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「帰ってきた橋本治展」に行ってきた。

今回は日記のようなものだ。

横浜の外人墓地近くにある神奈川近代文学館「帰ってきた橋本治展」を見に行ってきた。自分の世代だと、大学に入学したときは既に大学紛争などは終わった後で、リアルに学生運動の時代に当たっていたわけではない。つまり、私が大学生になる前に橋本治は大学紛争真っ只中の東大駒場祭のポスター「とめてくれるなおっかさん。。」で有名になり、後に小説「桃尻娘」で作家デビューした。

橋本治はその時代の「面白いもの」を追いかけて生きていた人で、その生き方そのものが「芸術家」だったように、私は思う。

その後、橋本治は徒然草、源氏物語、枕草子などの日本の古典文学のぶっ飛んだ現代語訳で知られるようになった。彼に言わせると「平安朝の女流文学は少女マンガ」という「サブカル」に、自然になる。そして、少女漫画や少年漫画の絵柄のニット(大島弓子の綿の国星、ちばてつやの明日のジョー等)を作って自分で着て回ったり、編み物のまじめな教本を書いたりもしている。とにかく興味を持ったことに関わって、自分の「作品」にしていく、というバイタリティ、興味を持つものの範囲の広さは、非常に面白い。

徒然草の冒頭は、日本で学校教育を受けたほとんどの人が一度は読んだことがあるだろう。その最初は途中省略ではこうなる。

つれづれなるまゝに、日暮らし硯すゞりにむかひて,,,,,あやしうこそ物ぐるおしけれ。

この最後のところが、橋本治訳では

ワケ分かんない内にアブナクなってくんのなッ!

となる。

ワープロも一時はシャープの「書院」を使っていたとのことだが、「文章が攻撃的になる」ということで、手書きに戻した、とのことだ。

要するに「デジタル時代の前の時代のサブカルを含めた日本の最先端芸術家」というのが、私の橋本治の評価だ。展示がかなりの量があって、半日そこで過ごせるくらいだった。個人的におすすめな展示会だ。


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