュージアム

諏訪を知ることは縄文を知ること。 諏訪めぐりをするうちに、いつの間にか縄文の扉を開いてしまったようです。 今回は、星降る中部高地の縄文世界関連施設の<星ヶ塔ミュージアム矢の根や>を訪れました。場所は下社秋宮のすぐ近く。 星ヶ塔ミュージアム矢の根やは、国史跡「星ヶ塔黒曜石原産地遺跡」など下諏訪町の埋蔵文化財を展示するミュージアムです。 ところで、江戸時代の人々は黒曜石のことを何と呼んでいたと思いますか? 「ホシクソ」 夜空に輝く星のかけらだと考え、ホシクソと呼んでいた

下諏訪紀行 <諏訪大社>技を競った春宮と秋宮

下諏訪紀行、ようやく最終回です。 今回は秋宮を紹介しますが、なんと春宮と同じく、行くつもりはなかったのにいつの間にかお参りする流れになっていました。 この日は2度目の岩波其残展を楽しんだあと、前から気になっていたカフェを訪れるために近くの駐車場へ車を停めたのですが、そこはこの辺りには珍しく有料駐車場でした。 すこしだけ後悔しながらも窓口の管理人さんへ申し出たところ、 どこ行くの?観光? __はい、このあたりをぶらぶらと。 それなら、すぐそばの下社に広~い無料駐車場

下諏訪紀行 諏訪の七不思議から中山道へ

下諏訪紀行、つづきます。 万治の石仏の迫力に圧倒されたあと再び春宮へもどる途中、「浮島社」を通りました。 諏訪には、古文書にも書かれた「諏訪七不思議」というものがあり、こちらはそのうちの一つ。 実はここ、砥川という諏訪湖へ流れ入る川の中州にあたるのですが、どんな大水にも決して流されず浮いているように見えたことから、浮島と名付けられたのだとか。 お祀りするのは祓戸大神、毎年6月30日には夏越しの大祓式が行われるそうです。 という案内板を読んでいたところ、さわさわと風が

下諏訪紀行 岡本太郎も愛した万治の石仏(と写仏)

諏訪大社下社春宮から歩いて5分ほどのところに、「万治の石仏」というちょっと変わった仏さまがいらっしゃいます。 灰色の景色のなかに際立つ赤い橋。 寂しさを感じる冬枯れの光景ですが、わたしの得意技「イメトレ」を発動したところ・・・ ここは緑が萌える季節になれば、まちがいなく美しい景色となることでしょう。川のせせらぎも聞こえ、風光明媚という言葉がぴったりです。 道の脇には、岡本太郎さん揮毫の石碑がありました。 1974年に下諏訪を訪れた芸術家の岡本太郎さん。 この石仏と初対

下諏訪紀行 <諏訪大社>下社の春宮

岡谷美術考古館で縄文の世界に浸ったあと、とある場所をめざして車を運転していました。 が、そのとき突然、 いや、今日行くのはそこじゃない。あっちだよ! なにかが閃き(笑)、あっけなく目的地を変更。 そして向かった先はというと・・・ ついに!ようやく!来ました。諏訪大社です。 諏訪をうろちょろするようになって、はや一月。 そろそろ挨拶に行かないとなぁとは思っていたものの、まだ寒いし、知識も浅いし、などと二の足を踏んでいたところ、いよいよタイミングが来たようです。 今更

星降る中部高地 縄文の笑顔|岡谷美術考古館

今日は楽しい「諏訪めぐり」の日です。 諏訪めぐりをしようと決めてから、美術館・博物館の情報が一覧になったマップが欲しいなぁと思っていたところ、先月訪れた諏訪湖博物館でとても良いものを見つけました。 ☆諏訪湖・八ヶ岳アートリングマップ☆ このマップを見ながら次はどこへ行こうかと妄想を膨らませるのですが、今回、直感により白羽の矢が立ったのはこちら! 市立岡谷美術考古館 歴史好きとしては、もう『考古』という文字を見るだけでなにやらワクワクしてきます。それではさっそく行きま

あまねく照らす 冬の星空

春夏秋冬、どの季節の夜空がいちばん好き? と聞かれたら、迷うことなく 冬! と答えるだろう。 冬の空気は鋭い。 気温が下がれば下がるほど、 「寒い」から「痛い」という感覚へ変わってゆく。 キリっとした夜空は夏のそれに比べて闇が深く、 そこに輝く星々は他のどの季節よりも大きく見える。 すべての星が一等星のように輝き どんなに暗い田舎の夜も、人も草木も、煌々と照らすのだ。 冬の星は、月よりも明るい。 むかし、帰りが深夜になったときには 家に入る前に必ずといっていいほ

冬の諏訪湖 御渡りか、明けの海か

みなさんは、冬の諏訪湖に現れる自然現象、『御渡り』をご存じでしょうか? 寒さが厳しくなり湖が全面結氷したあと、 氷が成長して寒暖差を繰り返すうち、突如、大きな音とともに湖面に亀裂が入り氷の山脈ができるという現象です。 ↓(参考画像) 諏訪湖を挟んで南側にある諏訪大社上社から北側にある諏訪大社下社へ向かって、まるで龍が這ったかのように見えるこの現象を、いにしえの人々は (上社の)男神が、(下社の)女神のもとへ通ったみち と受け止め、『御渡り』と呼ぶようになったのだとか

エミール・ガレ、自然への眼差し|北澤美術館

本年の課題「諏訪を巡る」、今回は諏訪湖畔にある北澤美術館を訪れました。 北澤美術館は、バルブメーカーKITZ(旧北澤バルブ)の創業者である北澤利男(1917‐1997)が、出身地である諏訪の地域文化振興と発展のためにと、自身が収集した美術品を公開する場として開館しました。 1000点を超えるガラス作品のコレクションで有名ですが、もともとは東山魁夷や山口華楊などの現代日本画の収集がはじまりだったようです。 コレクションのモットーは、「美しいものを愛する素直なこころ」 いい