１２月に新作が公開されるSF映画『マトリックス』が話題だ。
前作から１８年ぶりに公開されるシリーズ第４作。
それに伴ってSNS上では
旧作を見ていない方の「予習しなきゃ！」
旧作を見たけれど昔すぎてもう忘れた方の「復習しなくちゃ！」
という書き込みを多数目にする。

大ヒット映画の久々の新作、期待値が上がるのはすごくわかる。
だけれども新作に備えて予習や復習をすることを、僕はお勧めしない。
理由は3つある。

一つ目の理由は、新作が面白いとは限らないから。
かつてのヒットシリーズの新作がかなりの年月を開けて制作されることはよくある。
だけれどもその久々の新作が、期待通りに面白い可能性はどれくらいか。

かなり低いんじゃないか。
個人的な感覚では２０パーセントを切る。
久々の新作が面白かった記憶よりも、つまらなかった記憶の方がはるかに多い。

マトリックスと似た制作間隔、似たジャンルのシリーズ映画を３つ挙げてみる。
SFなら『ターミネーター』
冒険活劇なら『インディジョーンズ』
アクションなら『ダイハード』
どれも面白かった初期シリーズから間を開けてパート３、パート４が制作された。
そして久々の続編はどれもつまらなかったのだ。

二つ目の理由は、時間がもったいないから。
映画を見るために支払うのはお金だけじゃない。お金と一緒に時間も捧げる。
たとえばマトリックスシリーズの予習もしくは復習をするためには、最低でも２時間×３作＝６時間を捧げる必要がある。
理由の一つ目でも伝えた通り、それだけの時間を捧げて新作に備えても、新作が面白いとは限らない。

３つ目の理由は、旧作ファンができない楽しみ方を自ら放棄することになるから。
いきなりパート４から見るということは旧作からのファンには決してできない。
シリーズ途中のパート４からわけもわからず巻き込まれる。こんな変な楽しみ方は新規ファンにしかできないんですよ！

旧作ファンは先輩ヅラで言うかもしれない。「一作目から見なきゃ」って。
でも、そんな言葉を真に受ける必要はない。
今から旧作ファンを追っかけて１作目から見たところで、十何年も前にマトリックスシリーズを楽しんだ旧作ファンには決して追いつけない。

だから、違う楽しみ方をすればいいのだ。
いきなり新作を見て、面白ければ旧作に遡ればいい。
もしかしたら、その見方の方が面白いかもしれないじゃないか。
それこそが、今回初めてマトリックスに遭遇するあなただけの特権です。

もう一つだけダメ押しに、パート４から作られて、みんな気にせずパート４から楽しんだ映画シリーズをお伝えしておこう。
その名も高き『スターウォーズ』だ。
ついでに言えば『スターウォーズ』は間を開けて制作された第４作以降も含めて傑作です（異論は認めない）。

さあ、予習復習をしてから新作に臨もうなんて、自分のハードルを上げることはやめよう。
いきなりマトリックスに飛び込もう。
マトリックスシリーズの主人公、ＮＥＯのように。