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ショートショート 仕掛人 部下A

私「面白い研修思いつきました!ちょっと聞いてください!」

上司「今忙しいからあとでね〜。」

(…。そうかい、そうかい。聞かなくてよかったのね。別にいいけど。)

……

数日後、エレベーターにて。

私「社長、ご提案があります。管理職のレベルを底上げするために、『管理職研修』の企画をしているのですが、いかがでしょう。」

社長「ほう、面白そうだね。」

私「ご興味ありますか?では、企画の詳細をメールいたします。お忙しいと思いますので、もしお時間ができたときには、いつでも私を呼んでください。こちらが連絡先です。」

社長「わかった。とりあえず、メール頼むよ。」

チーン。6階です。

社長「では。」

私は会釈をし、社長を見送った。

……

社長へ『管理職研修』の企画を説明したところ、最初は懐疑的であったが、他の一般職の同僚が置かれている状況を詳しく話したところ、すぐに”やらねばならぬこと”になったようだ。

そこから先は、とんとん拍子に事が進んだ。私が理想とする○○さんを講師とし、テストや、受講者である上司の部下へ依頼する文章も私が全て書いた。

……

私「面白い研修思いつきました!ちょっと聞いてください!」

上司「今忙しいからあとでね〜。」

(…。そうかい、そうかい。聞かなくてよかったのね。別にいいけど。)

……

『管理職研修』から4か月後、私の上司はクビになり、私は晴れて、理想の上司の下で働けることになった。

(次の受講者は、社長。
次の受講者は、この業界のトップ。
次の受講者は、国会議員。
次の受講者は、各国首脳…。
はぁ~。この世は利己的な奴ばかりで腐ってやがる。
人生短いからAIに頼むか。)


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