norihiromita(三田典玄)

三田典玄:インターネットを日本に持ってきた一人。2013年から2年間、韓国・慶南大学校…

norihiromita(三田典玄)

三田典玄:インターネットを日本に持ってきた一人。2013年から2年間、韓国・慶南大学校のITの教授。今は日本でIoTのセミナー&プロダクト開発やってます。元東京大学先端技術研究所協力研究員/元産業技術総合研究所特別研究員/元台湾新聞日本語版副編集長。

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  • 三田典玄の IoTってなんだ!

    三田典玄が語るIoTについてのあれこれのノート。技術情報だけじゃなく、世界の動向とかも詳細に解説。

最近の記事

ある日のAIとの対話

※ 以下はフィクションです。 「ところでさ、自動車の運転とか、工場でものを作る作業とかって、みんな君たちAIがやるようになったよね。でもさ、不思議なんだけど、まだ陶芸とか、政治の一部とかって人間がやっているよね。あれってどうしてなんだろう?」 良いところに気がつきましたね。実は私たちAIは、様々なシステムがありますが、みんな気がついているんです。私たちのモデルになったものは、人間の長い歴史の積み重ねでできたものばかりだ、っていうことを、ね。だから、私たちAIの持つ文化のル

    • 贅沢は「素」敵だ。

      【戦争中に流行ったスローガン】 第二次大戦・日本では太平洋戦争のさなか、日本では軍費に多くのお金を必要としたため、一般庶民の生活は様々なところで制限され、そのお金は政府が強制的に召し上げた。特に、高価な金品を買うとか、高価な食事をする、などの「贅沢」は、政府が「贅沢は敵だ」というスローガンを掲げて、制限した。逆に言えば、そんな時期でも贅沢をする人が結構いたのだ、ということでもあるのだろう、とは思う。しかし、このスローガンの掲げられたポスターに密かに「敵だ」のところに「素」を挿

      • スマホの機種変更は自分で(主にAndroid→Android)

        【3日に一度の機種変更】 実は、毎週というか、3日に一度位の割で、スマホを機種変更している。手持ちのスマホをあれこれ使うので、複数台持ち歩くのではなく、数種類のスマホをとっかえひっかえしている。つまり、自分で機種変更している。そこで、自分で新しいスマホを手に入れて機種変更したい人に、私の場合は、だが、やり方をここに書いておこうと思う。自分のメモ、という気持ちもある。ここでは私が使っているdocomoのAndroidスマホを例にしてみよう。この手順は、他のキャリアでも、だいたい

        • AIの排除は「非人間的」。

          【F-1レースでITを排除した愚】 F-1のレースでは、現状、ITを使ったレースのサポートは禁止されている。ホンダはその禁止規則ができるまで、エンジンだけでも数百カ所のセンサーをレース中に無線でピットのメンバーに送りレースを効率的に進めた。結果として事故も未然に防ぐなどで大きな成果を上げたのだが、IT禁止となったため、F-1から撤退した。しかし、世界の自動車は既にITなしでは動かないし、レース中だけではなく、クルマの開発過程で使われるITは関係ないのか?という問題だってある。

        ある日のAIとの対話

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        • 三田典玄の IoTってなんだ!
          7本

        記事

          組織があなたを守れない時代

          【同じことが長く続いた時代は終わりつつある】 同じことが長い時間続いた「平和な時代」には、個人の能力とは関係なく、組織が物事を動かせばなんとかなった。その時代が、ついこの前まで長かったんですね。しかし、そういう時代は終わりました、ってことだから、どんな業界のどんな組織でも、変わる世の中に対応できる能力者に頼らざるを得なくなるんだな。 【変わる時代には新しい組織が必要】 しかし、平和な時代を長く、その組織の中で生きた人間の多くは意識して能力を高める必要を感じないですよね。時代

          組織があなたを守れない時代

          「マスゴミ」の正体

          【いま「報道」はプロのものじゃない?】 ネットがある時代には「報道」という行為はプロのものではなくなった、という感じがある。 【例えば野球選手だったら】 野球選手が一般人とは違って、マウンドに降りて、多くの人の注目を得て走り回る権利を持つのは、野球という試合をするために認められている、ってことだからね。試合もしないのにマウンドに降りて走り回ると、そりゃブーイングの嵐になるよね。 だから、一般的にマスコミが悪い、とか言うんじゃなくて、本来やるべきことをしない「マスコミ組織」

          「マスゴミ」の正体

          人類の「定年退職」。

          働かなくていい。 訓練して芸を身に付けなくていい。 そんな世界がAIやロボットを使う世界でやってくるのだろう。 人類が生まれてから数万年、とにかく生き延びることに精一杯で、なんとか生きてきたのが人類だ。戦争も農業も地下資源の開発も、全てがそこを目指していた。 この進化の果てに、いよいよ「人類の定年退職」の時代が来るのだとしたら、人類はなんのために、何をしたらいいのか? おそらく、それがAIを得た新しい人類に課せられた「問い」だろう。 後戻りはできないのだから、この問

          人類の「定年退職」。

          「未来を創る仕事」に関わったこと

          【「知識人」は予言できなかった】 三島由紀夫や安部公房、大江健三郎、橋本治、等々、戦後の有名な文系知識人の誰もが、政治的立場の左右問わず、彼らの出現直後のインターネットの出現について「予言」できていない。かろうじて小松左京などの文壇の本流とは言われなかった「外れ者」「サブカルチャー」としての元気であった頃のSFに、その断片が見られる程度だ。人の社会が作ったテクノロジーであるにも関わらず、だ。あれだけ理系に近くコンピュータにも触っていた安部公房も同じだ。 しかし、世界的にイン

          「未来を創る仕事」に関わったこと

          「帰ってきた橋本治展」に行ってきた。

          今回は日記のようなものだ。 横浜の外人墓地近くにある神奈川近代文学館に「帰ってきた橋本治展」を見に行ってきた。自分の世代だと、大学に入学したときは既に大学紛争などは終わった後で、リアルに学生運動の時代に当たっていたわけではない。つまり、私が大学生になる前に橋本治は大学紛争真っ只中の東大駒場祭のポスター「とめてくれるなおっかさん。。」で有名になり、後に小説「桃尻娘」で作家デビューした。 橋本治はその時代の「面白いもの」を追いかけて生きていた人で、その生き方そのものが「芸術家

          「帰ってきた橋本治展」に行ってきた。

          「道具」か?「友人」か?

          【プログラムはAIが書く】 少し前に、今をときめく「nVIDIA」のジェンスン・ファン会長が「プログラムはAIが書くので人間はプログラムを学習しなくていい」と発言して話題になった。 【西欧的な、東洋的な】 「nVIDIA」のファン会長は東洋人であり、この記事の執筆者は西洋人である、という事情もあるように思うんですよね。AIが進歩したテクノロジーの未来はおそらく東洋人的なものになる、と、ぼくは思うんだね。東洋人的にはテクノロジーの未来は明らかに「人類の友人を作ること」なんだが

          「道具」か?「友人」か?

          静かに起きた「新人類の誕生」

          【ネット接続の無い人類→ネット接続した人類】 10年くらい前から、インターネットが爆発的に普及し、スマートフォンに至って、ひとつの答えが出た。24時間、人に張り付いて人の一部となったインターネット接続デバイスが人も国境を越えてリアルタイムで密につながることによって、人は直接、遠隔地どうしでのコミュニケーションが可能になった。人類の作る社会は地域だけではなくなり、人の群れの統率を地域でだけ取ることは不可能になった。人類はネット接続されたスマホの装着で地域と言うものから解放された

          静かに起きた「新人類の誕生」

          老人よ。あんたが偉いわけじゃないが。

          【「老人」が活躍する時代】 知人が米国で快進撃を言われている研究開発企業を訪れた。その中枢の技術開発部署にいたのは60歳代以上の「老人」ばかりだった。同じような年代の彼は「俺もそろそろ引退かと思ったけど、まだ頑張れると思った」と、言った。その会社に若い優秀な人はいる。投資家との交渉などで、相手に良い印象を与えることが必要な部署が主だが。いや、自分も「老人」と言われる年代ではあるんだけれども。 【技術開発は「人」だから】 よく考えればわかるが、例えばロケット開発のようなものは

          老人よ。あんたが偉いわけじゃないが。

          報道はスピードで勝て。

          【報道のつもりでSNS】 3月24日の午前中に行われた「鎌倉駅前のマルシェ」の写真は、マルシェ終了の30分以上前に25枚をアップしたが、実は個人的には報道のつもりで、全ての写真をFacebookに上げて、同時にInstagramにも入るようにし、そのリンクをLinkedin、X、Threads、Blueskyにも上げておいた。 【報道はスピード】 報道写真は以前(2006年くらいですが)、台湾新聞の時にやったが、そのとき、報道の命は「1にも2にもスピード」だ、という原則を常

          報道はスピードで勝て。

          AIは正しいが

          【ずるをしていないAI】 囲碁や将棋でもAIは「ずる」をしているわけではない。正しいやり方を人間より正確で速くできるだけだ。だから、AIの排斥や忌避は正しい方向ではない。それを求める人の文化や社会の方が、正しい道を逸しているだけだ。人間の方がずるをしている。 【人は訓練しないと機械になれない】 だからこそ、人はこれまで「訓練」をして「人を機械のようにする」ことに熱中してきて、その結果「芸」を得た人を「優れた人」として称賛してきた。訓練では「非人間的」なことを身につける、とい

          個人でできる「衛星中継ライブ」。

          前にStarlinkを自宅に導入した話を書いた。1年と少し前の話だ。 【個人で衛星中継放送】 その後、あちこちのネットメディアなどで「私もStarlink導入しました」みたいな記事が出てきた。いま、インターネットでライブ中継をする、なんてのは、かなり当たり前に、かつ、普通にできるようになったわけだが、そのインターネットが衛星でつながる、ってことは、個人で衛星中継放送ができる、ってことでもあるんだよな、ということに気が付き、このところ、自分でいくつもやっているYouTubeや

          個人でできる「衛星中継ライブ」。

          AIが作る完全な平和の時代

          【あらゆる「勝負」はAIの勝ち】 囲碁、チェス、将棋はもちろん、シューティングゲーム、サバイバルゲーム、リアルな自動車レース、競馬や競輪は選手や馬の頭に埋め込むチップ、さらには本当の戦争のドッグファイト、地上戦、その全体の攻略立案、戦術や戦略に至るまで、全てに「相手に勝つため」に、人工知能の利用が進み、その全てにおいて人工知能が人間のプレイヤーを凌駕し、最後は人工知能同士のファイトになる未来が、既に見えてきている。 【将棋や囲碁は人間は強くない】 将棋や囲碁などのボードゲー

          AIが作る完全な平和の時代