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映画『あん』から学んだ”聴く”ことが教えてくれること

「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれて来た。
・・だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ」

映画『あん』をAmazonPrimeで見た。
どら焼き屋で雇われ店長として淡々と働く男性・千太郎の元に、「あん」作りの名人の老女・徳江がアルバイトしたいと懇願。2人が関わり合うことで生まれるドラマにより、生きる意味を問いかけてくる映画である。

「すべてのものには声がある」と、風、木、鳥、自然の中の声に耳を澄ませながら、独特の感性で暮らす徳江の生きざまが、映画を見終えたあともじわじわと効いてくる。

家事をする時も仕事で単純作業をする時も、常にワイヤレスイヤホンをつけて音楽を聞いているのだけれど、この映画を見終えたあとから周囲の音を”聴く”ようになった。

お湯の沸く音。エアコンの音。キーボードを打つ音。時計の秒針。換気扇の音。

静寂の中の、小さな生活音。普段は注意を向けない音に耳を傾けることで、気づいた変化が2つある。

1つは、集中力が高まること。

私は家事や仕事中に音楽を聞くのは、音に集中することで雑念をシャットダウンさせるためだった。何も聞いていないと「あれって何だったっけ?」と急にスマホで調べものをしたくなったり、ネットで目にした記事に一人でモヤモヤして考え事してみたくなったり、目前の単純作業に集中し続けることが難しい。

でも、わざわざ音楽を聞かなくても音は身近にあふれていることに気づかされたのである。音自体が意味を持たないことも重要だと思う。これがテレビや会話の音だったら、気になって仕方ないから。

2つめは、自分を客観視できること。

これは、感覚の問題。この感じは、片付けコンサルタント、近藤麻理恵、こと”こんまり”さんの、『人生がときめく片づけの魔法』にも似ている。

こんまりさんは、片付け依頼者の家に行くと、部屋の中心に座って物の声を聴くそうだ。自分がどう片づけたいか、ではなく、物の声なき声に耳を澄ませ、どこに収まりたいかを感じるというのである。自分という存在を主人公から脇役に変える、パラダイムシフトである。

”こんまり”さんといえば、自分がときめくか否かで物を断捨離していく「ときめき片付け法」が有名だけれど、根底にあるのは、自分の気持ちも含めた”声なき声に耳を澄ませる”ことではないだろうか。

こうすることで、今、自分が何を求められているかを感じることができる。自分がやりたいことを考えている時には、なかなか優先順位がつけられなかったことがらも、自分の意識を自分から引きはがすことで、大切なことがみえてくる気がするのである。

目にするもの、遭遇する出来事がメッセージ性を帯びてきて、「ああ、次はこれをしろってことね」と、自分への指示を感じとることもある。

それらは、すべて私の頭の中の妄想でしかない。でも、周囲の小さな音に心を傾けることで、自分の頭の中の言葉だけに集中していた時には得られなかった感覚を知ることができる。

自分が脇役になることで、他人と比べてしまう時に生まれる焦りや嫉妬、将来への不安が静まり返り、今、この瞬間本当に大切なことがみえてくる様は、さながら人生のお片付け、である。

仕事柄、「自分のこれからのキャリアが描けません」というお悩みによく遭遇するのだけれど、もし自分で考えることに煮詰まったら、声なき声に耳を澄ませてみることで、自分の人生が整理整頓されることもあるんじゃないのかな。

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