白のコピー10

GK分析フレームワークの作成(ゴールディフェンス編)

 GK分析フレームワークを作ろうと思った理由は、自分の分析を楽にしたいのと、実際に皆さんにも使ってもらっていろんなGKを分析してほしいからです。今回はゴールディフェンス編。

 シュートへ対応するためのポジショニングを決定する際に、考慮に入れるのはこの3つでだいたい網羅できます。細かく分けるとボール、ゴール、相手、味方、の4つが決定要因になりますが、ボールとゴールの相関関係が強いので1つにまとめました。

 ①で出てくる”エリア”はこちらのゾーンモデルを利用しています。

ゾーン1は立っているだけでシュートを防げるエリア、ゾーン2はそのまま倒れるだけで防げるエリア、ゾーン3はダイビングが必要になるエリアです(出典:ドイツ式GK技術革新 GK大国に学ぶ「技術」と「戦術」)。

 あと付け加えると②ボールホルダーで、もうひとつ考慮に入れる要素がありました。「目線」です。ボールホルダーの目線が上がってるか下がってるかでGKの駆け引きが変わるので。

 

 では実際にこのフレームワークを用いて、ロシアW杯ラウンド16メキシコvsブラジルのワンプレーを分析してみましょう。ネイマールが放ったシュートをオチョアが防いだシーンです。

 最終的なポジショニングはこちら。

 どうしてこのポジショニングに至ったのかを分析してみましょう。

①ボール-ゴール間の距離とエリア
 ・距離は約10mか、それよりも短いくらいなので、GKはボールホルダーに寄せてシュートコースを狭める選択肢もある。
 ・シュートを打つ位置はゾーン3、つまりダイビングが必要なエリアで、積極的なポジショニングが求められる。

②ボールホルダー(侵入角度と持ち足、それと目線)
 ・侵入角度は外から内、つまりカットイン。
 ・右足でボールを持っているので「シュートを曲げてファーへ打つ」イメージをボールホルダーが持っているかもしれない。
 ・目線はルックダウンの状態。狙いすましたシュートを打つ可能性は低い。

③味方(配置とプレッシャーの有無)
 ・カットインの際にドリブルを追っている味方が1人、シュートの瞬間に右から寄せる味方が1人、GKと同列に立ってファーのシュートコースを切る味方が1人、それぞれいる。
 ・上記の通り、プレッシャーはかかっている。目線も考えると狙いすますシュートがくる可能性は低い。

 以上がポジショニングの決定要因である。最終的にこのポジショニングを取れたのは、ボールホルダーの目線と味方の配置が強く影響している。ルックダウンの状態では狙いすますシュートは打ちにくく、さらにシュートの瞬間に右から寄せてきた選手とGKと同列に立つ選手によってファーへのシュートが打ちにくくなった。よって、ニアポストと同列の味方とボールを結んだ三角形の中心に構え、前への積極的なポジショニングが可能となった。


 こんな感じで分析終了です。まだゴールディフェンス編しか作成していないので、スペースディフェンス編、ディストリビューション編も後々作っていこうと考えてます。

 おわり

参考文献:ドイツ式GK技術革新 GK大国に学ぶ「技術」と「戦術」

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