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芸術を楽しむ

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大好きな美術館や演奏会  感じた美しさや感動を、どうにか届けたい 『伝える』ことへの挑戦記録
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山種美術館を訪ねて ~ 花 flower 華 2024 ~

きょうは、美術を楽しむ日。 3月の終わりに、東京広尾にある山種美術館を訪れました。 いつも季節にあわせた特別展を企画する山種美術館、この時期はやはり 花! ですね。 フライヤーには、私が大好きな奥村土牛の<醍醐> そういえば、 初めて山種美術館を訪れたときにもやはり<醍醐>が展示されていました。そこで初めて土牛さんを知ったのです。 もう一年経つのかと思うと、感慨深いものがあります。 🌙 それでは、さっそく作品を見ていきましょう。 展示室へ入ると、桜・牡丹・

山種美術館を訪ねて vol.6 若手作家の瑞々しい日本画

先週、ほぼ毎月恒例となった山種美術館を訪ねました。 道すがら、先月のような東雲色に染まる八ヶ岳を拝めるかな?と期待していたのですが、一月も経つと、日の出時間もかなり変わるものなんですね。 残念ながら、もうすっかり朝陽が出て雪景色を照らしていました。 それはそれでまた美しかったので、写真をパシャリ。 作品名:中央道高速バスの車窓から さて、山種美術館で開催されていたのはこちら。 若手日本画家の発掘と育成を目指す公募展で、コロナ禍の影響で2年延期され、今年は3年ぶり第3

山種美術館を訪ねて vol.5 癒やしの日本美術

1月中頃、東京広尾にある山種美術館を訪ねました。 信州から東京へ出向く際には、中央道高速バスを利用しています。いつもより早起きして新宿行のバスへ乗り込み、伊那谷をぬけて諏訪盆地へ入ったころ、ちょうど朝日が出てきました。 左側の窓際席に座った今回、窓から前方に見えたのは八ヶ岳。 山頂から地平にかけてゆるやかに広がる裾野が、やわらかな東雲色に染まるようすはあまりに美しく、また神々しく、その景色が見えなくなるまでずっと眺めていました。 顔をすこし右へ向ければ、富士山も見えま

山種美術館を訪ねて vol.4

10月のおわりに、東京広尾にある山種美術館を訪れました。 新宿から山手線で恵比寿駅まで向かい、そこからは歩いて10分ほど。年に数度訪れる恵比寿駅ですが、ホームで流れるあのヱビスビールの音楽を聴くのが、実はひそかな楽しみだったりします。 今回もホームへ降り立ち音楽を聴きながら、チャララ~ララララ~♪と心の中で一緒に歌っていたところ、隣のホームへ新たな列車が到着。そしてそちらでも同じ音楽が鳴り始めたのですが、 ?! 調がちがう! 先に流れている音楽に、新たな音楽が被さって

根津美術館を訪ねて vol.2 ~二月堂焼経 紺紙銀字の美~

東京南青山にある根津美術館、7月に続き、今回2度目の訪問です。 最寄りの表参道駅からはゆっくり歩いても10分弱、ちょうど良い散歩道。 現在開催中の企画展は、こちら。↓ 企画展は【展示室1・2】ですが、それよりなにより先ずはお目当ての品が待つ【展示室5】へ直行します。 二月堂焼経ー焼けてもなお煌めくー 二月堂焼経とは? 奈良東大寺で毎年3月1日~15日に行われる修二会(通称:お水取り)※ 寛文7年(1667)、修二会最中に二月堂が炎上した際、火中から取り出されたことから

N響のモーツァルトに包まれる夜

急に秋らしい涼しさになった日曜日夕方、長野県伊那文化会館でNHK交響楽団(以後、N響と記します)の公演が開かれました。 先月チケットを購入した際には既に残席僅かでしたが、公演当日の入り口横にあるポスターを見ると、”チケット完売”の張り紙がありました。さすがN響、大人気です。 大ホールの座席数は1,300席、わたしの席は館長さんもおすすめの2階席前列。はやめに着席して本公演の冊子を眺めながら開演を待ちます。 チャイムが鳴って少し後、メンバーと指揮者がステージに揃いました。

サイトウ・キネン・オーケストラの音色

今年も、長野県松本市でセイジ・オザワ 松本フェスティバル(旧称:サイトウ・キネン・フェスティバル松本)が開催されました。1992年にスタートし、今年31年目を迎えたこの国際音楽祭は、いまではすっかり松本の夏の風物詩として定着しています。 サイトウ・キネン・オーケストラは、国内外で活躍する音楽家でフェスティバルの間だけ編成される、期間限定のオーケストラ。 ひとことで音楽家と言っても、この顔ぶれがなかなかすごい! ソロ活動をされている方、オーケストラで首席奏者をされている方、

山種美術館を訪ねて vol.3

毎月の東京詣での寄り道先として、すっかり定番となった山種美術館。 はや3回目の訪問となりました。 この日東京は晴れたり曇ったりで、ひと月前の10分と外にいられない恐ろしい暑さはなく、吹く風も爽やかに感じられました。 とはいえ真夏日のなか長時間歩くのはつらいので、今回初めて渋谷駅からバスを利用。日頃路線バスに乗る機会がない田舎人ゆえドキドキしましたが、ちゃんと乗れました!☆祝☆都バスデビュー。 道中、車窓から青山学院初等科や実践女子、國學院大学などを眺めて楽しみ、美術館最

根津美術館を訪ねて

山種美術館と並び、わたしの『東京で行きたい美術館リスト』上位に入っている根津美術館へ、先日ついに訪れることができました。 根津美術館は、実業家根津嘉一郎1860-1940(東武鉄道 や南海鉄道など日本国内の多くの鉄道敷設や再建事業に関わったため、鉄道王とも呼ばれる)の蒐集した美術品を広く公開するため、昭和16年南青山に開館。 しかしながら、戦災により建物は焼失。美術品はあらかじめ疎開してあったため難をのがれ、戦後早くから美術館は再開したそうです。そんな貴重な品に会えるのが

『終止符のない人生』を読んで

今日は読書感想文に挑戦です。 読書感想文というと、小中学生時代に夏休みの宿題として出され、休みが終わる直前に読みたくもない推薦図書を読み、いやいやながら書くという後ろ向きな思い出がありますが、もはや学生ではないので、好きなように書けるのがいいですね。 今回読んだ本はこちら。 反田恭平 著 『終止符のない人生』 半年以上の積読期間を経て、ようやく読むことができました。 著者の反田恭平さんはピアニストです。2012年高校在学中に日本音楽コンクールで第1位になり、その後202

山種美術館を訪ねて vol.2

4月に初めて訪れ、日本画の美しさとカフェのお抹茶セットの美味しさに、すっかり魅了された東京の山種美術館。今回の小林古径と速水御舟の特別展をどうしても見たいと思い、先週再び訪れました。 それにしても、3ヶ月もしないうちに2回目の訪問。このペースでいくと年5回を超えるかもしれない。それなら年会員の山種メンバーズに入会した方がお得かも、なんて考えるほどに山種美術館を気に入ってしまいました。 渋谷でメインの用事を済ませたあと、ビル群を眺めながら明治通りを歩いて恵比寿方面へ向かい、

東大寺修二会の声明(国立劇場)を拝聴して

5月20日の土曜日、以前記事でも少し触れた『東大寺修二会の声明』公演を聴聞するため、東京千代田区にある国立劇場へ赴きました。小雨がちらつくなか会場へ到着すると、すでに開場を待つ沢山の人が長蛇の列を作っていました。本公演の人気の高さが窺えます。 国立劇場を訪れるのは初めてでしたが、正倉院の校倉造を模した外観がとても趣きがあり、さらに規模が大きいので、立派だなぁ!と眺めました。 10月から建て替えが予定されているそうですが、この素敵な建物が見られなくなるのは少し残念な気がします

山種美術館を訪ねて

4月上旬のとある日、東京渋谷区広尾にある山種美術館を訪ねました。 JR恵比寿駅から東へ向かい、なだらかな上り坂を10分ほど歩いた場所にあります。周辺は、通り沿いにもかかわらず車通りはそれほど多くなく、ゆったりとした空気を感じました。 山種美術館は、山崎種二(1893-1983・山種証券[現SMBC日興証券]創業者)が個人で集めたコレクションをもとに、1966(昭和41)年7月、東京・日本橋兜町に日本初の日本画専門美術館として開館。その後千鳥ヶ淵近くへの移転を経て、2009年