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彩り

リアル「彩り」だ。

と、思った。

「彩り」知ってますか?一回でも社会で働いたことのある人なら、猛烈に歌詞に共感してしまう、Mr.Childrenの名曲中の名曲である。

聞いたことない方は、こちらの歌詞カードを見ながら、
下記Youtubeでご堪能ください。久しぶりの方も、ぜひ。

さて、私の何が彩られちゃったかと言うと、
話は今から15年ほど前にさかのぼる。

大学4年生の時、私はNPO法人ETIC.でインターンをしており、冒頭のカバー写真にある「好きなまちで仕事を創る」という本の作成に関わっていた。

本の作成に関わる、と言うとカッコいいけれど、
私が担っていたのは、本当に本当に少しの作業。
議事録をとる、メールを数通を出す、取材依頼書を1枚書いてみる・・などをご指導して頂きながら、恐る恐るやらせてもらった。

働いた、というより、学ばせてもらった半年間。
役に立てたかどうか、全く自信がなかったが、
出来上がった本のSTAFF LISTに自分の名前があったことが、
天に昇る心地がするほど、嬉しかった。

私は22歳から今までの間に、6回引っ越しをしているが、
この本だけは、どこに引っ越す時も段ボールに梱包されていた。

◇◇◇

時は流れて、はや37歳の私。
そして、どういうご縁かまたETIC.で働くこととなり、
昨日、今日は半期に一度の全社ミーティングだった。

事業部を越えて、全スタッフが集まり、
議論したり交流したりする場である。

何回かグループを組み変えて話をしたのだが、
その中の1回で、最近入社したMくん(25歳)と同じグループになった。

Mくんとは、1回だけ仕事でやりとりしたことがあった。


先日DRIVEキャリアでオープンした「新卒特集」に、若手の視点でアドバイスを求めたところ、Mくんは、ワード文書で非常に丁寧な意見書を送ってくれた。

大変参考になったと同時に、そのMくんの真摯さに感動。今公開されている「新卒特集」のコンセプトは、彼の意見がベースになって作られている。

聞いてみると、Mくんは愛媛で銀行員をしていたらしい。
銀行からNPOへの転職だけでも、「勇気出したね・・」と思うのだが、そこにさらに、愛媛から東京という引っ越しまで付随する。

「何で東京に来たの?」と聞くと、「東京に来たのではなくETIC.に入りたかった」とMくん。「何でETIC.を知ったの?」と、尋ねると、


「『好きなまちで仕事を創る』っていう本があるんですけど、あの本を本棚から出したら、NPO法人ETIC.って書かれてて。ネットで検索して、ETIC.のホームページからエントリーしました」


・・・と、返ってきた。そんな事があるのだろうか。

『好きなまちで仕事を創る』は、私が関わった後、違うバージョンが数冊出ているのだけど、Mくんが読んだのは、私が携わった2005年に出版されたものらしい。

私がした単純作業は、世界を回り回って、
まだ出会ったことのない人の人生を変えていたのだ。

生きていると、こういう過去のパズルのピースが、
パチリとはまるような瞬間に出くわす。
それは、自分では、全く想定もしていないところから降ってくる。

湧き上がる感情は、努力が実った、という嬉しさとは違う。
夢が叶った、という達成感も違う。

一言で言うなら、「そういうことだったのね」だ。

一見役に立たなそうな些細のことにも、意味づけされる充足感。
自分では手の届かない何かに、引き合わせてもらっているような腹落ち感。

長く生きていることによってもらえる、神様からのボーナス点のよう。
老いることで失うことも多いが、過去の出来事が増える分、伏線も増える。生きるのが楽しみになる、人生の醍醐味だ。

いつかまた何年か後に、Mくんの元に、
「ぼく、DRIVEキャリアの『新卒特集』見て転職したんです」
という人が現れ、第二の「彩り」が起こることを密かに夢みている。


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