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Starlinkを追加導入して6か月の間に起きたことと、考えたこと。

【「普通に使える」Starlink】
今年の2月にイーロン・マスク氏の「SpaceX」社の提供する衛星インターネットプロバイダ・サービス「Starlink」を、既に自宅にあるNTT系のプロバイダサービスに加えて、試験的に導入した。メインで使っている仕事用のPCから、寝床で使うスマホまで、自宅でネットを使うときのほとんどをStarlinkに頼っている状況にまでしてきた。結果としてまず最初に言えることは「普通に使えるよね」ということだ。まず、これが大前提。このnoteも、自宅のPCからStarlink経由で接続して使っている。ときどき、スマホで音声SNSと言われる「Clubhouse」にも何回かアクセスしているが、これも問題なく使える。この使い方で使っているが、全く遜色ない。「当たり前」という以前に、空気のような存在になった、と言っていい。「インフラ」にふさわしい安定性と言えるだろう。

【便利だったこと】
まず「普通につかえている」のだから、特に言うことはないのだが、この期間、使っているNTT系のプロバイダが遅くなったりして使えなくなることがあった(ニュースにもなった)のだが、当然、「別系統のネットワーク」であるStarlinkは関係なく使えていた。また、導入してすぐに何回かアウトドアに持ち出したのだが、それも普通に使えている。通信インフラは一度動き出せば、あとは「空気」になる。「便利」とかではなく、「あって当たり前の空気」ということだ。

【何回かトラブルはあったが】
実は、Starlinkはこの半年の間には、ネットワークトラブルで使えないことが何度かあったが、非常に軽微だ。アンテナ(内部には電子回路と最初のルーターなどが入っている)や、PC接続のための付属のルーターのソフトウエアアップデートに失敗したらしく、動かなくなったことが1時間ほどあった。このときは、PCにつながっているStarlink回線からNTT系の回線につなぎ直し、そこでtwitterを見てみたら世界中のStarlinkユーザーから悲鳴が上がっていた。他にも、数回、問題が起きたことがあったが、いずれも数秒から1分くらい、ということで、全く実害はなかった。「トラブルに当たったらお気の毒」以下、という感じだ。

【サービスメニューも変わる】
Starlinkの、様々なサービスメニューも、様々変わっているが、短い間によく変わったなぁ、と思う。あと、企業向けサービスではいつのまにか「帯域保証」がなくなっていたり、と、かなり目まぐるしい。現在(2023年7月1日現在)は以下のサービスメニューになっている。多くは、1~6を使うことになるだろう。

1.レジデンシャル
 場所固定で使えるもの。最も安く、月額¥6,600-
2.ビジネス
 企業などの組織用。月額は高い。
3.ROAM
 日本全国で移動して使える。月額¥9,900-
4.モバイル
 全世界で移動して使える。月額$250=
5.マリタイム
 全世界の海上で使える。
6.アビエーション
 航空機で使える。
7.IoT
 機器等のデータ通信専用。IoTの通信システムのインターフェイスのシステム付き。

【「戦争の時代」の海底ケーブル】
YouTubeのニュース解説を見ていたら、国際紛争時に海底ケーブルが狙われるということが懸念されているとのこと。このYouTube動画では、衛星インターネットには全く触れられていなかったが、当然、これから「紛争の時代」になるのだったら、恣意的な破壊の可能性のより少ない「衛星インターネット」は、これから注目されることだろう。恣意的な国際通信回線の破壊があるとしても、海底ケーブルの破壊より、衛星(しかも無数のインターネット衛星)の破壊はコストがかかるため、インターネットのインフラが機能しなくなる程度はより少ない、といえるだろう。戦争も「コスパ」が重要だからだ。おそらくこれからは防衛関係でも衛星インターネットは当たり前の選択になっていくだろう。

【「通信の秘密」は「ビームフォーミング」で守る】
その衛星インターネットの構築を中心とした分野で最近注目されているのが「ビームフォーミング」の技術だ。ご存知のように、電波は空間に拡散するから、目的の通信相手以外にも、電波は届いてしまい、常に盗聴の可能性を含んでいる通信が電波通信、ということになる。そこでまず考えられたのが「暗号化」だ。通信を暗号化すれば途中での盗聴はできない(しても意味がない)ということだが、実は暗号化するとき、暗号化されたデータを復号して読むときは一瞬の「隙」ができる。そこを狙っての「盗聴」も、実は最近は例があるので「絶対に解けない暗号」であったとしても、完全に安心はできない。そこで考えられたのが「電波を必要ないところには拡散しない」という「ビームフォーミング」の技術だ。実はこの技術は5Gでも多くの特許があるところで、特に電波の飛びがあまり長くない、という「5G/ミリ波(日本では28GHz)」でも、この技術が一部使われている。

【電波だけではなく】
更に電波だけではなく、直進性の高い「レーザー光線」を使ったデータ通信で正確なビームフォーミングを行うことも考えられている。この技術は近い将来、衛星どうしの通信、衛星と地上局との通信などにも使われる、ということが考えられている。データ通信の秘匿は、これからこのビームフォーミングの技術が中心になる、と言われている。これが完全に実用化され広まれば「盗聴の可能性を更に下げられる」ということになるのは、言うまでもない。

【ビームフォーミングでできること】
さらに、戦地での通信もこのビームフォーミングの技術が広く安心して使えるようになれば、衛星から味方の陣地や、ごく狭い範囲にビームを限ることができるため、通信の敵方への漏洩などもほぼ完全に防げる。


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